欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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310究極の肉

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ヘビモスの解体が終わった。
肉は解体次第拓が受け取っていたが、完全に倉庫を空けることが出来た。

素材の2割はエチゴ屋が買い取り、3割は拓が保管。
そして残りはエチゴの方で裁いてもらう。

「拓さん、ヘビモスの肉はどうされるつもりですか?」

エチゴは問題なければ、伝説と言われるような肉を売ってもらいたいと思っていたが

「そうですね。先ずは皆で食べてみましょうか?」
「皆ですか?」
「公表する訳にはいかないならOZ、クリーム、エチゴさんとアルさんですね。」
「宜しいのですか?」
「OZだけで食べきれる量では無いですから。
 ついでに、ワイバーン、ロックバード、プテラの肉も食べて見ますか。」

拓の提案に、エチゴも全身で喜んでしまう。
店に立ち寄ったクリームのメンバーに話すと、明日食事会をすることにした。


「エチゴさん、そろそろ焼けたんじゃないですか?」
「未だです。ヘビモスの肉は弱火でじっくりと普通の肉より長く焼く必要が有るそうです。」

エチゴの真剣な顔が怖い。
全員がエチゴの指示に従い、ヘビモスの肉が焼きあがった。
全員が嬉しそうに肉を口に入れる・・・誰も一言も話さず、ただ黙って肉を食べ続けた。

「美味いです。何、この肉。こんなの食べた事無い。」
「これが究極の味・・・本当に究極だ。」
「こんな肉が有ったんだな。」

拓やガラ、レオがよろこんでいると、

「拓、この肉をどうするつもりだ?」
「とりあえず、勇者の3人には食べてもらいたいので、国王に献上かな。
 後は、旅の間にでも皆で食べましょうか。」

全員から歓声が上がった。

「所で、クリームの皆さんはヘビモスの素材で新しい防具を作る気は有りますか?」
「有り難い提案だが、素材を買える程の財力は無い。」

拓の提案に残念そうにジークが答える。

「この先も行動を共にするなら防具を強化した方が良いでしょうから、素材は無償提供で良いですよ。」
「本当に良いのか?」
「安全な方が良いですから。」

最終的にクリームがOZの分の防具製造料金を支払う事で話はまとまった。
合わせてエチゴとアルの防具も新調することに。
拓にとって自分の状態を気兼ねなく話せる人達の存在は、何よりも増して大切な事だった。

その後、ワイバーン、ロックバード、プテラの焼き鳥やから揚げを食べてみると、これらも物凄く美味く
これらは知り合いに配ることにした。

国王にはワイバーン、ロックバード、プテラを1体づつとヘビモスの肉を人数分。

「こちらの肉は旅の間に治療を行った人が特別の肉と言ってもらったものです。
 食べて見たらとても美味しかったので、是非、勇者の3人と一緒に食べてみてください。」

ヘビモスの肉と言う事は隠して、献上することにした。
後はブルネリ公爵、ロダン侯爵、クロイツ公爵にワイバーン、ロックバード、プテラを1体づつプレゼントし
ジャイア男爵、ポップ男爵、ピスタ男爵は1体づつだと多過ぎると断られ3人で1体づつ渡す。

最後に寄ったのは、ゴルゴとサブの所。
既に調理済みのヘビモスのステーキ、ワイバーン、ロックバード、プテラのから揚げを渡す。

温かい内に食べる様に言われ、2人はステーキから口を付けると全て食べ終わるまで無言だった。

「兄貴、この肉は何の肉っすか?こんな美味いの、初めて食べたんすけど。」
「俺も分からない。本当に何の肉だろうな。」

その後は、から揚げをつまみに酒を飲み始めた。

次の日、解体を依頼しに拓がスラム街に来たのでゴルゴが聞いて見た。

「拓、昨日のステーキの肉は何の肉だ?」
「あれは国王に献上した特別な肉だよ。美味しかっただろ。」
「そんな肉をくれたのかよ。道理で美味いはずだ。」

拓はゴルゴとサブの喜ぶ姿を見て、こっそりと勇者3人にだけ食べさせた方が良かったかと少し思ってしまった。


城ではルドルフ料理長が頭を悩ませていた。
拓が持って来た肉。
言われた通りに調理を行い、ステーキにした。
事前に味見をしたのだが、今まで食べてきた肉とは格が違った。
拓は旅人からもらい受けたと言うが、何の肉か想像も出来ない。
色々な文献を調べ、究極の味ドラゴン、ヘビモスが記載されているのを見つけたが・・・「流石にこれはない」と文献を閉じた。
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