上 下
191 / 752

191羊羹

しおりを挟む
その間の食料として、残されていた食料を集められていたが、焼き固めたパンに固い干し肉・・・
このメンバーなら隠す必要も無いと判断し、アイテムボックスからメンバーの荷物を取り出した。

「そう言えば、俺がアイテムボックスを使っても、バラン将軍は驚かないですね。」
「それはそうだ。今まで拓殿の錬成術師としての技術を見ているからな。
 逆に、持っていない方が違和感がある位だ。」

バラン将軍の言葉に、全員が頷いている。
OZのメンバーが持っている着替えを渡し、川で体の汚れを落とし(俺と浩司は落としてもらい)食事だ。
テーブルの上には刺身の盛り合わせ、押し寿司、海鮮サラダに、魚の煮付。
更にレオが魚の天ぷらまで用意してくれた。
浩司は何とか自分で食べていたが、俺は腕を動かすのも辛くアルが食べさせてくれている。

「やっぱり、OZの食事は格別よね。あのパンや干し肉でなくて良かったわ。」
「本当よね。島に着いてから食事の度にOZのテントに行こうと考えていたわよ。」

ロビンさんとジェニファーさんが、喜んでいると

「ジェニファー、余り俺達のパーティの品位を落とさないでくれ。」
「ジークだって、食事の度にOZのテントを見ていたじゃない。」
「ジークの場合、食べ物を見ると言うより、獲物を狙う様な感じだけどな。」

ニコラスさんの言葉に、クリームのメンバーが大笑い。
トムさんも、食べ物を頬張りながら頷いている。

「トム、そんなに急いで食べなくても大丈夫ですよ。」

食べ続けるトムさんにレオが声を掛けると

「船が戻ってきたら、この料理は食べれなくなるじゃないか。そう思うと、ついね。」

自分の頭を掻きながら、照れくさそうにしていた。

「それにしても、オリバーも毎日こんな料理を食べているのは狡いな。」
「OZの皆さんのサポートに付くよう指示を出したのはバラン将軍ではないですか。」
「そうだが・・・船が戻ってきたら、オリバーも我々と一緒に食事をとる事にするか。
 それでも、OZのサポートは出来るだろ。」
「そんな・・・」
「ハッハッハ、冗談だ。部下には料理の事は黙っているから、戻ったら酒くらい奢れよ。」
「了解しました。美味しい酒を奢らせて頂きます。」

日持ちする食料となると、味気ない食事しか出来ないので仕方がないのだろ。
アイテムボックス、拡張バッグ様様だな。
黒猫も、レオから分けてもらい色々と食べている。
大量に在った料理は全て胃袋の中に納まり、全員満足したみたいだ。

「デザートも有るけど、それは明日にするか。」

「「「それは、別腹。」」」

レオの言葉に、全員ハモって即答。
取り出したのは、寒天を使ったレシピで羊羹。
さすがレオ。和食の〆は和菓子が良いよね。

「餡子のお菓子か。食感が全く違うな。」
「もしかして、これも寒天を使っているのですか。」
「そうです。これは浩司に教わったレシピですけどね。」

エチゴさんとアルも、初めて食べる羊羹を喜んでくれている。
レオは、もっと自分の料理技術を誇っても良いのに。

「子供達が空腹を満たす為に食べてた匂いのある塊が、こんな美味しくなるとは凄いな。」
「凄い料理技術だね。全く、浩司君や拓君には驚かされるよ。」
「本当に美味いな。この滑らかな食感は他では味わえないな」

クリームの男性陣にも好評の様だ。
この羊羹で黒猫は完全にレオに餌付けされてしまったみたいだ。
全て食べ終わっても、レオの横に居座り何かと摘み食いをしている。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~

TOYA
ファンタジー
~完結済み~ 「この世界のルールはとても残酷だ。10歳の洗礼の試練は避ける事が出来ないんだ」 この世界で大人になるには、10歳で必ず発生する洗礼の試練で生き残らなければならない。 その試練はこの世界の最下層、魔物の巣窟にたった一人で放り出される残酷な内容だった。 生存率は1%未満。大勢の子供たちは成す術も無く魔物に食い殺されて行く中、 生き延び、帰還する為の魔法を覚えなければならない。 だが……魔法には帰還する為の魔法の更に先が存在した。 それに気がついた主人公、ロフルはその先の魔法を習得すべく 帰還せず魔物の巣窟に残り、奮闘する。 いずれ同じこの地獄へと落ちてくる、妹弟を救うために。 ※あらすじは第一章の内容です。 ――― 本作品は小説家になろう様 カクヨム様でも連載しております。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

処理中です...