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222拓VSオリバー隊長
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拓は丸1日ゴロゴロして気力を取り戻し、朝から書物庫に行き遺跡に関する資料を読んでいた。
ポトリ教授が龍や黒い影が出て来る伝承とその解釈についての資料を選んでくれていた。
「魔獣としてのドラゴンと龍とは違う物として扱っているのですね。」
「ドラゴンは実在する魔獣ですが、龍は想像上の生物ですから。」
拓は西洋と東洋のイメージの違いと捉えていたが、ポトリ教授にはそれが理解できずにいた。
この世界でもドラゴンと龍は拓のイメージ通りの形をしているが、ドラゴンは実際に存在している。
「この間見せて頂いたオニキス教授の資料を読んだ後だと、龍も実際の何かを指している様に感じますね。」
「確かにそうですね。ただ、龍脈と呼ばれる力の存在は発見されていませんので。」
伝承が伝わっている地域について調べてみたが、規則性は見つかっていない。
更にラムーの遺跡の位置も確認してみたが
「こんな風に点在していると、埋もれている遺跡を発掘するのは難しそうですね。
規則性が有れば良かったのに。」
「その為、伝承を頼りに遺跡発掘を行うのが一般的です。」
どの世界でも遺跡は古代へのロマンだと考えていた。
城に滞在している間の午前中は書物庫で資料を読ませて頂くことにした。
午後は騎士団との訓練に参加させてもらい、試合形式で武技を受けたり、サポートの訓練をさせてもらったのだが
「前回は私相手と言うことで手を抜いていましたか?」
「治療してもらった拓殿に少しでも良い所を見せたくて、何時も以上に気合が入っているみたいですね。
私とも手合わせをお願いできますか。楽しみにしていたもので。」
オリバー隊長と試合をすることになったのだが、嬉しそうと言うより獰猛な獣に見える。
しかし、前回は光波に完敗してしまったが対策は立てている。
「拓殿は何か秘策が有るみたいですね。ならば、初めから本気で行かせてもらいます。」
「・・・」
拓の顔を見て、オリバー隊長の獣感が上がった。
その顔を見て襲われてみたいと思ったのは拓だけで、試合と見ようと集まっていた兵士達は背筋に寒気を感じていた。
試合開始直後、拓が攻撃魔法で集中砲火を行うと、オリバー隊長は光波を張って防いでいた。
「拓殿、それでは私を倒せませんよ。」
拓は直ぐに砂埃を巻き上げオリバー隊長の周囲を囲み、攻撃魔法を放つ。
光波を破裂させても、距離ある砂埃を払う事は出来ない。
そして、光波に遮られオリバー隊長は絶対空間を使えない。
完全に目隠しをした状態で、オリバー隊長は攻撃魔法が放たれた方向へ高速移動を行うが、
砂塵を振り払えず拓も攻撃しては移動を繰り返す。
そして、オリバー隊長が高速移動を行った先には深い穴が掘られていた。
拓はオリバー隊長が穴に落ちたタイミングで穴を塞いでしまう。
「目隠しをしている間に深い穴を掘って閉じ込める。穴にはまってさぁ大変計画成功。」
拓がガッツポーズを取っていると、塞いだ地面が割れて土砂が吹き上がる。
拓が驚いていると、穴の中から飛び出してくるオリバー隊長。
「これが本当の闘いでしたら完全に穴を埋められ私は脱出できなかったでしょう。
目隠しと攻撃は、この穴を掘るための時間稼ぎだったとは。
私の完敗です。この試合、拓殿の勝ちです。」
オリバー隊長が負けを認めると、兵士達から拍手や歓声が上がった。
「接近戦であのオリバー隊長相手だぞ。」
「拓殿とは言え魔導士が勝ったぞ。」
「信じられない、拓殿、凄いぞ。」
拓は強化魔法を解くと、膝に手を当て肩で息をしていた。
本当は座り込んでしまいたいが、オリバー隊長が普通に立っているので意地で立ち続ける。
オリバー隊長の攻撃を防ぐのに、上級魔法レベルの体力強化を行い体が悲鳴を上げていた。
移動速度はともかく、オリバー隊長の動きに反応するのに、それだけの強化魔法が必要だった。
それに厚みの岩で穴を塞いだが、それを打ち砕いていた。
それだけの力が有れば、目隠しや魔法攻撃が有ろうと十分に拓を攻撃できていただろう。
「勝ちって、オリバーさんは本気では無かったですよね。それに、岩盤の蓋を簡単に破壊するとは思いませんでした。」
「それは、お互い様ではないですか。」
「そんな事は無いです。もう、体が悲鳴を上げて限界です。」
オリバー隊長と話していると
「あの状態のオリバーを倒したのなら胸を張って良いぞ。兵の中に勝てる奴なんて居ないからな。
俺でも、一苦労するだろう。
次は俺も対戦させてもらいたいものだな。魔導士と接近戦は楽しそうだ。」
バラン将軍が笑いながら後ろから声を掛けて来たが、拓は苦笑いしか出来なかった。
「それよりも、国王様が今夜の食事に拓殿を誘っている。少し休んで準備をしてくれ。」
ポトリ教授が龍や黒い影が出て来る伝承とその解釈についての資料を選んでくれていた。
「魔獣としてのドラゴンと龍とは違う物として扱っているのですね。」
「ドラゴンは実在する魔獣ですが、龍は想像上の生物ですから。」
拓は西洋と東洋のイメージの違いと捉えていたが、ポトリ教授にはそれが理解できずにいた。
この世界でもドラゴンと龍は拓のイメージ通りの形をしているが、ドラゴンは実際に存在している。
「この間見せて頂いたオニキス教授の資料を読んだ後だと、龍も実際の何かを指している様に感じますね。」
「確かにそうですね。ただ、龍脈と呼ばれる力の存在は発見されていませんので。」
伝承が伝わっている地域について調べてみたが、規則性は見つかっていない。
更にラムーの遺跡の位置も確認してみたが
「こんな風に点在していると、埋もれている遺跡を発掘するのは難しそうですね。
規則性が有れば良かったのに。」
「その為、伝承を頼りに遺跡発掘を行うのが一般的です。」
どの世界でも遺跡は古代へのロマンだと考えていた。
城に滞在している間の午前中は書物庫で資料を読ませて頂くことにした。
午後は騎士団との訓練に参加させてもらい、試合形式で武技を受けたり、サポートの訓練をさせてもらったのだが
「前回は私相手と言うことで手を抜いていましたか?」
「治療してもらった拓殿に少しでも良い所を見せたくて、何時も以上に気合が入っているみたいですね。
私とも手合わせをお願いできますか。楽しみにしていたもので。」
オリバー隊長と試合をすることになったのだが、嬉しそうと言うより獰猛な獣に見える。
しかし、前回は光波に完敗してしまったが対策は立てている。
「拓殿は何か秘策が有るみたいですね。ならば、初めから本気で行かせてもらいます。」
「・・・」
拓の顔を見て、オリバー隊長の獣感が上がった。
その顔を見て襲われてみたいと思ったのは拓だけで、試合と見ようと集まっていた兵士達は背筋に寒気を感じていた。
試合開始直後、拓が攻撃魔法で集中砲火を行うと、オリバー隊長は光波を張って防いでいた。
「拓殿、それでは私を倒せませんよ。」
拓は直ぐに砂埃を巻き上げオリバー隊長の周囲を囲み、攻撃魔法を放つ。
光波を破裂させても、距離ある砂埃を払う事は出来ない。
そして、光波に遮られオリバー隊長は絶対空間を使えない。
完全に目隠しをした状態で、オリバー隊長は攻撃魔法が放たれた方向へ高速移動を行うが、
砂塵を振り払えず拓も攻撃しては移動を繰り返す。
そして、オリバー隊長が高速移動を行った先には深い穴が掘られていた。
拓はオリバー隊長が穴に落ちたタイミングで穴を塞いでしまう。
「目隠しをしている間に深い穴を掘って閉じ込める。穴にはまってさぁ大変計画成功。」
拓がガッツポーズを取っていると、塞いだ地面が割れて土砂が吹き上がる。
拓が驚いていると、穴の中から飛び出してくるオリバー隊長。
「これが本当の闘いでしたら完全に穴を埋められ私は脱出できなかったでしょう。
目隠しと攻撃は、この穴を掘るための時間稼ぎだったとは。
私の完敗です。この試合、拓殿の勝ちです。」
オリバー隊長が負けを認めると、兵士達から拍手や歓声が上がった。
「接近戦であのオリバー隊長相手だぞ。」
「拓殿とは言え魔導士が勝ったぞ。」
「信じられない、拓殿、凄いぞ。」
拓は強化魔法を解くと、膝に手を当て肩で息をしていた。
本当は座り込んでしまいたいが、オリバー隊長が普通に立っているので意地で立ち続ける。
オリバー隊長の攻撃を防ぐのに、上級魔法レベルの体力強化を行い体が悲鳴を上げていた。
移動速度はともかく、オリバー隊長の動きに反応するのに、それだけの強化魔法が必要だった。
それに厚みの岩で穴を塞いだが、それを打ち砕いていた。
それだけの力が有れば、目隠しや魔法攻撃が有ろうと十分に拓を攻撃できていただろう。
「勝ちって、オリバーさんは本気では無かったですよね。それに、岩盤の蓋を簡単に破壊するとは思いませんでした。」
「それは、お互い様ではないですか。」
「そんな事は無いです。もう、体が悲鳴を上げて限界です。」
オリバー隊長と話していると
「あの状態のオリバーを倒したのなら胸を張って良いぞ。兵の中に勝てる奴なんて居ないからな。
俺でも、一苦労するだろう。
次は俺も対戦させてもらいたいものだな。魔導士と接近戦は楽しそうだ。」
バラン将軍が笑いながら後ろから声を掛けて来たが、拓は苦笑いしか出来なかった。
「それよりも、国王様が今夜の食事に拓殿を誘っている。少し休んで準備をしてくれ。」
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