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525高み
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移動は順調に進んでいたが、目的地の村の手前の村でも怪我人が多く出ていた。
領主の貴族からも治癒魔導士が派遣されていたが手が足りていない。
その治癒魔導士も魔力を限界まで使い、本来なら数日は休んだ方が良い状態だ。
到着したのは夕方だったが
「ハック、直ぐに治療を始めるよ。」
「はい。」
拓とハックは治癒魔導士に断りを入れ、怪我人達を確認する。
応急処置は行われ、命に係わる様なけが人は居ない。
拓が魔力を浸し、ハックが治療を行う。ハックが行う治療に対し拓が気付いた点の説明する。
「拓、ハック。少し休め。食事を用意した。」
ガラに声を掛けられ外に出ると、既に暗くなっていた。
「拓さん。怪我人の様子は如何ですか?」
「事前に治療が行われていたので、今夜中には治療を終えられるかと。」
拓がエチゴに答えると、エチゴは少し考え明日の朝一で出発する事を決めた。
エチゴが事前に確認していたより状況は悪く、5カ所の村が被害に遭っていた。
合わせて拓が保管していた食料や素材を出すように指示を出す。
食後は拓が治療を行い、ハックはその状況を確認する。
ハックが普段一緒に居る時よりもスピードが速く、拓は一切口を開くことなく次から次へと治療を続け深夜まで掛かりながらも全員の治療を終えた。
拓は介護に当たっていた村人に話しを聞いて、村の裏側へ向かう。
ハックは黙って付いて行くと、そこには今回の魔獣討伐で亡くなった方々の遺体が安置されていた。
拓が両手を合わせて拝み一礼すると、ハックも同じ様に死者に対して頭を下げた。
日の出と共にエチゴ商隊は村人に見送られ出発した。
領主が派遣した治癒魔導士と護衛の兵士も彼等の馬車で同行する。
少しでも人手が有った方が良いとの判断だ。
「そういえば、エチゴさんに渡した食料や素材はどうされたのですか?」
拓がエチゴに聞くと、卸値で村長に一括で販売したと話してくれる。
「次の村も多くの怪我人が出ているそうです。
事前情報が足らず、拓さんとハックさんには迷惑を掛けてしまいますが宜しくお願いします。」
拓とハックは頷くと、馬車の隅で寝かせてもらう事にした。
次の村でも怪我人は多かったが領主が派遣した治癒魔導士も治療に当たれる程には回復していたので深夜まで掛かったが全員の治療を終えることが出来た。
そして3つ目の村へと移動したが、ここが最も被害が大きく未だ兵士達も在中しここを拠点にして周囲の魔獣退治を行っている。
村人だけでなく兵士達にも怪我人が出ていて、拓とハックは直ぐに派遣されている治癒魔導士と一緒に怪我人の治療を開始した。
治癒魔導士も3名派遣されていたが、酷い怪我人に対しては現状維持が限界だった。
ここにホワイトジャックを登場させる訳にも行かず、重体の怪我人には拓が魔力を浸し上級魔法を使える治癒魔導士に治療をさせる。
3日続けての治療を行っていたため、重症患者の治療を終えた所で拓とハックは休ませてもらう事にした。
ハックは拓と別れテントに入ると、汗を拭いて一息つく。
「ハック、お疲れ。」
ルーカスがケーキと飲み物を持ってテーブルに座る。
「随分と疲れているみたいだな。連日治療を続けていたら仕方ないか。」
「それもそうなんだけど、拓さんって今まで見ていたよりずっと高みに居てさ。
尊敬するのと同時に、自分ではどうあがいても辿り着けないと思って・・・」
「本当に凄いよな。この商隊って拓さんだけでなく、他の人達も一流の人ばかりなんだよな。
俺も叩きのめされたけどさ、皆が居る高みに辿り着くのを諦める気は無い。
それに、拓さんだって表には出さないけど、血のにじむ様な努力を続けて来たに違いない。」
「そうだね。明日からの治療の為にも寝る事にするよ。お茶とケーキありがとう。」
「頑張れよ。」
ハックは眠れないながらも、ベットに横になり目を瞑っていた。
領主の貴族からも治癒魔導士が派遣されていたが手が足りていない。
その治癒魔導士も魔力を限界まで使い、本来なら数日は休んだ方が良い状態だ。
到着したのは夕方だったが
「ハック、直ぐに治療を始めるよ。」
「はい。」
拓とハックは治癒魔導士に断りを入れ、怪我人達を確認する。
応急処置は行われ、命に係わる様なけが人は居ない。
拓が魔力を浸し、ハックが治療を行う。ハックが行う治療に対し拓が気付いた点の説明する。
「拓、ハック。少し休め。食事を用意した。」
ガラに声を掛けられ外に出ると、既に暗くなっていた。
「拓さん。怪我人の様子は如何ですか?」
「事前に治療が行われていたので、今夜中には治療を終えられるかと。」
拓がエチゴに答えると、エチゴは少し考え明日の朝一で出発する事を決めた。
エチゴが事前に確認していたより状況は悪く、5カ所の村が被害に遭っていた。
合わせて拓が保管していた食料や素材を出すように指示を出す。
食後は拓が治療を行い、ハックはその状況を確認する。
ハックが普段一緒に居る時よりもスピードが速く、拓は一切口を開くことなく次から次へと治療を続け深夜まで掛かりながらも全員の治療を終えた。
拓は介護に当たっていた村人に話しを聞いて、村の裏側へ向かう。
ハックは黙って付いて行くと、そこには今回の魔獣討伐で亡くなった方々の遺体が安置されていた。
拓が両手を合わせて拝み一礼すると、ハックも同じ様に死者に対して頭を下げた。
日の出と共にエチゴ商隊は村人に見送られ出発した。
領主が派遣した治癒魔導士と護衛の兵士も彼等の馬車で同行する。
少しでも人手が有った方が良いとの判断だ。
「そういえば、エチゴさんに渡した食料や素材はどうされたのですか?」
拓がエチゴに聞くと、卸値で村長に一括で販売したと話してくれる。
「次の村も多くの怪我人が出ているそうです。
事前情報が足らず、拓さんとハックさんには迷惑を掛けてしまいますが宜しくお願いします。」
拓とハックは頷くと、馬車の隅で寝かせてもらう事にした。
次の村でも怪我人は多かったが領主が派遣した治癒魔導士も治療に当たれる程には回復していたので深夜まで掛かったが全員の治療を終えることが出来た。
そして3つ目の村へと移動したが、ここが最も被害が大きく未だ兵士達も在中しここを拠点にして周囲の魔獣退治を行っている。
村人だけでなく兵士達にも怪我人が出ていて、拓とハックは直ぐに派遣されている治癒魔導士と一緒に怪我人の治療を開始した。
治癒魔導士も3名派遣されていたが、酷い怪我人に対しては現状維持が限界だった。
ここにホワイトジャックを登場させる訳にも行かず、重体の怪我人には拓が魔力を浸し上級魔法を使える治癒魔導士に治療をさせる。
3日続けての治療を行っていたため、重症患者の治療を終えた所で拓とハックは休ませてもらう事にした。
ハックは拓と別れテントに入ると、汗を拭いて一息つく。
「ハック、お疲れ。」
ルーカスがケーキと飲み物を持ってテーブルに座る。
「随分と疲れているみたいだな。連日治療を続けていたら仕方ないか。」
「それもそうなんだけど、拓さんって今まで見ていたよりずっと高みに居てさ。
尊敬するのと同時に、自分ではどうあがいても辿り着けないと思って・・・」
「本当に凄いよな。この商隊って拓さんだけでなく、他の人達も一流の人ばかりなんだよな。
俺も叩きのめされたけどさ、皆が居る高みに辿り着くのを諦める気は無い。
それに、拓さんだって表には出さないけど、血のにじむ様な努力を続けて来たに違いない。」
「そうだね。明日からの治療の為にも寝る事にするよ。お茶とケーキありがとう。」
「頑張れよ。」
ハックは眠れないながらも、ベットに横になり目を瞑っていた。
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