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294ワインとチーズ
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夕食に出て来た料理は、拓の土産のキノコがたっぷりと使われていた。
「連続で食べるより、週に1度のペースが肌に丁度良いらしい。
拓殿のお陰で国内での流通も改善するだろうから、定期的に入手できるようになるだろう。」
国王様の話に女性陣は頷きながら、キノコ料理を食べていた。
今年中に全て作り上げれば商人も動きやすくなり、国内の流通が活発になる。
バラキエ公爵の派閥の領地には休憩所を作っていないが、少し遠回りで他の派閥の領地を通れば王都までの安全に野営が出来る。
「拓様、次の目的地はどちらになるのですか?」
「具体的な場所は聞いていませんが、温泉が有ると聞いています。」
拓がサリナ姫に答えると
「拓殿の次の目的地は、ギオン山脈で温泉の他に巨大な地底湖が有るぞ。
今は特別な物は無いが、途中の町ではワインと乳製品が有名だ。
そこで作られるチーズはワインによく合う。」
何故か拓よりも拓の予定を把握している国王が説明する。
最後のワインとチーズという言葉を、あえて拓の方を見て話す。
「そうそう、チーズの種類は色々と有る。
拓殿の持っている本にチーズを使った料理が合ったが、丁度良い種類が有るかもしれないな。」
「拓様、私の方でルドルフ料理長に確認をしておきます。」
「拓さん、料理本を貸してください。チーズ料理の翻訳をしますから。」
「私も手伝います。この間見ていて、丁度良いのが有ったのよ。」
「あっ、私も手伝う。種類が豊富なら、きちんと調べないと。」
国王に乗せられて、サリナ姫を筆頭に勇者3人まで拓が買って来ることを前提に話が進む。
拓としては、買って来るつもりなので良いのだが、何となく納得できないでいた。
「話は変わるが、拓殿はダンスは出来るか?」
「いえ、全くできません。」
「今度、舞踏会を行いたいと考えているのだが、その時には拓殿には是非出席してもらいたい。」
先ほど、サリナ姫から聞いていた話だった。
流石に拓が顔を出さない訳にはいかず「分かりました」出席することにした。
とりあえず顔を出して、何時もの様に挨拶をして直ぐに抜け出せば良い。
「それは良かった。ではダンス練習の準備をしよう。
今回開催できないとしても、踊れるようになっておいて損は無いだろう。」
食事も終わり、拓としては勇者の3人とだけ話す機会が欲しい所だったので
「そう言えば、浩司の部屋ってどんな感じなんだ。良かったら覗かせてもらっても良いか?」
「良いですよ。と言っても、ホテルに住んでいる様な感じですけどね。」
オリバー隊長には外で待機してもらい、浩司の部屋に入ると20畳はある広さにトイレやシャワー室まで付いている。
「何か話が有るんじゃないですか?」
「前に話した遊覧飛行の件なんだけど、4人だけで1日行動できる様に出来ないかな?」
「本当にやってくれるんですね。」
「昼も良いけど、夜もお勧めかな。満月だと結構楽しめると思う。」
「後で、由美と里香と相談してみます。」
拓は今後の予定を話し、オリバー隊長と寄宿舎の方へと帰って行った。
****
国王の元には貴族達から拓を宮廷魔導士として迎え入れてはどうかと話が上がっている。
机の上には貴族達からの提案書が積まれていた。特にバラキエ公爵の派閥からの提案が多い。
拓が宮廷魔導士になれば、自分達の領地にも休憩所を作らせることが出来ると考えているのだろう。
「全く、何も分かっていない奴等だ。」
拓が色々と動いてくれているのは、自分より若い同郷の3人が勇者という事が大きい。
それを無理やり枠に当てはめようとすれば反発されるだけだ。
普通の魔導士なら制御できるだろうが、拓は異質過ぎる。
溜息を吐いた後、オリバー隊長から受け取った拓の魔道具の制御方法の質問に目を通す。
妙に具体的で細かい質問が記載されている。
この辺までなら答えても良い範囲だが、一体拓は何をするつもりか気になっていた。
「連続で食べるより、週に1度のペースが肌に丁度良いらしい。
拓殿のお陰で国内での流通も改善するだろうから、定期的に入手できるようになるだろう。」
国王様の話に女性陣は頷きながら、キノコ料理を食べていた。
今年中に全て作り上げれば商人も動きやすくなり、国内の流通が活発になる。
バラキエ公爵の派閥の領地には休憩所を作っていないが、少し遠回りで他の派閥の領地を通れば王都までの安全に野営が出来る。
「拓様、次の目的地はどちらになるのですか?」
「具体的な場所は聞いていませんが、温泉が有ると聞いています。」
拓がサリナ姫に答えると
「拓殿の次の目的地は、ギオン山脈で温泉の他に巨大な地底湖が有るぞ。
今は特別な物は無いが、途中の町ではワインと乳製品が有名だ。
そこで作られるチーズはワインによく合う。」
何故か拓よりも拓の予定を把握している国王が説明する。
最後のワインとチーズという言葉を、あえて拓の方を見て話す。
「そうそう、チーズの種類は色々と有る。
拓殿の持っている本にチーズを使った料理が合ったが、丁度良い種類が有るかもしれないな。」
「拓様、私の方でルドルフ料理長に確認をしておきます。」
「拓さん、料理本を貸してください。チーズ料理の翻訳をしますから。」
「私も手伝います。この間見ていて、丁度良いのが有ったのよ。」
「あっ、私も手伝う。種類が豊富なら、きちんと調べないと。」
国王に乗せられて、サリナ姫を筆頭に勇者3人まで拓が買って来ることを前提に話が進む。
拓としては、買って来るつもりなので良いのだが、何となく納得できないでいた。
「話は変わるが、拓殿はダンスは出来るか?」
「いえ、全くできません。」
「今度、舞踏会を行いたいと考えているのだが、その時には拓殿には是非出席してもらいたい。」
先ほど、サリナ姫から聞いていた話だった。
流石に拓が顔を出さない訳にはいかず「分かりました」出席することにした。
とりあえず顔を出して、何時もの様に挨拶をして直ぐに抜け出せば良い。
「それは良かった。ではダンス練習の準備をしよう。
今回開催できないとしても、踊れるようになっておいて損は無いだろう。」
食事も終わり、拓としては勇者の3人とだけ話す機会が欲しい所だったので
「そう言えば、浩司の部屋ってどんな感じなんだ。良かったら覗かせてもらっても良いか?」
「良いですよ。と言っても、ホテルに住んでいる様な感じですけどね。」
オリバー隊長には外で待機してもらい、浩司の部屋に入ると20畳はある広さにトイレやシャワー室まで付いている。
「何か話が有るんじゃないですか?」
「前に話した遊覧飛行の件なんだけど、4人だけで1日行動できる様に出来ないかな?」
「本当にやってくれるんですね。」
「昼も良いけど、夜もお勧めかな。満月だと結構楽しめると思う。」
「後で、由美と里香と相談してみます。」
拓は今後の予定を話し、オリバー隊長と寄宿舎の方へと帰って行った。
****
国王の元には貴族達から拓を宮廷魔導士として迎え入れてはどうかと話が上がっている。
机の上には貴族達からの提案書が積まれていた。特にバラキエ公爵の派閥からの提案が多い。
拓が宮廷魔導士になれば、自分達の領地にも休憩所を作らせることが出来ると考えているのだろう。
「全く、何も分かっていない奴等だ。」
拓が色々と動いてくれているのは、自分より若い同郷の3人が勇者という事が大きい。
それを無理やり枠に当てはめようとすれば反発されるだけだ。
普通の魔導士なら制御できるだろうが、拓は異質過ぎる。
溜息を吐いた後、オリバー隊長から受け取った拓の魔道具の制御方法の質問に目を通す。
妙に具体的で細かい質問が記載されている。
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