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153サリー1
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******(サリー)
私には両親の記憶が無い。
小さい頃は、いつもお腹を空かしていた記憶しか無かった。
私には何の力も無かった。
知識、腕力、そして魔法の力も・・・
生きる為に、ゴミを漁っていた。
時には人間に追われる事もあった。
何で私は独りなんだろう。
何で私は捨てられたんだろう。
何で私は獣人として生まれてしまったのだろう。
何で私は生きているんだろう。
何時も、そんな事ばかり考えていた。
その年の冬は、雪が多く
食べられるゴミも殆ど無く、路地裏でお腹を空かせて震えていた。
私はここで死ぬのだろうか。
眠い。目を閉じたら、2度と目を覚ます事も無く雪に埋もれるのだろう。
もう疲れた。この世界に私の居場所は無い。
「大丈夫ですか。」
私の頭に積もった雪を掃いながらら、男の人が声をかけてきた。
「少しですが、食べるものと泊まる場所があります。私と一緒に来ませんか。」
この人は良い人の様に見えるが、人間を信じても良いのだろうか。
しかし、ここに居ても死ぬのを待つだけだった。
男の人が差しのべてきた手を掴むと、そのまま後を付いて行く事にした。
その人は、孤児院の院長だった。
私の様な身寄りのない獣人の子供が大勢いる。
私は孤児院に住む事が出来るようになり、院長からサリーという名前をもらった。
孤児院に引き取られてからは、少しだけど毎日食事が出来るようになった。
それでも、周囲の方々からの施しで全員が食れるだけでギリギリの生活。
国から補助金が出ているが、それ以上に孤児の人数が多い。
少しでも手助けになればと、チコの実を売ってみたけど買ってくれる人は居ない。
栄養は有るけど、とても不味い。
私でも買いたいとは思わない。
でも、私達に売れる物なんてこれしかない。
今日もダメかと思っていたら、男の子がチコの実に興味をもっているみたいだった。
孤児院の庭に植えてあるトドリの実の話までしているので、駄目かもしれないけど声を掛けてみた。
男の子は拓さんだった。
そこから先は、信じられない事ばかりだった。
OZの皆さんやエチゴさんのお陰で風邪薬を作る手伝いをする事になり孤児院の状態も改善された。
その後も、OZの皆さんが気を掛けてくれ、本当に楽しい事ばかりだった。
そして、ニックさんや、アークの皆さんも加わり、少し前では考えられない生活が出来ている。
でも、どんな事にも終わりは来る。
14歳になれば大人として認められ、私は孤児院を出て行かなければならない。
私の様な獣人が生きて行くのは厳しい。
まともな働き口なんて探せない可能性の方が高い。
孤児院を出ていくのが怖い。
しかし年下の子に不安な顔を見せる事は出来なかった。
今、年下の子が不安がらせる必要はない。
きっと、今まで孤児院を出て行った人達も同じ思いだったのだろう。
今まで、不安を訴えていた人を見た事が無かった。
私には両親の記憶が無い。
小さい頃は、いつもお腹を空かしていた記憶しか無かった。
私には何の力も無かった。
知識、腕力、そして魔法の力も・・・
生きる為に、ゴミを漁っていた。
時には人間に追われる事もあった。
何で私は独りなんだろう。
何で私は捨てられたんだろう。
何で私は獣人として生まれてしまったのだろう。
何で私は生きているんだろう。
何時も、そんな事ばかり考えていた。
その年の冬は、雪が多く
食べられるゴミも殆ど無く、路地裏でお腹を空かせて震えていた。
私はここで死ぬのだろうか。
眠い。目を閉じたら、2度と目を覚ます事も無く雪に埋もれるのだろう。
もう疲れた。この世界に私の居場所は無い。
「大丈夫ですか。」
私の頭に積もった雪を掃いながらら、男の人が声をかけてきた。
「少しですが、食べるものと泊まる場所があります。私と一緒に来ませんか。」
この人は良い人の様に見えるが、人間を信じても良いのだろうか。
しかし、ここに居ても死ぬのを待つだけだった。
男の人が差しのべてきた手を掴むと、そのまま後を付いて行く事にした。
その人は、孤児院の院長だった。
私の様な身寄りのない獣人の子供が大勢いる。
私は孤児院に住む事が出来るようになり、院長からサリーという名前をもらった。
孤児院に引き取られてからは、少しだけど毎日食事が出来るようになった。
それでも、周囲の方々からの施しで全員が食れるだけでギリギリの生活。
国から補助金が出ているが、それ以上に孤児の人数が多い。
少しでも手助けになればと、チコの実を売ってみたけど買ってくれる人は居ない。
栄養は有るけど、とても不味い。
私でも買いたいとは思わない。
でも、私達に売れる物なんてこれしかない。
今日もダメかと思っていたら、男の子がチコの実に興味をもっているみたいだった。
孤児院の庭に植えてあるトドリの実の話までしているので、駄目かもしれないけど声を掛けてみた。
男の子は拓さんだった。
そこから先は、信じられない事ばかりだった。
OZの皆さんやエチゴさんのお陰で風邪薬を作る手伝いをする事になり孤児院の状態も改善された。
その後も、OZの皆さんが気を掛けてくれ、本当に楽しい事ばかりだった。
そして、ニックさんや、アークの皆さんも加わり、少し前では考えられない生活が出来ている。
でも、どんな事にも終わりは来る。
14歳になれば大人として認められ、私は孤児院を出て行かなければならない。
私の様な獣人が生きて行くのは厳しい。
まともな働き口なんて探せない可能性の方が高い。
孤児院を出ていくのが怖い。
しかし年下の子に不安な顔を見せる事は出来なかった。
今、年下の子が不安がらせる必要はない。
きっと、今まで孤児院を出て行った人達も同じ思いだったのだろう。
今まで、不安を訴えていた人を見た事が無かった。
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