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254アンバランス

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午後、拓が休憩場所に鉄格子の門を取り付けた所で兵士達は5人残して周囲の魔獣退治に出発し、OZ、クリーム、アルは近場で訓練を初めていた。

「拓さん、何か問題でも有りましたか?」

拓は排水溝も作り上げたが、石柱の上に登り何か考え込んでいた。

「エチゴさん、門をもう一つ用意できないですかね。
 川が門とは反対側になるので、小さな門が付けられれば便利になると思うのですが。」
「確かにそうですね。ただ、頑丈な門となると直ぐの対応は難しいですね。」

すると話を聞いていた兵士が話しかけてきた。

「王都に戻る際こちらの街道を通られるのなら、門を用意するように領主様に話をさせて頂きますが如何でしょうか。」

エチゴは地図をとりだして移動のコースを検討してみたが、今回は難しく次回となる。
その代わり、裏門の準備をしてもらえる様に各領主に。依頼してみる事になった。

兵士はデイバック程の魔道具を取り出すと、直ぐに領主へ連絡を行い直ぐに対応するとの回答を貰っていた。
拓は初めて見る魔道具に興味を持ったが、長距離の通信を行なえる魔道具は町同士の通信や軍関係だけに使用される特殊な物で、一般人が手にすることは不可能だった。


魔獣討伐に向かった兵士達は、明るい内に仕留めた魔獣を3頭担いで戻ってくると休憩所の横で解体を始め、食事の礼として肉も素材も提供してくれるとの事。

「ありがとうございます、皆さん汗でも流しますか?」

拓が下心たっぷりに進めると小川から水を汲んで来ようとするので、拓が魔法で全身を湯で覆う提案をする。

「そんな事までして頂いて宜しいのですか?」
「5人づつなら問題ないですよ。」

拓は兵士に心配されるが、この程度の疲れでせっかくの楽しみを逃す手はない。
むしろ拓の疲れを癒すために必要な行為だ。
解体作業を行うメンバーを最後にし、初めの5人が裸になった。

「これは気持ちが良い。」「野外でこんな風に体を洗えるとは思わなかった。」

5人の身体を湯で覆い体を洗っている間、拓は逞しい身体を見て目の保養をしていた。

「ついでに服も洗ってしまいましょうか。」

5人を裸にしたまま、湯の玉を作り出すと服を放り込み水を動かし洗い始めた。
初めは兵士達は拓の魔法を見ていたが、直ぐに自分達の防具を拭き始める。
せっかく服まで洗ったというのに、汗と泥まみれの防具は着けたくない。

野外で素っ裸の逞しい男達が防具の手入れをしている、このアンバランスさが良い。
拓に鍛えた身体を見せつけている兵士までいる。
実際は拓の思い込みなのだが、野獣と化した兵士達に回されてしまう自分の姿を妄想してしまう。

「拓殿、大丈夫ですか。やはり疲れているのでは?」

ボーっと兵士の身体を見ていた拓を心配して声を掛けてきた兵士に、晩飯のメニューを考えていたと苦しい言い訳をしていた。


夜はバーベキュー。料理を作ると張り切っていたジェニファーとロビンには焼肉のタレを作ることで納得してもらう。
にぎやかな声と、肉の匂いにつられて多くの魔獣が集まって来た。
鉄格子の門にぶつかって来る魔獣もいるが、塀の周りは溝が掘られているので数は少なく問題は無さそうだ。

「拓殿、周囲にも多くの魔獣が集まっていますが大丈夫でしょうか?」

柱の上から見張りをしてくれている兵士が心配して声を掛けて来るが

「俺の方でも把握してます。この程度なら大丈夫ですよ。」

拓も探索魔法を使って確認しているが、壁を壊せるほどの魔獣は存在しない。
次の日の朝、周囲にいる魔獣を全て退治すると、拓と技術者は休憩所の確認を始めた。

「問題は無いですね。拓殿、本当に素晴らしい休憩所です。」

損傷が無い事が分かると、拓は満足そうな顔をしていた。
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