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410特訓の成果

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拓とバラキエ公爵の一件以来、バラキエ公爵の派閥の領地にエチゴ商隊は来ていなかった。
怪我人も多く、領主も対応しているが十分に手が回っていないみたいだ。
ニコラスにはホワイトジャックになってもらい、拓は大量の怪我人の治療を行う。
ただ、今回は貴族の私兵が途中から同行するので、OZ、クリームが壁となりホワイトジャックに近づけない様にした。
免責札を持つ拓からも「恩を仇で返すマネはしないように」と言われて、兵士達はホワイトジャックとは距離を取っている。
兵士達にとっては、拓の行っている休憩所作りも治療も大きな恩だ。
そんな拓の不評を買うわけにはいかなかった。
そこまでしても、大変なのは拓とニコラスのホワイトジャックの変装。
不自然が無いように、お互いに変装し合ったり、呪いのロッドを使いホワイトジャックの幻影を見せていた。

「拓も大変だろうから、この先の魔獣退治は俺達に任せてくれ。」
「特訓の成果をばっちり見せてやる。」

ガラとレオは武技の絶対空間を発動させ、今まで以上の無駄のない動きで攻撃を行う。
これには拓だけでなく、クリームのメンバー、エチゴ、アルも驚いて見ていた。
そして、魔法攻撃の強い魔獣が現れると、ガラとレオは光波を使い魔法を防ぎ魔獣を倒す。

「拓、これが特訓の成果だ。」

思わず拓は2人に拍手をする。
ただ、ここまでの力を付けてもバラン将軍、オリバー隊長にはかなわないらしい。
ガラはオリバー隊長と良い所まで戦えるがどうしても決め手に欠けてしまい、レオは未だ未だそうだ。

「やっぱり、あの2人って化け物じみてるよな。」
「しかし、拓は中級魔法だけでオリバー隊長に勝ったんだろ。」
「いや、あれはオリバー隊長は本気でないし、騙し討ちのような物だから。」

ガラの言葉に他の全員が驚いて拓の事を見るので、拓は慌てて否定する。
拓から見てもバラン将軍とオリバー隊長は別格だった。
手の届かない空から全力攻撃を行なえば倒せるとは思うが、本気の試合なら魔法を放つ前に間合いを詰められてしまうだろう。


村を回り町に着く前にホワイトジャックはエチゴ商隊とは別行動を行う設定にしている。
町に着くと1日は領主に誘われ食事会に参加する。
今までの流れもあり、領主としてはどうしても拓に礼を伝えたかった。
それと同時に同年代の女性が同席し拓へアピールしてくるが、拓はそれを楽しんでいた。
そして、領主からは「ホワイトジャック様は一体どうされているのか?」と必ず質問される。

「我々も詳しく聞いたことは有りませんが、仮面を外し一般人として町で休んでいるのかも知れませんね。」
「そうか。良ければ、正体を明かすような真似はしないので、屋敷で休んで頂きたいと伝えてもらいたい。
 決して、恩をあだで返すことはしないと誓おう。」

その言葉を伝えるとは答えるが、当然ながらホワイトジャックが現れることはない。
代わりにと、拓とホワイトジャックに治療費を渡そうとするが、これに関しては拓が断っていた。
これについては、領主も想定していた様で

「そうか。ならば料理のレシピを受け取ってもらえないだろうか。
 兵士達から拓殿は料理の腕前が素晴らしいと聞いている。
 護衛の際、兵士達の食事まで用意してくれた礼だ。」

それならばと、拓も遠慮せずにレシピを受け取らせてもらう。
後で中身を見ると、しっかりと自分の領地で取れる食材を使った料理が大半を占めていた。

「流石は貴族、しっかりしているよね。まぁ、食べて見たい料理が多いから買うしかないか。」

拓は笑いながら必要な食材を購入し、宿の調理場を使わせてもらい新しい料理に挑戦していた。
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