欲にまみれた楽しい冒険者生活

204警告文

「奥へ進む入口に有った板についても話題になっているぞ。謎の探検家アンディ・ジョーンズの忠告文がな。」

アルが言うと、全員がＯＺを見る。

「楽しい冒険をしたみたいですね。で、奥は如何でしたか？」

エチゴがダンジョンの最深部について聞いていたが、それを話してしまうと拓が空を飛べる事まで話す必要があるので

「偶然に探索魔法で入口を発見しただけです。魔獣が多かったので、後はこの町の人達に調査してもらいます。
　ただ、入口付近でちょっとした武器と魔道具が有ったので手に入れました。
　今度来るときには、洞窟の調べがついていると良いですね。」

コアの部屋へ行ったことは話すのを止めていた。
その代わり、ガラとレオがマジックバックや新しい剣を使えるように魔道具や武器を入手したことは話す。
入口と言っても、コアの部屋に通じる裏口で、洞窟を完全に調べた訳では無いので嘘は言っていない。
どこかに隠し部屋が有って、新しい発見が有る・・・事を望む。

ガラとレオのマジックバックや剣を見せると

「こんな物が有ったのかよ。本当に凄いな。入口付近にもう何も残っていないのか？」
「俺が可能な限り調べた所では何も見つからなかった。迷路になっているから見落としている可能性が有るけどね。」
「拓が調べて無いのなら、何か発見されるとしても先の話だな。」

ジーク達は４本の剣を一通り試しに振らせてもらっていた。
アークが仕入れれてきた情報によるとアンディ・ジョーンズの忠告文を無視して壁の奥へ降りた冒険者が居たらしいが
大怪我をして何とか逃げ戻って来たらしい。
これにより、冒険者達は安易に進もうとはせず、念入りに準備を行う様になっていた。


町での買い物は明日にし、ＯＺとクリームが魔獣の解体を依頼した店に寄って素材と肉を受け取ろうとすると

「良ければ素材を買い取らせて貰えないか。」

ダンジョン探索で需要が上がり良い値段で買ってもらえた。
更に追加で明日までに可能な数の魔獣の解体を依頼をしたのだが

「解体依頼でなく、買い取りにさせてもらえないか？勿論色は付ける。」

ガラが値段交渉を行い、そのまま買い取ってもらう事になった。

「これだけの魔獣を退治出来るなんて良い腕をしているな。兄さん達も、ダンジョンに向かうのかい？」
「いや、俺達は護衛任務が有るので明後日には町を離れる。」
「そりゃ、残念だ。兄さん達ならアイテムボックスも有るから素材の入手を期待できたのにな。」

皆は笑って店を後にした。

ダンジョンの中には装備を備えた冒険者達が次々と入ってゆく。
そして、新たに発見された入口の前で警告文を眺める。

『ここにダンジョンの先へ向かう道を発見した。
　壁の先は多くの魔獣が存在するので注意されたし。
　十分な準備が無い者は命を落とすだろう。

　　謎の探検家アンディ・ジョーンズ』

そしてアンディ・ジョーンズは、何故「謎」という言葉を付けたのかと不思議に思うのだった。


当然、ダンジョンの新しい発見とアンディ・ジョーンズの話は王都にも伝わった。
ダンジョンの宝の所有権は発見した者にある。
多くの貴族が探索を行う為に冒険者を雇い、同時にアンディ・ジョーンズの所在を探し始めた。