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216呪いの魔道具

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拓が一人で城に向かうと、門番も慣れたもので直ぐに連絡を取るとオリバー隊長とヨギ宮廷魔導士がやって来た。

「何時も対応して頂き、ありがとうございます。」
「拓殿がフェアリーロゼの退治をしたというので、話を聞きたくてな。来るのを待っていたんじゃ。」

拓は、なぜ自分が退治したことになっているのか不思議に思うが、これは免責札の影響かと思い

「退治をしたのは一緒に行動したクリームのメンバーです。私は怪我人を治療しただけですので。」

間違いを訂正しておく。

「クリームがどれだけ強い冒険者だろうと、流石にコロニーを作ったフェアリーロゼを退治出来るものでは無いのじゃが?」

ヨギ魔導士だけでなく、オリバー隊長まで不思議そうに拓を見るが、
そんな魔獣退治を拓が行ったと考える方が不思議だと思うのは拓だけでないはず・・・。
この話を続けるとダンジョンで発見した魔道具の事を話さないといけなくなるので、話題を変える。

「オリバーさん、一週間ほど第3騎士団の寄宿舎に泊めて頂く事は可能ですか。」
「前回泊まった部屋を用意しますが、しかし城の方でも部屋の用意は可能ですよ。」
「城の方に泊まると気疲れするので、迷惑を掛けますが宜しくお願いします。」

拓にしてみれば逞しい肉林がそこにあるのに、城に泊まるという選択肢は存在しない。
ヨギ魔導士が魔導士団の寄宿舎でも歓迎すると言ってくれたが、

「私の冒険者としての行動だと、武技等の知識やサポート力の強化の方が有益なので。」

それなりの言い訳を述べながらも、本心は圧倒的な筋肉の差で騎士団を選ぶ。


国王とは夕食で会う予定を取ってもらい、今はクレアや勇者3人は忙しいので書物庫で魔道具やラムーの遺跡、ダンジョンについて調べることにした。
先ずは、使い方が分からない水晶の玉について調べてみると、浄化の魔道具として載っていた。
風邪などの病気を治療する事が出来るみたいだ。

「どうりで何にも反応しないはずだ。でも俺に使えるのか?」

普通の治癒魔法では切り傷などの物理的な怪我や解毒などしか対応できず、風邪などの病の治療は出来ない。
その系統の魔法が使えないと扱えない魔道具も有る。
拓は試したことは無いが、風邪などを治療する事は出来るのか分からない。

「どうかされましたか?」

独り言を呟く拓を見てオリバー隊長が近寄り、拓が読んでいる本を覗く。

「浄化の魔道具ですか。治癒魔導士なら使えるはずですよ。宮廷医師が管理していますね。
 お持ちなのですか?」

オリバー隊長に言われ、拓がアイテムボックスから水晶の玉を取り出す。

「本当に持っていたのですか。聞いておいて何ですが、むやみやたらと他人に見せない方が良いです。」
「拓殿はびっくり箱じゃな。本当に驚かされる。」

そのまま見せてしまったが、珍しい魔道具で価値が有るみたいだ。
オリバー隊長は持っている事をたずねた事を謝るが、拓としては自分が使える事を知れた事が有難かった。
ヨギ魔導士に病を治療する魔法に付いて聞いてみたが、その様な魔法は無かった。

「後で実際の治療を行ってみたらどうじゃ。問題にならない様に私の方で手配をしておこう。」

ヨギ魔導士が力を貸してくれることになった。
拓の周囲には怪我をしても病気になる人は居ないので助かる。
ついでにと、呪いの魔法や、魔道具について聞いてみると、

「呪いを使える魔導士は少なく、魔道具が無いと強い魔法は使えないと考えられている。
 体調異常や精神異常の他に魅惑や幻影というのも呪いの一種だな。
 魔道具に関しては、治癒魔導士でも使える。まぁ、治療の逆を行うような感じだ。」

城にも呪いの魔道具が有るらしく、それは呪い除けとして使われている。

「拓殿は、何か呪いに関して気になる事でも有るのですか?」
「そういう訳では無いのですが、私は妙に注目されているみたいなので知識位は持っておこうかと。」

オリバー隊長が心配してくれるが、呪いのロッドを持っているとは言えない。

「拓殿なら大丈夫じゃ。大量の魔力を保有している者に呪いは効かない。
 拓殿に呪いを掛けるとなると、それ以上の魔力が必要じゃな。」

拓はホッとした顔をするが、持っている呪いのロッドなら貯めている魔力を使えば呪いを掛けられる可能性もある。
とりあえず、拓が考えていたより使える範囲が広いと知っただけで十分だった。
魅惑や幻影、精神汚染・・・とても、素晴らしい効果だ。
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