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261ダイビング

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「俺に任せて、絶対に楽しいですから。」

朝早くからジークのダイビング特訓をすることに。
皆で大の字になったジークを海の上に浮かべると、拓が下から海水を上昇させて沈まない様にする。

「魔法を使えばジークさんを持ち上げる位、簡単な事なんですから。」

拓がジークを浮かせて安心させると、

「じゃぁ、魔道具を使って海に潜りますよ。」

拓はジークの手を引いて海の中へと潜り始めた。
ジークが拓の腰にしがみ付いて来る。
計画通りのジークの行動に喜びながら、体に押し付けられるジークの逞しい身体の感触を楽しみ、落ち着かせるふりをして広い背中を撫でて筋肉の弾力を楽しんでいた。
ガラやレオと余り変わらないが、ノンケという調味料が拓の食欲を増進させる。
しかし、並外れた運動神経を持つジークなので、水に慣れてしまえば直ぐに海の中を自由に泳ぎ始めた。
残念がる拓を残して・・・


朝食後、ドレイク船長が部下2人と共にコテージの方へやって来たのだが
ドレイク船長は昨日と変わりないのだが、連れてきた部下が爽やかな美男子。
昨日見た、逞しい荒くれ者という感じの船乗りでは無かった。

「何だか、昨日見た船乗りの方々とはイメージが違いますね。」

思わず拓がドレイク船長に聞いてみると

「綺麗なお嬢さん方を乗せるんだ。問題ない人選をさせてもらった。」

ビーチの端にある桟橋には、綺麗なボートが停まっていて、逞しい荒くれ者という感じの船乗りが1人待機していた。

「目的地は、ここから30分ほど離れた無人島だ。きっと気に入ってもらえると思う。」

全員が乗り込むと、早速無人島に向けて出発。

「このボートの動力源って何ですか?」

余りにも静かに発進するので拓が気になって聞いてみると、止まった時に動力源となる魔道具を見せてくれるとの事
船は島に上陸せずに少し離れた沖で止まると、

「ここでダイビングを楽しんでから、島に上陸したいと思う。拓さん、先に動力源の魔道具を見てみるか?」

見せてもらったのは高さ1m位の円柱の魔道具。船の底に円柱の空洞があり、吸い込んだ水をジェット噴射の様に吐き出す。
推進力を作り出す部位、魔力を蓄積する部位、魔道具の動作を制御する部位の3つのパーツから成り立っていた。

「これの巨大なのが、俺の船にも取り付けられている。
 ただ、魔力保存のために、普段は帆で風を受けて進むがな。」

拓が異世界の技術に感心すると、さっそく機材を付けて海に飛び込んだ。
拓の目の前には美しいサンゴ礁が広がっていた。
この世界にもサンゴが生息していると思ってもみなかった拓は、アイテムボックスからカメラを取り出すと写真を撮りまくる。
ドレイク船長を先頭に進んでいくと、目の前には数メートルはあるサンゴの森が在った。
自分達が小さな魚になった気持ちでサンゴの森の中を泳ぎ、楽しんでいるとドレイク船長から船に戻る様に指示が出た。
潜ってから1時間ほど経ち、魔道具に魔力を補充する必要がある。

船に上がり今見て来たサンゴの話で盛り上がっていると、爽やかイケメンの船乗りが飲み物と甘い菓子を配ってくれる。
2本目のダイビングで海に潜ると、拓はカメラを船の上に置いて来た事に気付いた。
ドレイク船長に断り、船に戻ったのだが・・・
船の上では、逞しい荒くれ者の船乗りと爽やかイケメンが抱き合ってのキスの最中。
おまけにカメラは2人の直ぐ横のテーブルの上。
拓が咳ばらいをすると、2人は直ぐに離れ

「これは、その、何というか・・・」

荒くれ者の船乗りの方が、イケメンを後ろにかばい何かを言おうとするが言葉に詰まる。
拓がカメラを忘れた事を伝え取ってもらうと

「特に偏見も無いですし、他人に話す事でないのは理解していますので。
 1時間ほど潜って来るので、安心してどうぞ。」

拓が海に潜るのを見送ると、船乗り達は互いの顔を見て笑ってしまった。


海で1日遊び尽くし、ガラとレオは夕食でかなりの量の酒を飲んで寝てしまい、拓はロッジのデッキで一人で海風に当たっていた。

「ダイフク、未だ時間も早いから夜の港町の写真を撮りに行こうか。」

拓はダイフクを頭に乗せると、姿を消して町へ飛んで行った。
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