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Episode02:This is my wife
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「今日の夕食は、外食にしましょう」
運転をしながら、ジャンがスマートフォンを取り出して、好きな店を選ぶようにと高級レストランが入ったリストを見せてくる。
平均予算、一人二万円から四万円だ。
「あの……これ全部高くないですか?」
実家のお祝い事など特別な時に行ったことがあるレストランばかりだったので、萌衣は気後れしてしまった。
昨日スーパーで買った食材もまた冷蔵庫に残っているというのに、一体どうしたのだろう。
「あなたの大きな仕事が決まった前祝です」
「まだ、成功していないですよ……」
「成功させないと決め込んで仕事をするつもりですか?ミス、シミズ」
二人の時には名前を呼べと自分から言ったくせに、こういう時だけ仕事モードだ。
「わかりました。じゃあ、ここでお願いします」
六本木にある高級ホテルの最上階にあるレストランを指さすと、ジャンは「Good lovely」と笑った。
アメリカンスタイルのバーでは、店内の中央に真っ黒なグランドピアノが設置されており、天井からは大きなシャンデリアがぶら下がっている。
「ワインリストを」
スタッフも外国人なので、気兼ねなくジャンは英語で注文をする。
やはり日本語を話している時よりも、リラックスできているようだ。
「モエは何が飲みたいですか?ここは、魚が美味しいので、白ワインの方がおススメですが」
「じゃあそれでお願いします。ちょっと甘口だとありがたいです」
「わかりました」
スタッフが去った後、店内に流れるジャズを聴きながら、萌衣はジャンを見た。
豪華絢爛な店の雰囲気に引けを取らない容姿に、中身、そして財力。
何をとってもパーフェクトだ。
上司と部下という関係だった時には、全く気にならなかったようなことが、立場が変わっただけで無性に気になってくる。
「何か言いたそうな表情をしていますが、どうかしましたか?」
実際言葉にしようとすると、どのような言葉で表現すればよいのか分からない。
ジャンさんは、何が好きなんですか?
アイスが好きということは知っていますが、テレビなどバラエティやYoutubeなんかは観たりするんですかね。
こんな軽口を叩けるような性格だったら、きっとコミュニケーションも円滑だったに違いない。
ジャンが普通の男性と同じように少しでも隙があるのであれば「もう!堅物部長も、家に帰れば普通の男なんですね」なんて形勢逆転なんて話ありそうなのだが。
部屋の仲で衣服を脱ぎ捨てるような真似は一切しないし、むしろ萌衣が面倒見てもらっていることの方が多い。
運転をしながら、ジャンがスマートフォンを取り出して、好きな店を選ぶようにと高級レストランが入ったリストを見せてくる。
平均予算、一人二万円から四万円だ。
「あの……これ全部高くないですか?」
実家のお祝い事など特別な時に行ったことがあるレストランばかりだったので、萌衣は気後れしてしまった。
昨日スーパーで買った食材もまた冷蔵庫に残っているというのに、一体どうしたのだろう。
「あなたの大きな仕事が決まった前祝です」
「まだ、成功していないですよ……」
「成功させないと決め込んで仕事をするつもりですか?ミス、シミズ」
二人の時には名前を呼べと自分から言ったくせに、こういう時だけ仕事モードだ。
「わかりました。じゃあ、ここでお願いします」
六本木にある高級ホテルの最上階にあるレストランを指さすと、ジャンは「Good lovely」と笑った。
アメリカンスタイルのバーでは、店内の中央に真っ黒なグランドピアノが設置されており、天井からは大きなシャンデリアがぶら下がっている。
「ワインリストを」
スタッフも外国人なので、気兼ねなくジャンは英語で注文をする。
やはり日本語を話している時よりも、リラックスできているようだ。
「モエは何が飲みたいですか?ここは、魚が美味しいので、白ワインの方がおススメですが」
「じゃあそれでお願いします。ちょっと甘口だとありがたいです」
「わかりました」
スタッフが去った後、店内に流れるジャズを聴きながら、萌衣はジャンを見た。
豪華絢爛な店の雰囲気に引けを取らない容姿に、中身、そして財力。
何をとってもパーフェクトだ。
上司と部下という関係だった時には、全く気にならなかったようなことが、立場が変わっただけで無性に気になってくる。
「何か言いたそうな表情をしていますが、どうかしましたか?」
実際言葉にしようとすると、どのような言葉で表現すればよいのか分からない。
ジャンさんは、何が好きなんですか?
アイスが好きということは知っていますが、テレビなどバラエティやYoutubeなんかは観たりするんですかね。
こんな軽口を叩けるような性格だったら、きっとコミュニケーションも円滑だったに違いない。
ジャンが普通の男性と同じように少しでも隙があるのであれば「もう!堅物部長も、家に帰れば普通の男なんですね」なんて形勢逆転なんて話ありそうなのだが。
部屋の仲で衣服を脱ぎ捨てるような真似は一切しないし、むしろ萌衣が面倒見てもらっていることの方が多い。
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