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347秘密基地

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朝食を売った後、村長に許可を取りOZは村を回ってみる。

「本当に村なんだね。人がこうして住んでいるのを見ると凄いな。」

拓はそうに言うと、黙って村人達を嬉しそうに眺めていた。
家が立ち並び、畑の方では育ちの速い野菜が緑の絨毯を作っていた。
周囲には果樹が植えられている。
ガラとレオも拓に付き合って居たが、何時までも動こうとしないので思いっきり背中を叩く。

「拓、良くやったな。」
「安全で、良い村じゃねぇか。」

ガラとレオが笑いかけると、拓は少し困った様な感じで笑っていた。
初めの拠点にした壁も残っていて、村の集会所として使われ、いざという時の避難所になるらしい。
中を覗くと、流石に風呂場は取り壊され、椅子やテーブルが設置されて世間話に花を咲かせながら編み物をしている老夫人達の姿があった。

建物を作っている技術者達の所へ顔を出すと、

「拓殿、いらしていたのですか。お陰でもうじき私共の仕事も終わります。」
「拓殿、次の仕事の働きかけをして頂きありがとうございました。
 お陰で、今後とも安心して働くことが出来ます。」

技術者達から挨拶がされる。
ガラとレオはスラム街の技術者の挨拶を聞いて、拓の方を見たが拓は笑って応えるだけだった。

作業場から少し離れた場所で、子供達が何か作っているのが見えるので拓が覗いてみると

「大人は見ちゃ駄目だ。」

ガキ大将っぽい子供が拓の前に立ち塞がる。
立ち塞がっても、木の後ろに作った秘密基地は丸見えなのだが・・・

「これでも俺は土系の魔法が使えるんだ。秘密基地を見せてくれるなら手伝ってやれるぞ。」

拓の言葉に子供達が話し合うと

「お兄ちゃんは大人だけど、特別に見せてやる。」

ガラとレオは少し離れた所からガキ大将に連れられて行く拓を眺めていた。
秘密基地は作業場で余った廃材を使って作り上げた小屋。
中にはガタガタのテーブルもある。
得意そうな顔をする子供達に、拓はアイテムボックスから菓子を取り出しテーブルに乗せる。

「美味しい。ありがとう。」「こんなの初めて食べる。」「お兄ちゃんが作ったの?」

あっと言う間に無くなり、拓は追加で取り出した。

「兄ちゃん、土魔法で柱をしっかりと抑えてくれないかな。この家、強い風が吹くと倒れそうになるんだ。」

拓が柱を少し押すと、家が軋む。
「任せろ」拓は柱の強化でなく壁を作り上げ、ついでに入口に岩のドームの通路を作る。
子供達の「すげ~」という感心する声に調子にのり、更に1m位の高さの2階部屋を作り上げた。
木にロープを繋げ、2階へ直接入れるようにする。

屋根は子供達で廃材を使って作ってもらう。
全てを作ってしまうと子供達の秘密基地にならなくなるからだ。

「流石は拓殿だ。こんなのを簡単に作ってしまうとは。
 ほう、床も高くしてあって雨が降っても大丈夫だな。」

技術者達が作り上げた秘密基地を覗いて、その検証を始めていた。
休憩所作りで色々と教わった事を十分に生かすことが出来ていると感心していた。
そして子供達の安全の為、階段や2階部屋に手すりを付けたりと改造する。

「これだけの秘密基地なら、後で木の窓や屋根を作るのを手伝ってやろう。」
 
技術者の提案を子供達は素直に受け入れ、大喜びでテーブルなどを運び入れて、屋根のない秘密基地で遊び始めた。
拓も子供達と一緒に遊び、秘密基地に色々と追加していた。
滑り台や、迷路のような通路、秘密の抜け穴、岩のドーム、橋、見張台。建物を追加し木を囲んで中庭の様にしてしまった。
もはや子供の秘密基地と言うには立派になり過ぎてしまったが・・・

午後から技術者に時間を作ってもらいながら、木の窓や屋根の制作に取り掛かるみたいだ。
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