欲にまみれた楽しい冒険者生活

144解体作業

ゴルゴが作業場として提示された小屋は汚れていたので、拓が魔法で風や水を魔法で操り鼻歌交じりに掃除を始めた。
ダイフクも掃除に参加し、こびりついた汚れを取っている。
水が飛ぶので他のメンバーは外で待機していたのだが

「おい、あの拓っていう魔導士は何だ？幾つの魔法が使えるんだ。」

ゴルゴがガラとレオに詰め寄るが、２人は苦笑いをするしかなかった。
普通の魔導士は複数の魔法を使おうとするとそれぞれの力が弱まるため１つの系列の魔法を極める。
それに対し、色々な魔法を使いまくる拓。
それも、中級魔法の威力なので違和感を感じても仕方が無いだろう。

掃除が終わり、テーブルを並べていると

「兄貴、人手を集めてきやした。」

サブが解体作業が出来る人達を１０人連れて来た。
全員が足を引きずっていたり、腕に大きな傷が有ったりと怪我をしている。

「あんた、本当に俺達に仕事を頼むのか？」
「但し、作業が酷い場合は手数料から引きますのでそのつもりで。」
「当然だな。俺達の腕を見せてやる。お前達、やるぞ。」「「「おう。」」」

拓がテーブルの上にアイテムボックスから魔獣を取り出した。
ＯＺが見る中、１０人は解体作業を始める。
怪我を庇いながらの作業の為、所々で動きがおかしい所が有るが
その作業には無駄がなく正直ＯＺより技術は数段上だった。

「スラム街では食料も材料も無駄にできねぇからな。
　こいつらは、スラム街でも腕利きの１０人だ。怪我をするまでは解体作業を行う職人だったんだぜ。
　どうだ、腕は確かだと思うが？」

少し心配そうに話すサブに、拓は満足して頷いていた。

「それは良かった。で、後何体解体すればいいんだ。」
「そうですね。後３０体ほどですかね。良い腕を持つ人が見つかって良かった。」
「・・・」

聞いたゴルゴだけでなく、それを聞いた作業者まで固まって拓を凝視する。

「拓、作業を分担させても良いか。解体する者、汚れを落とすもの、手入れをする者。
　勿論、人数が増えても俺の責任で盗まれない様に見張るし、手数料を増やす真似はしない。」

ゴルゴの提案に拓が同意すると、サブが更に２０人ほどの人達を集めて来た。
その中には子供も居たのだが・・・汚い。

「ゴルゴさん、水を貯められる巨大な容器は無いですか？」

拓に言われ、サブが子供用プールにでも使えそうな容器を運んで来た。
拓は容器を湯で満たすと、全員に体を洗う様に指示を出し、先ずは綺麗になってもらう。

こんな風に湯で体を洗うのは珍しいのか、子供達が湯の掛け合いを始めてしまう。
拓は騒いでいる子供達の頭から冷たい水をぶっ掛けた。

「金をもらう以上、子供だろうとプロです。
　その心構えが無いなら別の人にお願いすることになりますが、どうしますか？」
「すみません。やらせてください。お願いします」
「「「お願いします。」」」

子供の中でも一番しっかりしていそうな子が頭を下げると、他の子も頭を下げる。

「量が有るから君達にも仕事をしてもらう事になりました。遊んでいる暇は無いですよ。」
「「「はい」」」

拓は子供なのにしっかりしていると感心し、仕事を始めてもらう事にした。
後は任せて大丈夫だと分かると、ＯＺは外に出て稽古を始めた。