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056敵襲

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清々しい朝のはずが酒臭い。
初めて呑兵衛3人組の二日酔い状態を見た。
今まで、かなりの量の酒を飲んでも翌朝はケロッとしていたのに心配になったが、並んでいる空き瓶を見て納得。

「ほら、お粥を作ったよ。ここは野外なんだから少しは気を引き締めないと。」

俺が寝た後も更に飲み続け、気が付いた時には3人揃って潰れていたそうだ。
俺達を祝ってくれた飲みだったので、放置するのも可哀そうなきがする。
しかし、アルコール自体は解毒でも分解する事は出来ず、錬成術を使うにしても体内では手の施しようがない。
グリムに聞いても、対応する術は知らなかった。
効果があるか分らないが、早くアルコールを分解する様におまじない。
位置が胃の右と左どちらか覚えていないため、体内に探索魔法をかけると右側に大きな臓器を確認出来た。
その臓器に対して強化魔法をかけてみた。
昨夜の片づけを行い、昼食用にスープを作り、今日はゆっくり休むように言って遺跡に行くことにした。
遺跡には、既にサリナ姫とブルネリさんが来ていた。

「あら、今日は拓ちゃん1人なの」
「他は、二日酔いで午前中は死んでいるかな」
「それはいけないな。薬が有るので飲ませてあげてはどうだ。」
「ありがとうございます。しかし、少し苦しんだ方が良いので放置しておきましょう。」
「もしかして、いい気味って思ってない。」
「それはどうだろ。でも、お酒は飲んでものまれるなってね。
 だいたい、野外で二日酔いって少し気が緩み過ぎなんだよ。」
「そうよね。私も酔っ払いだの二日酔いだのってどうかと思うわ。」

その後は、サリナ姫と酔っ払いのダメさ加減の話で盛り上がる。
その間、バラン将軍が来たが挨拶もそこそこに遺跡調査を行っている部下の方へと離れて行った。
調査準備を行っている為、サリナ姫の提案で少し離れた丘で昼食を取る事にした。
兵士は作業で忙しいので、サリナ姫とブルネリさん、そして俺の3人で丘に向かう。

「どうこれ、私が作ったのよ。」

用意してくれたのは美味しそうなサンドイッチだった。

「凄い、美味しそう。本当にサリナお姉さんが作ったの。」
「失礼ね、当たり前じゃない。
 でも今回だけは特別よ。普段なら、遠征中に こんな料理は食べれないから。
 材料はブルネリさんのご厚意ね。」

ブルネリさんが笑っていた。

「せっかくのサリナ様の手料理だ。早速、頂く事にしよう。」
「そうですね。では、いただきます」

本当に美味しかった。
素材が新鮮だ。
そして驚いたのは食パンを使っていた。
貴族になると、食パンも当たり前の食材なのだろう。
少し食べ過ぎて横になって休んでいると、近くに攻撃意志を持つ何かが探索魔法にかかった。

『拓、囲まれているぞ。なかなか隠密行動に長けている様じゃな。』

浩司達の事は言えないな。俺も油断しすぎていた。

「気を付けて下さい。こちらに攻撃意志を持つ…多分人間に囲まれています。その数5。」

俺の言葉にブルネリさんが周囲を見渡すと、懐から杖を取り出し
サリナ姫が俺の前に出て剣を構えた。

「私とした事が、油断した。こんな所に現れるとは。」
「拓ちゃん、巻き込んでごめんね。」
「話は後で。下がってサリナお姉さん。先に俺が仕掛けるのでサポートをお願いします。」

サリナ姫が何かを言おうとしたが、俺が無理やり前に出た。
それにしても、何か違和感がある。
囲んでいる人達のオーラは皆、攻撃の感情と、それに逆らう感情が混じっている様な気がする。
しかし、先ずは自分達が生き残る事が先決だ。
姫達には呪文の様に小声で適当に呟いて隠れている場所にレイアローを打ち込む。
後方に逃げようとした敵には、逃げ道を塞ぐように更にレイアローの連続攻撃を行い敵全員をあぶり出す。
敵1人の魔力が高まり火魔法の攻撃を行い、合わせて残りが一斉に襲ってくる。
火魔法はシールドで防御し、同時に襲ってくる敵の足元にも発生させ移動阻害を行う。
このタイミングでブルネリさんが風魔法で攻撃をしかけた。
敵が体勢を崩した所で一気にダークバインドで捕獲。
それでも、攻撃を行なおうともがいている。
しかし、攻撃を行おうとしているが、顔を見ると苦しんでいる様にしか見えない。

「これは、服従の魔法か。」
「ブルネリさん、服従の魔法とは何ですか?」
「相手の意志に関係なく、命令通り操る魔法だ。」
「どうすれば、解除できるのですか?」
「未だ、解除方法は見つかっていない。」
「2人はOZのメンバーにここに来るように伝えて下さい。」
「私も残るわ。」
「邪魔です。早く行って。浩司なら俺の場所は分かります。」
「サリナ様、行きますよ。私達では彼の足手まといです。」

そう言って、何か言いたそうなサリナ姫を連れて遺跡の方へ走って行った。
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