欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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114魔導士の星

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次の日、合格発表が有ったのだが2人とも無事に合格し、1週間後に合格者で組み分けを行い護衛任務を行うことになった。

「ガラ、Cランクの試験が異常に簡単だったけど、本当に大丈夫なのか?」
「今の拓ならAランクでも問題ないレベルだからな。簡単に決まっているだろ。」
「・・・」

ここに来て、拓は初めて遥か上を目指して特訓が行われていたのを知った。
横でレオが笑っているので、知らなかったのは拓一人だけみたいだ。
エチゴとクリームに途中経過を連絡したが、誰も心配をしていなかった。
一応、特訓のレベルが高過ぎる事を言ってみたが

「Cランク試験って何を言っているのよ。これは人間が何処まで高みを目指せるのか挑戦する第一歩なの。
 拓、魔導士の星を目指すのよ。」

ジェニファーが晴れた空を指さす。
拓も指先の方向を見るが、雲一つない青空が広がっていた。
きっとジェニファーの心の目には見えている魔導士の星が輝いているのいるのだろう。


「次は、護衛任務よね。拓にとってはこれが一番の試練かしら。」

ロビンがそう言うので、拓がその問題点を聞いてみると

「食事は日持ちする硬いパンに干し肉、荷物が嵩張らないようにまともな食料は持っていけないのよ。」
「容量を誤魔化して少しくらいならアイテムボックスを使っても良いのでは?」
「それは止めた方が良いわ。他の試験を受ける冒険者だけでなく、依頼主の心証を悪くするだけよ。同じように行動した方が良いわね。」

拓はレオを見たが、「諦めろ」との言葉が返ってくるだけだった。
「で、1次試験合格祝いに、これをプレゼント」と拓の前に差し出されたのは、今話が有った硬いパンと干し肉。
護衛任務の前に食べて慣れておけと言う事だった。
その場で一口食べてみたが、パンは硬くて味がしない。干し肉は硬い。

「拓が遺跡に入ろうとした時に、買おうとした冒険者の食事だ。本物を食べられて良かったな。」

ガラが笑っているが、あの時、買わなくて良かったと本気で思った。
もう少しましな保存食は無いのかと思ったが、調理した食事なんてもって一日。
野外で腹痛なんて起こしたら危険なので、安全な硬いパンと干し肉が一般的らしい。

水系の攻撃魔法を使っているので、鍋に一口サイズにしたパンと干し肉を入れて炒めた後、水と調味料を加えてスープにしてみた。
ふやかしたパンと干し肉なら何とか合格の味。

「これなら、同行する冒険者の分も作れば問題ないでしょう。」
「まぁ、そうね。皆の分も対応してあげるのなら問題ないかしら。」

拓の場合、食料以外の荷物を持っていく必要が無いので、代わりに小さな鍋と小型のコンロの魔道具を持っていく事にした。
しかし、何故ジェニファーが残念そうにしているかが分からないでいると

「拓も私達の苦労を知る時が来たと思ったからよ。OZとの旅は食べ物が美味しかったから。」

ロビンが教えてくれると、皆が笑っていた。



冒険者ギルドでは、今回の護衛任務の試験を手伝ってくれる相手を選出する事になったのだが

「一体、何が起きている。何故、今回の試験に多くの貴族が立候補している。」

ギルド長は頭を悩ませていた。
どの貴族も、免責札を持つ拓の情報を入手しようと動いていたが、冒険者に登録する前の情報を得られないでいた。
そこに、Cランク冒険者になるための試験を受けるとの情報があり、多くの貴族が拓との接点を作ろうと立候補してた。
拓の実力を測るため、もしくは免責札の力を持つ拓を取り込もうと・・・
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