上 下
158 / 752

158お祝い2

しおりを挟む
一応、デザートを作っていると思ってセーブしながら食べていたが、このケーキの量は多過ぎる。
等分にカットしても異常に大きい。
一応、保存できると言ってはみたが全員食べきるつもりでいるみたいだ。
その量を一度に食べると味に飽きてしまうので、口直しに揚げ餅を出しておく。
俺は少しで良い。残りは、明日にでも食べよう。
浩司もガラも少しだけ食べて終わりにしていた。たぶん摘み食いでもしていたんだろう。
それにしても皆、あれだけ料理を食べた後なのに、良く腹に入ると感心してしまう。
食べ終わった、オリバーさんとクリームのメンバーの視線がチラチラと俺達が残したケーキに。

「口をつけてしまいましたが、良ければ食べますか。」

オリバーさんとクリームのメンバー6人が飛び付いてきた。
見た目で判断して悪いが、オリバーさんとジークさんは、この中に入って欲しくなかった。
俺の中で作り上げていた、渋さと、ワイルドさが崩れて行く。それが可愛いとも思うが、何かが違う。
そして、不思議なのは女性陣。あの体の何処にこれだけの量が入っているんだ。
何か魔法でも使っているのだろうか。人体の神秘だ。
さすがに、他の人はこの量で充分満足した様子。

パーティが終わってみると、あれだけあった料理は全て腹の中に納まっていた。
そして、飲み過ぎた上に、苦しくて動けない人間が壁にもたれかかってお腹をさすっている。
エチゴさんとオリバーさんですら同様だ。レオ、ガラ、アルの3人は完全に潰れているな。
問題ないのは、俺と浩司、カイとレムだけだ。
大人より子供の方がしっかりしているとは情けない。
浩司はこうなると見越してセーブしてくれていた。
とりあえず、片付けを手伝ってもらい、カイとレムを家に送って行く。
レムもケーキを残していたが、皆の目から隠しておいたので、明日にでも食べてもらうようお土産にした。

男連中は適当で良いが、問題は女性2人だ。
このメンバーなら問題は起こさないとは思うが、放置するわけにはいかず、浩司と2人を宿まで担いで送り届ける事にした。
戻ってくると、エチゴさんとオリバーさんが食器の片付けをしてくれている。
嬉しそうな顔をして寝ている皆には毛布を掛けておく。

「今日はごちそうさまでした。本当にOZは良いチームですね。」

オリバーさんが俺に話しかけてくる。

「そう思います。OZは俺の自慢の仲間です。皆に出会えて本当に運が良かった。」

「それは違いますよ。
 出会いは運かも知れませんが、この状況は拓殿の行動の結果です。
 ただ気が合うだけで、こんな状態にはなれませんよ。
 皆が誰かの為に動いているから心地が良い。」

「ありがとうございます。そんな風に考えた事は無かったです。
 何時も、好き勝手にやって、皆に甘えて迷惑をかけてばかりです。」

「拓殿の迷惑、良いじゃないですか。
 このOZの皆さんは、拓殿の言う迷惑を迷惑となんて考えていないと思いますよ。
 たぶん、アークの皆さんも同じだと思います。
 逆に1人で何でもやろうとする方が嫌がるのではないですか。」

オリバーさんの言葉に浩司とエチゴさんが笑って頷いている。

「ありがとうございます。でも、やり過ぎない程度のに気を付けます。
 そう言えば、オリバーさんは何故、ブルネリ公爵の手伝いをしているんですか。」

「あぁ、そう言えば、まだ話していませんね。」

オリバーさんは、俺達を遺跡調査の案内人として来ていた。
俺に薬外という体質を調べさせる約束も有り、自分から志願したらしい。
本を運んだのは、そのついでだそうだ。
遺跡のある島は魔獣も確認されているため、クリームは戦力として同行する依頼を受けている。
彼等がラグテルの町に来たのは、アークのメンバーと訓練を行う為だった。
ブルネリ公爵領で手合せをしてみると、なかなか良い好敵手だったみたいだ。
遺跡に行く前に、色々と攻撃方法を試しておきたいらしい。

「そうでしたか、わざわざ、ありがとうございます。
 少し動いて、お腹が落ち着いたのなら、一緒に風呂でもどうですか。なかなか好評なんですよ。」

俺と浩司、エチゴさんとオリバーさんの4人で風呂に入ることにした。
逞しい中年の体というのも、大人の色気が滲み出て良い感じだ
少し脂の乗った大人の男の体、広い風呂って素晴らしい。

こうなったら、風呂のグレードアップを目指そう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...