上 下
459 / 531

455念のため

しおりを挟む
次の日、OZがエチゴ屋に伺うと、クリームのメンバーも待っていた。

「来たわね。何か凄い結婚式だったんだって。」
「凄い写真も撮ったそうね。」

ジェニファーとロビンが乗り出すようにして拓に聞いてくる。
王都の冒険者にまでそんな話が伝わっているとは思っていなかったので話を聞くと、接点の有る貴族から話を聞いたらしい。

「と言うより、OZが関わっているみたいなので何か聞いていないかと質問を受けたんだ。」

ジークが貴族に色々と聞かれて大変だった話をする。
今日は他にも知り合いを回る必要が有るため写真は今度見せる事にし、
ジークとトムには長剣、ニコラスには短剣を渡す。

「拓、これは一体何だ?」

渡された剣がとんでもない代物だと分かり、ジークが驚き思わず大声になる。
拓が瘴気の吹き溜まりの状態を描いた地図を取り出すと

「ダンジョンで見つけた剣。エチゴさんとアルには槍と斧が有れば良かったんだけど、剣しかなかったから一応。
 この先、どうなるか分からない状態になっている。念の為に使いこなせるようになっておいてくれないか。」


全員が渡された剣を握りしめると、「分かった」とだけ答えていた。

「国にも情報は流しているから、最悪の事態は防げると思うけどね。あくまでも念の為だから。
 それからエチゴさん、休憩所の改造の予定を早める事は可能ですか?
 この瘴気の吹き溜まりの影響が出そうな場所は特に。」
「分かりました。私の方で調整します。出発は1ヶ月後でも大丈夫でしょうか?」
「問題ありません。宜しくお願いします。
 それから、バラキエ公爵が行った開拓地の間に休憩所を2ヶ所作りました。
 商人に話を通しておいて頂けないでしょうか。」
「・・・分かりました。」

エチゴは何か言いたげな感じだったが、拓の言葉を受け止めていた。
OZが王都に居なかった間の話を聞くと、ワンガの所の冒険者がポトリ教授の護衛として王都を離れていた。

「ワンガさん達って、瘴気の吹き溜まりの確認をしているんじゃないのか?」
「護衛をしているのは、開拓地で魔獣退治をしていた奴等だ。」

魔獣退治をしていたのはCランク冒険者だった為、拓が安全の心配をすると

「あの後も時間を作って訓練をしていたからな。休憩所を使って移動するなら問題ないだろう。」

ジークが安心するようにと話す。

「ポトリ教授の目的が何か聞いている?」
「遺跡について何か調べようとしていたみたいだが、詳しい事までは分からない。」

何をしているのかは分からないが、無事に戻って来れることを願うだけだった。
最後に土産の菓子を渡すと、ブルネリ公爵、ロダン侯爵と回り、そしてゴルゴ達の所へ改めて挨拶に伺い手紙の件で礼を言う。

「それは良いけどよ。この間、拓はどうやって王都に来たんだ?休憩所から馬でも飛ばしたのか。」

気楽に聞いて来たサブの頭をゴルゴが叩いて黙らせていた。
拓は笑って胡麻化すと、渡した剣について聞いてみる。

「剣に振り回されているって感じだな。使いこなすには時間が掛かりそうだ。しかし、こんな剣を本当に良いのか?」
「俺が持っていても宝の持ち腐れだからね。剣にとっても使われた方が嬉しいんじゃないか。」

ゴルゴが拓に改めて頭を下げると、サブも直ぐに頭を下げていた。
序にワンガ達の事を聞いてみたが、ワンガ達は森の確認を続けていて、数日は帰って来ない。
ポトリ教授の件については町と村を3つ回る事は決まっているが、その後は調べてから決めるとの事だった。
拓が色々と話をするには、帰って来るのを待つしかなさそうだった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

父のチンポが気になって仕方ない息子の夜這い!

ミクリ21
BL
父に夜這いする息子の話。

処理中です...