86 / 111
Episode09:I can't marry you
5
しおりを挟む
家に帰ってからひどい自己嫌悪に陥った
TOMOKAはあの後、萌衣のそばに寄って来なかった。
何か思うところがあったのだろう。
きっとこの件もジャンに伝わってしまう。
伝わったところで、もうどうでもいいが。
結局ジャンのいる家に帰りたくなくて、実家にで戻っている状態だ。
前に借りていたマンションは解約されてしまっているので、どうしようもない。
両親は好きなだけいてもいいと言ってくれた。
こんな時、親のあたたかさがありがたかった。
父親も母親も、ジャンとのことについては詳しく聞いてこようとはしなかった。
母親が「私も昔家出したことあるのよ」と笑って言っていた。
結婚を断ったことに対してはまだ両親に伝えていなかった。
久々に両親と過ごして少しだけ気持ちが落ち着いてきた。
今まで不安が大きかったのだ。
しかし、今、あの広い家の中でジャンは一人で過ごしているのだろうかと考えてしまう自分がいた。
TOMOKAは婚約を破棄したことを知らない様子だった。
萌衣と婚約を破棄すれば、ジャンはすぐにTOMOKAの所へ行くと思っていたのに、どうやらそうではないらしい。
ジャンが何を考えているのか、全く分からなかった。
ジャンと別の生活をはじめてから、あっという間に一ヶ月が経っていた。
婚約を破棄したので、ジャンの態度が冷たくなると思ったが、意外にも、ジャンは公私混同をしなかった。
もちろん仕事には厳しいが、心なしか萌と会話をする時は、優しい気がした。
その様子を見て何も知らない、鈴木や名倉は「ブラウン部長、清水さんに興味あるんじゃなーい」なんて茶化すほどだった。
いろんな意味で興味があることには間違いない。
萌衣は「そんなことないですよ」と曖昧に笑って返事をするだけだった。
撮影した動画が一斉にアップされた。
有名な化粧品会社と、有名雑誌、そして有名なメイクアップアーティストのコラボオーディションということもあって、反響は想像以上に大きかった。
動画で使用された商品は、普段よりも多めに製造されていたというのにも関わらず、完売する勢いだった。
「工場の方にすぐ連絡を入れないといけませんね。本社の方にも連絡を入れましょう。日本でこれだけ数字を叩き出せば、イギリス本社の方でも話題になると思います」
ジャンの言葉に心が温かくなった。
「ブラウン部長のおかげです、あの時、TOMOKAさんを紹介してくれたので、ここまでやれることができました」
ジャンは意外そうな表情を浮かべて、「それはよかったです」とだけ答えた。
こんな会話を最初からしていればよかったのだろうか。
後悔しても今はもう遅い、ただの上司と部下に戻ってしまった。
離れてしまってからいかにジャンが萌えに対して優しく接していたのか、大事にしていたのかということがよくわかった。
あんな癇癪起こさなければよかったと思うと同時に、きっとあのまま続いていたら、萌衣の精神は崩壊してしまったのかもしれないと思うとて良かったのかもしれない。
兎にも角にも、この仕事は成功だった。
TOMOKAはあの後、萌衣のそばに寄って来なかった。
何か思うところがあったのだろう。
きっとこの件もジャンに伝わってしまう。
伝わったところで、もうどうでもいいが。
結局ジャンのいる家に帰りたくなくて、実家にで戻っている状態だ。
前に借りていたマンションは解約されてしまっているので、どうしようもない。
両親は好きなだけいてもいいと言ってくれた。
こんな時、親のあたたかさがありがたかった。
父親も母親も、ジャンとのことについては詳しく聞いてこようとはしなかった。
母親が「私も昔家出したことあるのよ」と笑って言っていた。
結婚を断ったことに対してはまだ両親に伝えていなかった。
久々に両親と過ごして少しだけ気持ちが落ち着いてきた。
今まで不安が大きかったのだ。
しかし、今、あの広い家の中でジャンは一人で過ごしているのだろうかと考えてしまう自分がいた。
TOMOKAは婚約を破棄したことを知らない様子だった。
萌衣と婚約を破棄すれば、ジャンはすぐにTOMOKAの所へ行くと思っていたのに、どうやらそうではないらしい。
ジャンが何を考えているのか、全く分からなかった。
ジャンと別の生活をはじめてから、あっという間に一ヶ月が経っていた。
婚約を破棄したので、ジャンの態度が冷たくなると思ったが、意外にも、ジャンは公私混同をしなかった。
もちろん仕事には厳しいが、心なしか萌と会話をする時は、優しい気がした。
その様子を見て何も知らない、鈴木や名倉は「ブラウン部長、清水さんに興味あるんじゃなーい」なんて茶化すほどだった。
いろんな意味で興味があることには間違いない。
萌衣は「そんなことないですよ」と曖昧に笑って返事をするだけだった。
撮影した動画が一斉にアップされた。
有名な化粧品会社と、有名雑誌、そして有名なメイクアップアーティストのコラボオーディションということもあって、反響は想像以上に大きかった。
動画で使用された商品は、普段よりも多めに製造されていたというのにも関わらず、完売する勢いだった。
「工場の方にすぐ連絡を入れないといけませんね。本社の方にも連絡を入れましょう。日本でこれだけ数字を叩き出せば、イギリス本社の方でも話題になると思います」
ジャンの言葉に心が温かくなった。
「ブラウン部長のおかげです、あの時、TOMOKAさんを紹介してくれたので、ここまでやれることができました」
ジャンは意外そうな表情を浮かべて、「それはよかったです」とだけ答えた。
こんな会話を最初からしていればよかったのだろうか。
後悔しても今はもう遅い、ただの上司と部下に戻ってしまった。
離れてしまってからいかにジャンが萌えに対して優しく接していたのか、大事にしていたのかということがよくわかった。
あんな癇癪起こさなければよかったと思うと同時に、きっとあのまま続いていたら、萌衣の精神は崩壊してしまったのかもしれないと思うとて良かったのかもしれない。
兎にも角にも、この仕事は成功だった。
0
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
副社長氏の一途な恋~執心が結んだ授かり婚~
真木
恋愛
相原麻衣子は、冷たく見えて情に厚い。彼女がいつも衝突ばかりしている、同期の「副社長氏」反田晃を想っているのは秘密だ。麻衣子はある日、晃と一夜を過ごした後、姿をくらます。数年後、晃はミス・アイハラという女性が小さな男の子の手を引いて暮らしているのを知って……。
【完結】やさしい嘘のその先に
鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。
妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。
※30,000字程度で完結します。
(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
---------------------
○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
---------------------
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】
remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。
干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。
と思っていたら、
初めての相手に再会した。
柚木 紘弥。
忘れられない、初めての1度だけの彼。
【完結】ありがとうございました‼
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした
瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。
家も取り押さえられ、帰る場所もない。
まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。
…そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。
ヤクザの若頭でした。
*この話はフィクションです
現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます
ツッコミたくてイラつく人はお帰りください
またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる