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472女将さん
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「はっはっは、サブは相変わらずだな。」
サブの様子を見て、クロイツ公爵が笑いながら話しかけてくる。
「ところで、2人には妻を領地まで送る依頼をしたいのだが良いだろうか?」
クロイツ公爵の私兵も同行するが、魔獣などの危険を察知するための冒険者の案内人を付けたいとの事。
「受けさせてもらいます。」「よろしくお願いします。」
クロイツ公爵からの説明を受けゴルゴとサブは依頼を受けることにした。改めてクロイツ公爵夫人を紹介する。
「2人の事は聞いています。とても素晴らしいAランク冒険者だそうですね。宜しく頼みます。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
「全力でお守りさせて頂きます。」
ゴルゴとサブが頭を下げ挨拶をするが、クロイツ公爵は不満顔。
「やはり面白くない。サブ、ここは『Aランク冒険者の俺に任せてくれっす。絶対に安全に領地まで送るっす』と言う場面だろ。」
クロイツ公爵に言われて、本気で困っているサブ。
その様子を見て、全員がそれは無理だろうと内心突っ込んでいた。
「今度商人見習いとして活動をする。護衛依頼を出すから受理してくれるよな。
いいか、その時は『おっちゃん』以外の呼び方は受け付けないからな。」
クロイツ公爵はサブが自分に対し貴族として対応するのが気に入らないみたいだったが、拓から見ても少しサブが可哀そうな気がする。
クロイツ公爵の執事もサブを可哀そうな感じで見ていたが、クロイツ公爵夫人は微笑んでいた。
「そうしたら、私はおっちゃんの妻と言う事で『おばちゃん』かしら。でも、それはちょっと嫌ね。」
「だったら、未来の商人の奥さんと言う事で『女将さん』なんてどうだ?」
「それは良いわね。サブさん。では私の事は『女将さん』と呼んでくださいね。貴方が話していた通り楽しいわね。」
「奥様、流石にそんな・・・その様な呼び方は問題になります。」
公爵夫婦の楽しそうな会話をサブが止めようとするが
「あら、ここに奥様なんて呼ばれる人が居るのかしら?サブさん、奥様ってどなたの事?」
この旦那にして、この妻。似たもの夫婦。
拓が思わずクロイツ公爵の執事を見るが、目が合うと首を横に振られてしまった。
「あの、女将さん。何時までその呼び方をすれば良いのでしょうか。」
「公式の場では問題になるでしょうから、それ以外では『女将さん』でよろしくね。勿論、護衛の時も『女将さん』ですからね。
それから『良いのでしょうか』ではなく『良いっすか?』と話してくれて良いわよ。
他の冒険者だと斜に構えた感じがしますが、サブさんの場合は楽しいと聞いているので。」
夫人の横でクロイツ公爵が頷いている。
サブはゴルゴや拓を見るが、2人とも残念そうに首を横に振る。
「分かったす。女将さん。」
拓のイメージする貴族との面倒事とはかけ離れているが、サブには後で美味い物でも差し入れしようと思っていた。
その前にとりあえず
「サブ、この間の結婚式で旅をしたときに買ったデザートだけど、食べてみる?」
拓が菓子を渡すと、今まで困り顔が笑顔に。
「何時もありがとな。これスゲー美味い。」
この手の菓子でこんなに元気に復活するのなら、クロイツ公爵夫妻の件は、余り気にしなくても大丈夫だと安心する拓だった。
似たもの夫婦から好かれているだけだ。
ただ、悪意も無いから問題なのかも知れない。拓にとっては国王が良い例だった。
サブの様子を見て、クロイツ公爵が笑いながら話しかけてくる。
「ところで、2人には妻を領地まで送る依頼をしたいのだが良いだろうか?」
クロイツ公爵の私兵も同行するが、魔獣などの危険を察知するための冒険者の案内人を付けたいとの事。
「受けさせてもらいます。」「よろしくお願いします。」
クロイツ公爵からの説明を受けゴルゴとサブは依頼を受けることにした。改めてクロイツ公爵夫人を紹介する。
「2人の事は聞いています。とても素晴らしいAランク冒険者だそうですね。宜しく頼みます。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
「全力でお守りさせて頂きます。」
ゴルゴとサブが頭を下げ挨拶をするが、クロイツ公爵は不満顔。
「やはり面白くない。サブ、ここは『Aランク冒険者の俺に任せてくれっす。絶対に安全に領地まで送るっす』と言う場面だろ。」
クロイツ公爵に言われて、本気で困っているサブ。
その様子を見て、全員がそれは無理だろうと内心突っ込んでいた。
「今度商人見習いとして活動をする。護衛依頼を出すから受理してくれるよな。
いいか、その時は『おっちゃん』以外の呼び方は受け付けないからな。」
クロイツ公爵はサブが自分に対し貴族として対応するのが気に入らないみたいだったが、拓から見ても少しサブが可哀そうな気がする。
クロイツ公爵の執事もサブを可哀そうな感じで見ていたが、クロイツ公爵夫人は微笑んでいた。
「そうしたら、私はおっちゃんの妻と言う事で『おばちゃん』かしら。でも、それはちょっと嫌ね。」
「だったら、未来の商人の奥さんと言う事で『女将さん』なんてどうだ?」
「それは良いわね。サブさん。では私の事は『女将さん』と呼んでくださいね。貴方が話していた通り楽しいわね。」
「奥様、流石にそんな・・・その様な呼び方は問題になります。」
公爵夫婦の楽しそうな会話をサブが止めようとするが
「あら、ここに奥様なんて呼ばれる人が居るのかしら?サブさん、奥様ってどなたの事?」
この旦那にして、この妻。似たもの夫婦。
拓が思わずクロイツ公爵の執事を見るが、目が合うと首を横に振られてしまった。
「あの、女将さん。何時までその呼び方をすれば良いのでしょうか。」
「公式の場では問題になるでしょうから、それ以外では『女将さん』でよろしくね。勿論、護衛の時も『女将さん』ですからね。
それから『良いのでしょうか』ではなく『良いっすか?』と話してくれて良いわよ。
他の冒険者だと斜に構えた感じがしますが、サブさんの場合は楽しいと聞いているので。」
夫人の横でクロイツ公爵が頷いている。
サブはゴルゴや拓を見るが、2人とも残念そうに首を横に振る。
「分かったす。女将さん。」
拓のイメージする貴族との面倒事とはかけ離れているが、サブには後で美味い物でも差し入れしようと思っていた。
その前にとりあえず
「サブ、この間の結婚式で旅をしたときに買ったデザートだけど、食べてみる?」
拓が菓子を渡すと、今まで困り顔が笑顔に。
「何時もありがとな。これスゲー美味い。」
この手の菓子でこんなに元気に復活するのなら、クロイツ公爵夫妻の件は、余り気にしなくても大丈夫だと安心する拓だった。
似たもの夫婦から好かれているだけだ。
ただ、悪意も無いから問題なのかも知れない。拓にとっては国王が良い例だった。
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