欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

文字の大きさ
上 下
449 / 543

445アンデット

しおりを挟む
一行が王都に近づくにつれ遭遇する魔獣の数が多くなり、更にクロイツ公爵へ緊急連絡が入った。

「この先で、大量のアンデット系の魔物が発生したとの連絡が入りました。」

前回はキラーアントの大群、そして今回はアンデット

「2度も魔物の大群に遭遇するなんて、偶然にしては出来過ぎじゃないか?」

拓が思わず声に出すが、クロイツ公爵が否定する。

「複数の瘴気の吹き溜まりが1つに融合しようとしているのは知っているな。
 アンデットはその瘴気の吹き溜まりの方からやって来ている。大量発生は、瘴気の吹き溜まりの影響の可能性が高い。」

そして、地図を広げて状況の確認を行う。
周辺には拓の作った休憩所が在るだけで、村は無い。
今後のアンデットの動き次第だが、村に戻り領主の兵と王都からの騎士団の到着を待つのが一番安全性の高い案だった。

「拓殿、どう考える。」
「兵が到着するまで数日掛かります。
 この街道の休憩所は改造をしていないので、狼煙などの準備がされていません。
 もし休憩所に人が居た場合、手遅れになるでしょう。
 私の方で攻撃を仕掛けて足止めをするので、その間に連絡員を出して休憩所を回って頂けないでしょうか。」
「そう言うと思った。」「拓だからな。当然、俺達も行くぞ。」

OZ3人の顔を見たクロイツ公爵は、止めるのをやめた。

「そうか。無理をするんじゃないぞ。」
「クロイツ公爵。アンデットが相手なら、私も力になれます。」

治癒魔導士が前に出てくるが、驚く拓。
治癒魔導士が体を鍛えているとはいえ、アンデットの魔物に接触し魔法を放てるとは思えない。

「拓殿。アンデットには治癒魔法を投げ当てるのが一番です。
 火の魔法でも倒せますが、アンデットは痛みを感じずそのまま攻撃を仕掛けて来るので危険です。」
「治癒魔法を投げ当てるなんて出来るのですか?」

やり方は他の魔法と変わらない。拓が実際に試してみると、問題なく投げることが出来た。
拓が自分の魔法について確認している間、クロイツ公爵が治癒魔導士にだけ聞こえる声で指示を出す。

「この戦いにおいて拓殿の魔法に関しては口外するな。私にもだ。良いな。」


ガラと拓、レオと治癒魔導士でそれぞれ馬に2人乗りをしてアンデットに向かった。

「この先、アンデットと遭遇するぞ。」

拓の探索魔法に大量の魔獣が引っかかる。そして実際に目にしたアンデットはホラーだった。
精神力が強化されていなければ吐いてしまいそうなほどグロい。
骨になっているのは未だ良いが、腐った肉を纏わりついたアンデットは近づかなくても臭いが漂ってきそうだった。

「攻撃を開始する。」

拓はそう言うと、治癒魔法をアンデットに向けて飛ばす。
治癒魔法の効果は絶大で、当たった所は灰になって崩れていく。
しかし、中級魔法レベルでは1発で倒すことは出来ず、何発も放つ必要が有った。

「アンデットを引き付けながら移動するぞ。」

拓の攻撃でも間に合わず、大量のアンデットに圧され少しずつ後退しながら魔法を放つ。
順調に引き付けながら移動をしていたが、アンデットの後方から今までとは異なる速さの魔獣が押し寄せて来た。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

処理中です...