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Episode03:I don't like you

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 TOMOKAに解放されてホテルに戻ってきた頃には、午前零時を過ぎていた。

 途中からアルコールではなくジュースを飲んでいたのだが、すっかり酔っぱらってしまっている。

 しかし、一緒に酒を酌み交わしたおかげでだいぶ目途が立った。

 個人的な連絡先交換もできたため、何かあればTOMOKAに個人的に連絡をしてもいいことになっている。

 この進歩は非常にありがたかった。

 あとは、日本に帰国した後で企画書を作り直す必要がある。

「頑張ろう……」
 
 ベッドに横になり、スマートフォンにWi-Fiを接続する。

 メッセージを確認していると、ジャンから「大丈夫そうか?」と連絡が入っていた。

 酔っぱらっていたということもあり、少しだけ気が大きくなっていた萌衣は、ジャンに電話をかけた。

 電話はワンコールで繋がって「はい」とジャンの声が耳元で聞こえる。

「あ、ジャンさんだ」

「そっちは真夜中でしょう。ホームシックになりましたか?」

 電子レンジが過熱終了したことをお知らせする音が聞こえた。

「ジャンさんは今からご飯ですか?」

「……随分と酔っぱらっているようですね。ちゃんと部屋のドアのカギは閉めました?」

「オートロックなので大丈夫ですう!それよりも、何食べているんですか?」

 何がおかしいのか自分でも分からなかったが、萌衣はケラケラと笑い声をあげながらジャンに尋ねた。

「お弁当ですよ。一人なので手抜きです」

「え、そうなんですか。ジャンさんは、一人でもちゃんと料理を作ると思っていました」

「男が一人だと手抜きすることだってありますよ。あなたが帰国した際には、美味しい手料理を振舞っていただくことにしたいですね」

「嫌ですよ。ジャンさんが作ってください。私、ジャンさんに怒ってるんですから。ちなみにロサンゼルスに出張させたことは怒ってませんからね。ルール、ルールって言いますけど、私人間なんですから。心のある人間なんですからねー」

「それは分かっています。私が至らず申し訳ありません」

「嘘。絶対うそ。ジャンさんは、別に私のことを好きだと思ってはいないでしょ。結婚だって政略結婚だから、結婚するだけって言ってたじゃない」

「それは言葉のあやです。政略結婚だけであなたと結婚するのではありません」

「じゃあ、好きって言って。私、ちゃんと愛し合った人じゃないと、結婚したくないです」

 酔いが最高に回っている状態で、萌衣はジャンに毒づいた。

「モエ。これ以上男心を煽ると、帰国したら抑えきれませんよ。今、だいぶ手加減して接してるんですから」

 小さくため息をついてジャンは、子供をたしなめるように萌衣に「リミッターを外したのは、あなたですから、後悔しても知りませんよ」と低い声で言った。

「そうやって逃げたいだけでしょ。ジャンさんはずるい」

I love you much more than you think君が思っているより愛しているよ。モエ、あなたは酔っぱらっているようですし、大事な話は日本に帰国してからじっくり話し合いましょう」

「ふん。逃がさないんだからね」

 吐き捨てるように言って、萌衣は電話を切った。

 そして、そのまま深い眠りにつくのだった。

 
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