47 / 111
Episode05:I am afraid of this accident
6
しおりを挟む
「ミスター、アラマキ。ミス、シミズは身に覚えがないと言っています。先方とは、これから直接お会いして事実確認をすることになっております」
「私も同行いたします」
荒巻の申し出に、ジャンは「もちろんです」と頷いた。
「ミス、シミズも一緒に来てください」
「は、はい」
小さくなる萌衣に、荒巻は冷ややかな視線を飛ばした。
野村芽衣子が所属している事務所のエトワールプロモーションのミーティングルームの机の上には、大量のROSSETTO化粧品が並べられていた。
不満そうな表情の野村芽衣子と担当マネージャー、そしてプロモーション部の部長と向き合って、萌衣とジャンと荒巻は三人並んで頭を下げていた。
「この度は、貴社の女優であるメイコ・ノムラに、不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」
野村芽衣子は、足と腕を組み「本当よ。ありえないわ!私を誰だと思っているのよ。あの人私に、帰れよブス!って言ったのよ!」と大きな声で騒ぐ。
「事実確認をさせていただいたのですが、弊社のミス、シミズは、そのような発言をした覚えはないと申しております」
「嘘よ!この人は嘘をついているのよ!今後、現場にこの人が来るかと思うと、怖くて撮影なんかできないわ!」
ヒートアップする野村芽衣子を、マネージャーの男性が必死になだめている。
広告の撮影の時とは、まるで別人のような態度の野村芽衣子に、萌衣は驚きを隠せなかった。
「分かりました。今後一切、現場にはミス、シミズを近づけません」
「嫌よ!この女をクビにしてちょうだい!でなければ、今後一切ROSSETTOには出ないわ!」
金切り声がミーティングルームに響いた。
マネージャーとプロモーション部の部長は、うんざりしたような表情で野村芽衣子を見ている。
どうやら、野村芽衣子のヒステリーは通常運転のようなものだったらしい。
普通なら、プロモーション部の部長という立場で会社の稼ぎ頭である野村芽衣子が誹謗中傷されようものなら、一番に苦情を言ってくるようなものなのだが、「野村もこう申しておりまして」とやや低姿勢だ。
しかし、いくらエトワールプロモーションの中で、野村芽衣子が尊大な態度を取っていると分かったところで、萌衣にはどうすることもできなかった。
身に覚えがないことで、ここまで責められるというのも辛かったが、ジャンの目の前で罵詈雑言を浴びせられている状態も非常にやるせなかった。
荒巻が「ブラウン部長仕方ないですよ……」と言葉にした時だった。
「分かりました。今後一切、弊社はメイコ・ノムラを使わないといった方向で動いてまいります」
ジャンがはっきりと宣言をした。
「私も同行いたします」
荒巻の申し出に、ジャンは「もちろんです」と頷いた。
「ミス、シミズも一緒に来てください」
「は、はい」
小さくなる萌衣に、荒巻は冷ややかな視線を飛ばした。
野村芽衣子が所属している事務所のエトワールプロモーションのミーティングルームの机の上には、大量のROSSETTO化粧品が並べられていた。
不満そうな表情の野村芽衣子と担当マネージャー、そしてプロモーション部の部長と向き合って、萌衣とジャンと荒巻は三人並んで頭を下げていた。
「この度は、貴社の女優であるメイコ・ノムラに、不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」
野村芽衣子は、足と腕を組み「本当よ。ありえないわ!私を誰だと思っているのよ。あの人私に、帰れよブス!って言ったのよ!」と大きな声で騒ぐ。
「事実確認をさせていただいたのですが、弊社のミス、シミズは、そのような発言をした覚えはないと申しております」
「嘘よ!この人は嘘をついているのよ!今後、現場にこの人が来るかと思うと、怖くて撮影なんかできないわ!」
ヒートアップする野村芽衣子を、マネージャーの男性が必死になだめている。
広告の撮影の時とは、まるで別人のような態度の野村芽衣子に、萌衣は驚きを隠せなかった。
「分かりました。今後一切、現場にはミス、シミズを近づけません」
「嫌よ!この女をクビにしてちょうだい!でなければ、今後一切ROSSETTOには出ないわ!」
金切り声がミーティングルームに響いた。
マネージャーとプロモーション部の部長は、うんざりしたような表情で野村芽衣子を見ている。
どうやら、野村芽衣子のヒステリーは通常運転のようなものだったらしい。
普通なら、プロモーション部の部長という立場で会社の稼ぎ頭である野村芽衣子が誹謗中傷されようものなら、一番に苦情を言ってくるようなものなのだが、「野村もこう申しておりまして」とやや低姿勢だ。
しかし、いくらエトワールプロモーションの中で、野村芽衣子が尊大な態度を取っていると分かったところで、萌衣にはどうすることもできなかった。
身に覚えがないことで、ここまで責められるというのも辛かったが、ジャンの目の前で罵詈雑言を浴びせられている状態も非常にやるせなかった。
荒巻が「ブラウン部長仕方ないですよ……」と言葉にした時だった。
「分かりました。今後一切、弊社はメイコ・ノムラを使わないといった方向で動いてまいります」
ジャンがはっきりと宣言をした。
1
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる