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Episode04:I worried about you

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「怪我はありませんか?」

 運転しながら、ジャンは心配そうな声色で萌衣に尋ねた。

「大丈夫です。ちょっと、手のひらを擦りむいたぐらいで大した怪我はありません」

「大した怪我ですよ。他に痛いところは?」

「大丈夫です。そして、ありがとうございます」

「もっと早くにモエを見つけていれば、あんな怖い思いをさせずに済んだのですが」

 ジャンがあの中年男性のことを思い出したようで、苛立ったような口調で「Bollocks!くそ! He is Asshole!あの尻の穴め!」と思い切り普段使わないようなスラング英語で、罵っている。

 実際、萌衣はイギリス英語に詳しくなかったので、その言葉の意味を理解していなかったのだが、普段紳士的なことで有名なジャンのことを知っている人間が、その言葉を聞いていたら、さぞ驚いていたことだろう。

「えっと……ジャンさん?」

「大丈夫ですよ。モエ。あの男は、社会的にしっかり抹消しておきます」

「いやいや、そんな。日本では、ああいう酔っぱらいよくいますし。私もジャンさんにこの間お酒で失敗して絡んでしまったし……」

「モエ。それは違います。あなたのお酒の失敗と、あの男と一緒にしてはいけません。あの男性はあなたに暴力を振るいました。自分が攻撃されることに、諦め慣れないでください」

 はっきりと萌衣の意見を「NO」と否定して、ジャンは車を道の脇に止めた。

「ジャンさん……?」

「彼が、モエとどういうことをしたかったか、分かって言っていますか?」

 静かな車内の中で、ジャンが真剣な声色を出して萌衣を見た。

「あの……」

 ジャンの手が静かに萌衣の肩に触れる。

 その手がゆっくり萌衣の鎖骨まで降りてきて、止まった。

「モエ。彼が萌衣としたかったのは、この先のことですよ」

「そんなこと……」

「ないと言い切れますか?」

 厳しい表情で言葉を放つジャンに、萌衣は何も言い返すことができなかった。

 沈黙が二人を包む。

 ジャンの厳しい視線に耐えられなくなって、先に目を反らしたのは萌衣だった。

 確かに、ナンパしてくる男は、最終的にそういった・・・・・行為が目的だ。

「ごめんさない」

 急に怖かったという現実が萌衣の中で襲ってきて、泣きそうになりながら謝罪をした。

「謝ってほしいわけではないんです。あなたが心配で……」

 洋梨の香りがふわっと香る。

 ジャンに抱きしめられたのだ。

I have feel really love you more than you think.君が思っているより愛しているんです。I worried about you君が心配だ

「ジャンさん……」

「モエ。無事でよかった」

 ジャンの腕の中は心地が良かった。

 鍛えれらた厚い胸板に顔をうずめて、洋梨の香りに包まれる。

 顔を上げると、微笑んだジャンが、萌衣の額に触れるだけのキスをした。

 そんな大事にされてしまったら、勘違いしてしまう。

 愛されている、なんて。


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