上 下
91 / 531

091目指せランクアップ

しおりを挟む
エチゴの方はこの町の領主である貴族から、村を回り食料を売っている事に対し礼を言われていた。
村の様子を伺い、村人の治療についての話になると、

「ホワイトジャックという魔導士が居たみたいだが、同行していたのか?」
「はい、途中まで馬車に乗せておりました。しかし、町に着く前に別れました。」
「兵の話では、仮面を被っていたとか。」
「その通りです。我々にも素顔を見せる事は有りませんでした。」

それとなくホワイトジャックについて聞かれたが、エチゴは何も分からないことにした。

この先も村を回るのであればと、周辺の魔獣の分布などの情報を提示してもらっていた。
エチゴが情報を記載した地図を取り出すと、かなり詳細な情報だというのが分かる。
後は、護衛をしている冒険者OZとクリームの実力を聞いて来た。
事前にOZとクリームの事は調べていたようで、拓が1人だけDランクの冒険者だというのが気になっていた様だが
Aランクの冒険者と遜色ない働きをしてくれていると話すと納得してくれた様だった。

「領主も魔獣対策で色々と動いていますが、やはり我々商人を頼りにしているみたいですね。
 皆さんの力を話したら安心していましたよ。」

ガラやレオ、ジークが力こぶを作って任せろアピール。

「そういえば、レオは未だBランクなんだろ。Aランクに上がらないのか?実力は十分すぎるだろ。」
「そうだよな。レオがAランクになればOZに箔が出るのに。」

ジークの言葉に拓が同調すると、レオに頭を小突かれた。

「お前もだよ拓。お前なんてDランクだろ。お前がランクを上げないと箔以前に受ける依頼の幅が狭いままなんだよ。
 実力は十分なんだから、お前も頑張れよ。」
「この依頼を完了すれば、拓もCランクの試験を受ける資格が得られるかもしれないな。
 王都に戻ったら、2人の資格試験の申請をしてみるか。」

ガラに言われ、2人は冒険者の昇級試験を受けることが決まった。
拓の場合は、ギルドが十分な経験を積んだと判断されれる必要があるが・・・

「だったら俺達クリームも拓を推薦してやるよ。冒険者になって1年も経っていないが何とかなるだろ。
 しかし、推薦する以上落ちるなよ。」

ジークだけでなく、クリームのメンバー全員にプレッシャーを掛けられてしまう。
試験内容を確認すると、Cランクは筆記と実技、護衛任務。Aランクは実技と護衛任務。

「拓は魔導士としての技術は何を選ぶつもりなの?」
「とりあえず、アイテムボックスの荷物持ちとしておこうかな。」
「それはどうだろう。攻撃御魔法の方が良くないかしら。その方が他の冒険者に対してけん制になるわ。」

ジェニファーがアドバイスをくれる。
アイテムボックスなら確実に合格するだろうが、他の冒険者達になめられる可能性がある。
ガラとレオとパーティを組んでいるとはいえ、力を見せておいた方が良いと。

食後に行った訓練は、全員でレオと拓の特訓に付き合ってくれた。
拓は上級魔法を放ちまくれるが、悪目立ちは余計な問題を引き起こすとして中級魔法と技で対応するようにガラに釘を刺されていた。


次の町に向かって出発する日の朝、偶然通り掛かった領主がエチゴに声を掛けて来た。
その時に、護衛の中に拓が居るのを確認したが、拓個人に何も言わずに

「エチゴの護衛、宜しく頼む。」

それだけ言ってその場を離れていった。

当然、領主がエチゴの出発時に顔を合わせたのは偶然ではない。

ホワイトジャックという魔導士が居るかも知れないと思ったが、事前に確認していた冒険者の姿しかなかった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

泣かないで、悪魔の子

はなげ
BL
悪魔の子と厭われ婚約破棄までされた俺が、久しぶりに再会した元婚約者(皇太子殿下)に何故か執着されています!? みたいな話です。 雪のように白い肌、血のように紅い目。 悪魔と同じ特徴を持つファーシルは、家族から「悪魔の子」と呼ばれ厭われていた。 婚約者であるアルヴァだけが普通に接してくれていたが、アルヴァと距離を詰めていく少女マリッサに嫉妬し、ファーシルは嫌がらせをするように。 ある日、マリッサが聖女だと判明すると、とある事件をきっかけにアルヴァと婚約破棄することになり――。 第1章はBL要素とても薄いです。

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...