異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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016300年後の世界

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昔から4つの王家がこの世界の中心になっている。
これは、グリムの居た時代から変わらず、王家の家系は勇者の居た時代までさかのぼる事が出来ると言われている。
200年ほど前に、4つの王家の間で戦争が起こった。グリムが言っていた村もその戦争で無くなってしまったのだろう。
そして、この世界は300年前より衰退したみたいだ。
2人に渡したポーションですら高級品になるらしい。
ミスリル、ガリウム鉱石、白磁鉱石、黒磁鉱石、アダマンタイトは高級鉱物の上、
錬成術で扱える魔導師が少なく、加工に大量の魔力を消費するため、製品になると値が跳ね上がる。
ミスリルは錬成術でなくとも一部の熟練技術者が加工を出来るため、稀に武器や防具が出回る事が有るが
アイテムボックスに関しては王族、一部の貴族が持っている程度。
拡張バッグですら市場に滅多に出ない程の高級品。それも一般的な拡張容量は10~20倍程度。
長い戦争で鉱物が少なくなり、書物は焼かれ、技術者も戦いに駆り出され死んでいった。
口頭による伝承では失われた技術も多かった。
更に、一部の技術は秘匿とされ、皆が個人で隠す様になっている。
ポーションの精製方法ですら、その1つだ。
それでも薬草を使えば多少の効力は持たせられるため、粗悪品が多い。

『情けない話じゃ。人間はどこまでいっても愚かで自分の事すら見えてないのか。』

俺達の装備に関しては安物に見えるよう細工を施す事にした。
保有魔力の属性についても聞いてみると
ほとんどの人は持っている魔力属性は1つ。
100人に1人位の割合で2属性
3属性以上持っている人になると殆ど居ないそうだ。
最も多い保有魔力は火、水、風、土。その次に木。そして光と闇があり、少ないのが氷と雷だそうだ。
あくまでもガラとレオの感覚だが、グリムの時代も同じ状態だったらしい。
やはり、基本的な所は変わらないらしい。


タランキュラスの解体を全て終える頃には夕方になっていたので、少し離れた所でキャンプをする事にした。
ガラとレオは持って帰る手段がないというので、自分たちだけで倒した1体の魔石だけを受け取り、残りは全て俺達に譲ってくれた。
町までは、ここから1週間くらい歩くそうだ。
案内をしてもらう代わりに、移動中の料理はこちらで用意する事にした。
ガラとレオの荷物は見つかったが、持っていた食料はあの固いパンだったし・・・
ガラとレオの汚れが酷過ぎたので、近くの小川で服と体を洗ってもらい、その間に夕飯の準備を行う。
食材は入手したタランキュラスの肉。レオに教わり塩ゆでにしてみる。
浩司はガラとレオの服を乾燥させて戻って来ると、俺の横で調理している様子を嬉しそうに眺めている。
蜘蛛だぞ、蜘蛛。何で浩司はそんなに嬉しそうなんだ。

茹でると奇麗に赤く色付いた。浩司が茹でたてをつまみ食い。

「おっ、蟹みたいで上手いぞ。」

俺に勧めてくるので、怖々と一口…
繊維が縦に揃っていて、味も触感も蟹だ。

「凄い。蜘蛛のくせに蟹だ。カボスみたいな果物があったから付け合わせに用意しよう。
 ダシもイケるな。明日はこれをスープにするか。」

山盛りのタランキュラスの肉と野菜サラダ、ついでにパウンドケーキを付けて夕食とした。

「凄いな。信じられないほど豪華な食事だ。」

小ざっぱりしたガラとレオが食事をみて目を輝かしていた。
改めて2人を見ると、良い体格をしている。冒険者は皆、こんなに体格が良いのだろうか?
自分の体格を考えると、少し不安が残るが気にしても仕方がない。
レオはトラだけありガラより1回りは大きい体に全身が体毛に覆われていた。
さっそく、席について食べ始める。美味しい食事に喜んでいたのも束の間、みるみる茹でた山が減って行く。
ノンビリ構えていたら、あれだけ大量に茹でたのに食べ損ねるかもしれない。
慌てて食べ始めたが、3人は俺の分を残してくれていた。
食後に紅茶を飲みながら”天地見聞録”について聞いてみると、今でも、勇者の物語として伝わっているらしい。
過去の戦争で破壊された遺跡もあるが、それなりに残っているそうだ。
噂では、遺跡には勇者の遺産への道が示されていると言われ
多くの冒険者が遺跡に入ったが何も見つけられていない。

「…それでも、俺は遺跡に行ってみたいな。」
「もちろん俺も一緒に行くぞ。それも目的の一つだからな。」

夜、遅くなってくると流石に肌寒くなる。
寝ている間は、グリムと俺の探索魔法が有るので問題無いのだがガラとレオは見張りを兼ねて外で過ごすと言うので、俺達はテントで休ませてもらう事にした。

******(ガラ)

用意してもらったデッキチェアに横になり、空を見ながら隣で同じように横になっているレオに話しかける。

「あの2人は何者なんだろうな。あれだけの力を持っていて、世事に疎い。
 このまま、俺達とチームを組んでくれたら良いのにな。」

出会った時、日にちの数え方を聞いて来た時には驚いたが、1年が春夏秋冬で4分割され、その内部を上、中、下の月という単位で分かれ、更に7日間の週という単位で区切られていると説明すると何かと比較して納得していた。
それに、俺にもレオにも同じ様に対応する。
もしかすると、他の国からやって来たのかも知れない。

「俺にも、あんな凄いポーションをくれるとは思わなかった。
 しかし、彼等が現状を知ったらどうするかな。皆がガラの様に考えられるとは思えない。
 俺だって、逆の立場ならどうするか自信が無い。それに、あれだけの魔導師なら引手数多だろう。」
「そうだよな、俺達にはもったいない位の腕だよな。しかし、まるで俺が変人みたいじゃないか。」

笑った後、そのまま黙って2人で空を見上げていた。
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