欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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221検診

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拓がパウロとヨーゼフの部屋に行くと、2人が抱き付いて来た。
この出迎えられ方は満点なのだが、

「先に2人の体の検診をするよ。裸になって横になってくれるかな。」

楽しみは後にして、先に約束を果たす事にする。裸になった2人の身体を見ていると

「将軍や隊長の身体も良いだろうが、俺達も捨てたもんじゃないだろ。」

パウロに言われて拓は苦笑いするしかない。
拓はパウロの逞しい身体を撫でる様に調べていたのだが・・・

「パウロはこの状態で痛みは無いのか?」
「まぁ色々と有るが、魔獣討伐をして来たばかりだからな。何時もの事だ。」

拓のにやけていた顔が引き締まり、全身を検査して治療を行うとヨーゼフにも治療を行った。

「パウロ、バラン将軍かオリバー隊長の部屋に案内してくれ。
 ヨーゼフは今から俺の体調確認を受けても良い人が居ないか声を掛けて会議室に10人ほど集めてくれないか。」

拓の真剣な様子に、パウロとヨーゼフは直ぐに動いてくれた。
拓がオリバー隊長と会議室に行くと、動ける兵士が全員揃っていた。

「このタイミングで全員が集まってくれるとは思っていませんでした。
 この間、神官の方から体を検診する治癒魔法の技術を教わりました。
 そこで、皆さんに試させて頂きたいと思いまして声を掛けさせて頂きました。
 出来れば全員に行いたいのですが協力をお願いします。」

拓が依頼という形を取ると、全員が逆にお願いしますと頭を下げる。
早速、今夜の10人を決めて、後はパウロとヨーゼフに頼んで人を分けてもらう。

空き部屋で10人の兵士の検査を行うと、全員が何処かに怪我をしたまま放置していた。
拓は見つけた怪我を治療を行ったのだが、10人目を終えた時には真夜中

「こんなに時間が掛かってしまい申し訳ありません。」
「こちらこそ、治療をして頂きありがとうございます。お陰で体の痛みが無くなりました。
 拓殿も無理をせずに、ゆっくりと休んでください。」

想像以上に時間が掛かってしまい兵士に詫びると、逆に敬礼までされていた。

「拓殿、大丈夫ですか?」
「私は大丈夫です。オリバーさんまで付き合ってもらいすみません。パウロとヨーゼフもありがとう。」
「私達の方は問題ありません。それで兵士達の体はどうでしたか?」
「全員が怪我をしています。多分、多少の痛みならと我慢している人も居るかと思います。」
「全員を見てもらえるでしょうか。」
「勿論、全員に行いますよ。皆さんには世話になっていますから。」

次の日からは、兵士達は拓の治療を受けていた。
せっかく鍛えた男達の裸を触りたい放題というのに、拓には余裕が無かった。
再び魔獣退治を行うまでに一人でも多く早く確実に治療を行う。
少しでも生存率を上げる為に・・・

『今日1日、堕落します』

3日かけて全員の治療が終わり、拓の部屋の入口に紙が貼られている。
精神を集中して治療を行っていたが、終わると反動で何もする気が起きなかった。
拓はダイフクを抱きしめてベットの上ゴロゴロして過ごしている。
昼にヨギ宮廷魔導士が拓の様子を見に来て、

「頑張り過ぎじゃな。第3騎士団の全員の治療を行っては仕方ないじゃろう。
 しかし、精神的な負担が大きいだけで、魔力欠乏にならないとは凄い。」

ラムーの遺跡で発見した水晶の玉を実際に使う予定について話し、拓が帰る日の午前中に行う事を決めた。
拓は礼を言うと、再びベットでゴロゴロと・・・
起きたのは夕方、パウロとヨーゼフが呼びに来てくれたからだった。

「拓殿、1日部屋に籠っていたが、晩飯くらい一緒に食べないか?」
「皆も拓殿が来るのを待っているけど、どうだ?」

拓はモソモソとベットから起きて食堂へ向かうと拓の目の前に大量の料理が並ぶ。

「疲れている時は、美味い飯だよな。腹いっぱい食ってくれ。」

皆からの温かい目で見られるが、こんな量を食べるのはマッチョ、ガチムチ集団だからで、拓はここまで食べれない。
そもそも、疲れたのは体力でなく精神力だ。

「おい、流石に拓殿ではそんな大量に食べれる訳ないだろう。」

オリバー隊長が笑いながら丁度いい量にしてくれる。
楽しい食事だった。拓はこの気の良い男達が無事に帰ってくることを願っていた。
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