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162ジュース

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この世界では画像データを送る技術が無く、国は各町から音声や文字だけで情報管理をしている。
その為、地方の貴族になると街道の安全性位しか判断が出来ず、詳細までは分からずにいた。
国としても拓の様に直接聞いて情報を得たかったが、貴族間での確執も有り上手くまとめられないでいた。
今回は、どの貴族にも免責札を持つ拓と繋がりを持ちたいという思惑があったため、それを汲んだ下の者が動いたという状態となり上手く行った。

「拓さん、ここに居たんですね。パーティを抜け出したと聞いて来ましたが・・・これはどういう状態ですか?」
「心配してくれてありがとう。あそこまで言い寄られるとちょっと怖くてね。
 話をする前に、先に席を用意しようか。浩司はそっちを持ってくれる。」

拓と浩司が席を用意し始めたので、貴族達も机や椅子を動かした。

「紹介するね。こちらはポップ男爵、ジャイア男爵、ピスタ男爵。
 それで、こちらは浩司。火炎の勇者だっけ?」
「拓さん、紹介の時に二つ名は止めてくれませんか。結構恥ずかしいです。」

4人が挨拶をすると席に着いた。

「ポップ男爵、ジャイア男爵、ピスタ男爵、良ければケーキと紅茶でも如何ですか。」

3人が喜んでと言うので、拓はアイテムボックスから取り出したケーキと茶葉をメイドに渡し、準備してもらう様にお願いした。

「拓さん、前に貰ったフルツの町のジュースは無いですか。あの後同じのを飲んだけど物足りなかったんですよ。」
「浩司も気に入った?あれ鮮度が命みたいで、作って直ぐに飲むのが良いらしいよ。」

浩司だけでなく貴族にもジュースを配ると「これは本当に美味しい。」非常に良い反応が帰って来た。
貴族の3人は拓がパーティでの貴族の対応を嫌がっていたのを見ていたので、趣味や料理の話で盛り上がっていた。

地図を写し終えた者は拓、浩司、貴族の話に聞き耳を立てながらジュースに視線が向いてしまう。
拓もその視線に気付き、ガラとレオを見ると仕方ないと頷いてくれるので

「もし良ければ、皆さんもフルツの町のジュースを飲んでみますか。」

拓が声を掛ける。

「「「ありがとうございます」」」

未だ写している人達まで答えたのには驚いた。どうやら、写しながらも聞き耳だけは立てていたらしい。
メイドにグラスを持って来てもらうと、魔法で丸い氷を作り上げジュースを注いで地図を写し終わった人から渡していく。

「こんなに透明で綺麗な丸い氷を作り出すなんて拓殿の魔法は素晴らしい。」
「本当に綺麗な丸だな。由美だとこんな形を作れないですよ。」
「攻撃の為に強い魔法を使っている由美ちゃんと、日常生活で使っている俺とを一緒にしたら駄目だろ。」
「そりゃそうなんですけどね。そうだ、拓さんなら氷の彫像が作れるんじゃないですか。」

浩司の言葉に周りから拍手が上がり「頑張れよ」ガラとレオからも声援が送られ拓も作らない訳にはいかなくなってしまった。
全員が地図の写しを終えていた所で、部屋の中央に机を並べ、貴族3人をモデルにして等身大彫像を作成。

「自分では良い感じに出来たと思っているのですが、プロではないので大目に見て頂けると助かります。」
「いやいや、素晴らしい出来ですよ。本当に素晴らしい。」

せっかく作ったので拓が貴族に同じポーズを取ってもらい彫像と一緒に写真に撮らせてもらうと、
貴族も写真を欲しいと言うので、オリバー隊長が人数分の記録媒体を用意してくれたので3人にコピーを渡す。
調子に乗った拓は、その後も写真を見ながら魔獣や城の彫像等を作り上げ待機部屋は氷の作品展示室になってしまい

「拓、流石に寒くなって来た。このままだと、俺達はパーティが終わる前に風邪をひく。」

ガラに言われ、一度アイテムボックスに収納し窓の外に並べ直した。
「部屋を暖めますね。」氷が無くなった所で浩司が魔法で部屋を一瞬で温めてくれた。
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