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100逆恨み
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服従の魔法を使っていた女はベルチェ。没落貴族の生き残りだった。
獣人に対し酷い差別を行っており、ブルネリ公爵に潰されたらしい。
親は死ぬ間際までブルネリ公爵を恨み、彼女もまた獣人、獣人を擁護する貴族を、ブルネリ公爵を憎んでいた。
服従の魔法については何も話さない。
裏切り者のレンドは、ベルチェの服従の魔法を使い貴族を襲わせるために近づいたのは分かっているが、背後にいる者について何も話さない。
残りの3人はレンドが連れてきたらしく、金で何でもする様な奴らだった。
今俺は、フードを被り、顔を隠す様マスクを着けて5人が捕えられている地下牢に1人で降りて行く。
魔法で老人の様なシワがられた声にしている。
ブルネリ公爵に許可をもらう際、絶対に俺だと分からない様にする事を条件にされていた。
鉄格子の向こうに5人が座って俺を睨んでいた。
全員、呪文を唱えられない様に猿轡を噛まされていた。
猿轡を外して話しかける。
「ベルチェ、レンド、こんにちは」
「・・・」
「君等は、何で獣人を憎むのかな。」
「・・・」
「ベルチェは両親が死んだことに対する逆恨みかな」
「・・・」
ますます、ベルチェの目つきが悪くなってきた。
「ベルチェの服従の魔法は一族が編み出したのかな。
あの程度の魔法にどれだけ時間をかけたんだ。
あの程度の魔法にプライドを持つとは、どれだけバカな一族なのかな。
服従の魔法なんて、たかが魔獣召喚魔法の応用だろ。」
「私の魔法を侮辱するな。手も足も出ないくせに。」
「本当にそう思っているのか。幸せな魔導師だな。」
「なんだと」
「そうだろ、あんなのは人間を猿と見立てて応用しただけじゃないか。」
この世界には魔獣召喚という魔法がある。
かなり特殊な魔法だが、魔獣の心臓に楔を打ち込み強制的に従わせる事ができる。
服従の魔法は これを応用したものだと推測したが、当りみたいだ。
普通は、自分より弱い魔獣にしか効果が無い。
しかし人間の場合は、意志を折ればベルチェでもアークのメンバーに掛けられると言う事か。
ベルチェとレンドが睨みつけてくる。
「そう言えば、人間至上主義の宗教が在るみたいだけど神は猿かゴリラなのかね。
だとすると、教祖は裸でウロウロしているのか。」
「きさま、その口を閉じろ。」
「もしかして本当に裸でウロウロしてるのか。所詮、猿の宗教だしな。
猿使いのベルチェには丁度良いじゃないか。」
声を出して笑うと2人が怒りで顔を真っ赤にしている。
「まぁ、猿宗教なんてどうでも良い。もう一度聞くけど2人は獣人を何故憎んでいるんだ。」
「獣人なんて魔法も使えない下等生物だ。」
「下等生物か。で、お前は高等生物か。レンドもそうなのか」
「当り前だ。獣人なんて家畜で十分だ。」
「その癖に、人を使って人を襲わせているな。」
「獣人を擁護するような人間もクズよ。駒として使って何が悪い。
獣人を擁護する奴等が、自分の手で獣人を殺すのよ。素晴らしいじゃない。」
笑いながら話すベルチェの顔は、もはや精神的に異常をきたしている。
「それも間違いでは無いと思うが、お前は服従の魔法を獣人にかける事が出来ないだろ。」
「・・・」
「やはりな。獣人の魔力耐性を超える事が出来ないだけか。
結局、人間の方が下等生物ってことじゃないのか。
お前等は反省しないな。無駄話は終わりにして、実験をさせてもらうよ。」
「何をしようと言うんだ。」
こいつらの言葉を無視して、眠り薬を散布する。
動かなくなった所で5人を裸にして土魔法で地面に固定。
気付け薬を使うと騒ぎ始めるが、無視して秘薬を用意する。
『秘薬の実験台にするとは、お主もどうかと思うぞ。』
そうグリムは言うがが、止めろとは言わない。
こいつらには秘薬の実験台になってもらう。
これだけの事をやってくれたんだ。医療の礎になれるだけ有りがたいと思え。
気付け薬で起こして、実験の開始だ。全員が魔法を使おうとするが、口の中にシールドを張り声を出せない様にする。
先ずはブルネリ邸に見張りに来ていた男を短剣で何度も体を刺し貫いて行く。
オーラが消えそうになった所で、秘薬を口に流し込むと体が光り傷が消えて行く。
男の口から悲鳴が上がっていたが、気を失い静かになった。
レンドとベルチェが何か言いたそうにしていたが、無視して帯剣していた男達にも同じ事をしていく。
「俺に何かしてみろ、もう何も知る事が出来なくなるぞ。」
薬を飲ませようとシールドを解くと、レンドが真っ青な顔をしてどなっている。
「そうか。」
そう言ってレンドを短剣で刺していく。
全員が気を失った後、その場にへたり込んでしまった。
「冷静でいられたと思っていたけど、精神的にギリギリだったんだな。」
『当たり前じゃ。お主の性格で、よくこんな事をしようと思ったな。』
「こんな奴等に普通に対応してやる必要はないだろ。
さっさと、こんな事は終わりにしたいしね。
くたばれギリス教、人間至上主義なんて馬鹿じゃないのか。
なんで、こんな奴等がいるんだろうな。」
『・・・』
「なぁグリム、俺も服従の呪文を使えると思うか。」
『出来るじゃろうな。お主は呪文を必要とせずに魔法を使えるからな。
でも、使うんじゃないぞ。お主が言っていた通り屑の魔法じゃ。』
「分かってる。分かっているよ。グリムと話して落ち着いたみたいだ。後の為に少し休もうか。」
獣人に対し酷い差別を行っており、ブルネリ公爵に潰されたらしい。
親は死ぬ間際までブルネリ公爵を恨み、彼女もまた獣人、獣人を擁護する貴族を、ブルネリ公爵を憎んでいた。
服従の魔法については何も話さない。
裏切り者のレンドは、ベルチェの服従の魔法を使い貴族を襲わせるために近づいたのは分かっているが、背後にいる者について何も話さない。
残りの3人はレンドが連れてきたらしく、金で何でもする様な奴らだった。
今俺は、フードを被り、顔を隠す様マスクを着けて5人が捕えられている地下牢に1人で降りて行く。
魔法で老人の様なシワがられた声にしている。
ブルネリ公爵に許可をもらう際、絶対に俺だと分からない様にする事を条件にされていた。
鉄格子の向こうに5人が座って俺を睨んでいた。
全員、呪文を唱えられない様に猿轡を噛まされていた。
猿轡を外して話しかける。
「ベルチェ、レンド、こんにちは」
「・・・」
「君等は、何で獣人を憎むのかな。」
「・・・」
「ベルチェは両親が死んだことに対する逆恨みかな」
「・・・」
ますます、ベルチェの目つきが悪くなってきた。
「ベルチェの服従の魔法は一族が編み出したのかな。
あの程度の魔法にどれだけ時間をかけたんだ。
あの程度の魔法にプライドを持つとは、どれだけバカな一族なのかな。
服従の魔法なんて、たかが魔獣召喚魔法の応用だろ。」
「私の魔法を侮辱するな。手も足も出ないくせに。」
「本当にそう思っているのか。幸せな魔導師だな。」
「なんだと」
「そうだろ、あんなのは人間を猿と見立てて応用しただけじゃないか。」
この世界には魔獣召喚という魔法がある。
かなり特殊な魔法だが、魔獣の心臓に楔を打ち込み強制的に従わせる事ができる。
服従の魔法は これを応用したものだと推測したが、当りみたいだ。
普通は、自分より弱い魔獣にしか効果が無い。
しかし人間の場合は、意志を折ればベルチェでもアークのメンバーに掛けられると言う事か。
ベルチェとレンドが睨みつけてくる。
「そう言えば、人間至上主義の宗教が在るみたいだけど神は猿かゴリラなのかね。
だとすると、教祖は裸でウロウロしているのか。」
「きさま、その口を閉じろ。」
「もしかして本当に裸でウロウロしてるのか。所詮、猿の宗教だしな。
猿使いのベルチェには丁度良いじゃないか。」
声を出して笑うと2人が怒りで顔を真っ赤にしている。
「まぁ、猿宗教なんてどうでも良い。もう一度聞くけど2人は獣人を何故憎んでいるんだ。」
「獣人なんて魔法も使えない下等生物だ。」
「下等生物か。で、お前は高等生物か。レンドもそうなのか」
「当り前だ。獣人なんて家畜で十分だ。」
「その癖に、人を使って人を襲わせているな。」
「獣人を擁護するような人間もクズよ。駒として使って何が悪い。
獣人を擁護する奴等が、自分の手で獣人を殺すのよ。素晴らしいじゃない。」
笑いながら話すベルチェの顔は、もはや精神的に異常をきたしている。
「それも間違いでは無いと思うが、お前は服従の魔法を獣人にかける事が出来ないだろ。」
「・・・」
「やはりな。獣人の魔力耐性を超える事が出来ないだけか。
結局、人間の方が下等生物ってことじゃないのか。
お前等は反省しないな。無駄話は終わりにして、実験をさせてもらうよ。」
「何をしようと言うんだ。」
こいつらの言葉を無視して、眠り薬を散布する。
動かなくなった所で5人を裸にして土魔法で地面に固定。
気付け薬を使うと騒ぎ始めるが、無視して秘薬を用意する。
『秘薬の実験台にするとは、お主もどうかと思うぞ。』
そうグリムは言うがが、止めろとは言わない。
こいつらには秘薬の実験台になってもらう。
これだけの事をやってくれたんだ。医療の礎になれるだけ有りがたいと思え。
気付け薬で起こして、実験の開始だ。全員が魔法を使おうとするが、口の中にシールドを張り声を出せない様にする。
先ずはブルネリ邸に見張りに来ていた男を短剣で何度も体を刺し貫いて行く。
オーラが消えそうになった所で、秘薬を口に流し込むと体が光り傷が消えて行く。
男の口から悲鳴が上がっていたが、気を失い静かになった。
レンドとベルチェが何か言いたそうにしていたが、無視して帯剣していた男達にも同じ事をしていく。
「俺に何かしてみろ、もう何も知る事が出来なくなるぞ。」
薬を飲ませようとシールドを解くと、レンドが真っ青な顔をしてどなっている。
「そうか。」
そう言ってレンドを短剣で刺していく。
全員が気を失った後、その場にへたり込んでしまった。
「冷静でいられたと思っていたけど、精神的にギリギリだったんだな。」
『当たり前じゃ。お主の性格で、よくこんな事をしようと思ったな。』
「こんな奴等に普通に対応してやる必要はないだろ。
さっさと、こんな事は終わりにしたいしね。
くたばれギリス教、人間至上主義なんて馬鹿じゃないのか。
なんで、こんな奴等がいるんだろうな。」
『・・・』
「なぁグリム、俺も服従の呪文を使えると思うか。」
『出来るじゃろうな。お主は呪文を必要とせずに魔法を使えるからな。
でも、使うんじゃないぞ。お主が言っていた通り屑の魔法じゃ。』
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