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077ホワイトジャック

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村長が売ってもらえる分だけでもと交渉していると

「どうやら謎の治癒魔導士、ホワイトジャックの出番の様ですね。」

いつの間にか白衣とをまとい、以前村で治療を行った時にもらった面を被った拓が現れた。
しかも被っているのは魔よけの仮面で、見た目が怖い。

「あんな格好をしたら、自分の名前は名乗れないだろうな。」
「それ以前に、ホワイトジャックって何だ?」

後で疑問を投げかけてくる人達が居るが、拓は聞かないふりをする。
「良いのですか」エチゴが確認すると、ホワイトジャックと名乗る拓が頷いた。

村長は一瞬悩んだが、直ぐにホワイトジャックを怪我人の居る建物へと案内するので、ガラとレオも付いて行くことにした。
小屋では30人ほどの怪我人が横になって呻いている。
仮面を付けた変質者が入って来て何事かと騒めくので

「謎の治癒魔導士、ホワイトジャックが治療を行う。安心しろ。」

ホワイトジャックこと拓が声を掛けるが、騒めきは収まらない。
自分で名乗るのに「謎」という言葉を付ける、怪しい仮面を付けた変質者を受け入れられる訳が無い。

「怪我人を放置する訳にはいかない。ホワイトジャック殿に任せてみたいと思う。」

村長が落ち着かせると、直ぐにホワイトジャックは一番酷い怪我人から治療を開始した。
もはや死を待つしかないほどの傷を負っていたが、拓の治癒魔法で傷が塞がってゆく。
拓も魔法の出し惜しみはしない。
中級魔法では助けられないならと、大量の魔力を使い初めから上級魔法で治療を行っている。

ホワイトジャックは見た目は変質者だったが、驚くべき魔導士だった。
村長や看護をしていた村人達は、ホワイトジャックの治癒魔法をただ驚いて見ている。
あれだけ酷かった傷が塞がり、治療が終わってみると怪我の後すら無い。

1人目の治療が終わり、ホワイトジャックは満足そうに自分の手を見ている。
身体の構造について本で正確な知識を付けたためか、治癒魔法を使うことによる精神的な負担が一気に軽減されていた。

「飲み水を用意してもらえないか。」

拓が2人目の治療に取り掛かる前に村人に依頼すると、「はっはい。直ぐに用意します。」村人の1人が小屋から走り出ていった。
2人目の治療も終わり、水を飲んで直ぐに3人目に取り掛かる。
その日は、怪我の酷い6人に対し治療を行い、残りは明日に行う。
宿に戻ると、拓はそのまま部屋で休んでしまった。

「拓さんは大丈夫なのですか?」

エチゴが心配してガラとレオに尋ねると、疲れただけで改めて明日も治療を行うことを説明し2人はの用意されていた3人分の食事を持って部屋に戻った。

「拓、疲れは本当に大丈夫なのか?」
「精神的に疲れただけだよ。前よりずっと楽になったけど、酷い怪我だったからね。」
「拓の分の飯も持ってきたが、食べれるか。」

拓はベットの上で軽く食べると、直ぐに寝てしまった。

「頑張り過ぎなんだよ。全く人が良過ぎるだろ。」

レオが拓のほほを突くと、嬉しそうな顔をする。
2人はその顔を見て微笑むと、外に出て毎日行っている訓練を行うことにした。
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