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Episode07:I protect you
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田口に言われたので、萌衣は家に帰る途中の車の中で、ジャンに英会話教室での出来事を報告した。
しばらく静かに萌衣の話を聞いていたジャンは「なぜ、早く言わなかったんです」と低い声で怒ったように呟いた。
「報告が遅くなってすみません……。クレームが入った時には、その人だと思っていなくて」
「そういうことを言っているんじゃありません。英会話でその女性が君につきまとっていた段階で、あなたは私に相談するべきでした」
ジャンの言っていることは、ごもっともだ。
言い返す言葉もなく、萌衣は小さな声で「すみませんでした」と謝罪を述べる。
「あなたがこんな危険な目にあうのなら、しばらく英会話教室には通っていただきたくないですね」
「え、そんな!」
ようやくイギリスの文化も学べて、ジャンに寄り添えるような気配が見えてきたのに、ここで英会話すら通えなくなってしまったら、一体何の役に立てるだろう。
「モエ。あなたに何かあったら、どうするんです?」
「でも……」
「とにかく、しばらく通うべきではありません」
「嫌です」
「モエ……」
「嫌です。私、やめたくありません」
ジャンと近づきたくて始めた英会話。
気持ちがTOMOKAに向いているのに、文化や日々の生活に寄り添えなくて、どうして夫婦になれると言えるだろう。
確かに、いろんな人間に迷惑をかけてしまっているが、高岡は英会話教室にここ数週間来ていない。
タクシーで行き来していれば、どうにか大丈夫だろう。
しかし、ジャンはそう思っていないようで、萌衣がやめたくないと言っていることに対して、呆れているようだった。
ジャンは、萌衣の気持ちを全く分かっていない。
萌衣が伝えていないというのもあるのだが、萌衣は、ジャンに気持ちが伝わっていないことがひどく寂しく感じた。
「モエ。聞き分けてください」
「嫌です。そんなの最初にもらった契約書に書いていません!」
だめだと言われると、余計に意固地になる萌衣にジャンは車を道路の脇に止めて「わかりました」と静かに言った。
「モエ。その女性が復讐する時、どんな手を使うか、世間知らずのあなたには分かっていないようですね」
ジャンは、シートベルトを外し、萌衣の両手を掴んで上にあげた。
「ジャンさん!」
ジャンは、唇を萌衣の首筋に埋めて「通い続けるってことは、こういうことをされてもいいってことでしょう?」と囁くように言った。
ジャンに触れられることが久しぶりだったので、萌衣の身体はすぐに反応し始めた。
「そんなこと、されたこと……ありません!」
「されていたら、私がその人間にどんな仕打ちを与えるかわかりませんよ。モエ」
ジャンの手が、シャツの中に入り、萌衣の素肌に触れる。
「この間、こういうことはしないって……あっ、だめ」
「いい子にできないモエには、お仕置きが必要なようです」
ジャンが、怒ったように耳たぶを甘噛みしたので、萌衣の身体はビクンと跳ねた。
しばらく静かに萌衣の話を聞いていたジャンは「なぜ、早く言わなかったんです」と低い声で怒ったように呟いた。
「報告が遅くなってすみません……。クレームが入った時には、その人だと思っていなくて」
「そういうことを言っているんじゃありません。英会話でその女性が君につきまとっていた段階で、あなたは私に相談するべきでした」
ジャンの言っていることは、ごもっともだ。
言い返す言葉もなく、萌衣は小さな声で「すみませんでした」と謝罪を述べる。
「あなたがこんな危険な目にあうのなら、しばらく英会話教室には通っていただきたくないですね」
「え、そんな!」
ようやくイギリスの文化も学べて、ジャンに寄り添えるような気配が見えてきたのに、ここで英会話すら通えなくなってしまったら、一体何の役に立てるだろう。
「モエ。あなたに何かあったら、どうするんです?」
「でも……」
「とにかく、しばらく通うべきではありません」
「嫌です」
「モエ……」
「嫌です。私、やめたくありません」
ジャンと近づきたくて始めた英会話。
気持ちがTOMOKAに向いているのに、文化や日々の生活に寄り添えなくて、どうして夫婦になれると言えるだろう。
確かに、いろんな人間に迷惑をかけてしまっているが、高岡は英会話教室にここ数週間来ていない。
タクシーで行き来していれば、どうにか大丈夫だろう。
しかし、ジャンはそう思っていないようで、萌衣がやめたくないと言っていることに対して、呆れているようだった。
ジャンは、萌衣の気持ちを全く分かっていない。
萌衣が伝えていないというのもあるのだが、萌衣は、ジャンに気持ちが伝わっていないことがひどく寂しく感じた。
「モエ。聞き分けてください」
「嫌です。そんなの最初にもらった契約書に書いていません!」
だめだと言われると、余計に意固地になる萌衣にジャンは車を道路の脇に止めて「わかりました」と静かに言った。
「モエ。その女性が復讐する時、どんな手を使うか、世間知らずのあなたには分かっていないようですね」
ジャンは、シートベルトを外し、萌衣の両手を掴んで上にあげた。
「ジャンさん!」
ジャンは、唇を萌衣の首筋に埋めて「通い続けるってことは、こういうことをされてもいいってことでしょう?」と囁くように言った。
ジャンに触れられることが久しぶりだったので、萌衣の身体はすぐに反応し始めた。
「そんなこと、されたこと……ありません!」
「されていたら、私がその人間にどんな仕打ちを与えるかわかりませんよ。モエ」
ジャンの手が、シャツの中に入り、萌衣の素肌に触れる。
「この間、こういうことはしないって……あっ、だめ」
「いい子にできないモエには、お仕置きが必要なようです」
ジャンが、怒ったように耳たぶを甘噛みしたので、萌衣の身体はビクンと跳ねた。
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