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162 公爵令嬢は第四期テストを受ける

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 第四期テストがついに始まる。

 このテストは、座学、武術、魔法実技の三種目以外に、自由研究、海事研修、合同野外活動、学校祭、武闘会、主催パーティ等トータルの成績を見て順位付けされる。

 つまり、私が頑張った諸々が相当評価されて、かなり上位、いや、トップの座に君臨するんじゃなかろうか!

 よし、そうと決まれば座学と実技に全力を振りまいておこう!

 テストでは計算式や方程式の例をいくつかと、細かな地方特産品と魔獣の分布図、元素記号や多数の法則をテストの裏にびっしり余剰書きしておいた。

 あと、最近ゴーレム作りがちだから、あえて的をアダマンタイトでコーティングして、誰も壊せない的を作りあげた後、最終的に破壊して見せた。

 結果、座学一位(やり過ぎ)、武術最下位、魔法実技一位(いい加減にしろ)という結果になった。

 そしてそして、お待ちかねの学校行事の追加点。

 主催パーティはみんなからの評判も高かったし、自由研究だって大好評。

 ジョニー先生とのバトル、学校祭や武闘会でも私は注目の的になっていた。

 海事研修や合同野外活動では、先生方もびっくりな結果をしっかりと残している。
 
 運動神経皆無の私だって、水泳は誰よりも得意だし、乗馬だってスムーズに乗りこなす事が出来た。

 誰もが手に負えない不良だって改心させられた。

 しかし何より、沢山の発明品を作ったのは評価が低い訳が無い。

 算盤から始まり、麦料理(特にもち麦の発見)、熱気球、オモカゲの正体、タイプライター、そして複数人での複合魔法の成功。

 これだけでは済まされないほどの偉業の数々を成し遂げたんだ、一位になっていない方がおかしい。

 結果発表。

 一位 リリー・ヤークン

 ……は?

 二位 ロナウド・アースフィールド

 ……ふ?

 三位 セシル・クアングルド

 ……ほ?

  なぜ、私の名前がないの?

 生徒会長にだってなったじゃない!

 国王陛下にだって表彰を貰ったんだよ?

 なぜこんな結果に!?

 「基本スペックは前例にないほど高いが、基本的に授業態度が悪いからだ。」

 なんだって!?

 嘘だと言ってよ、ジョニー先生!

 「そのまんまじゃねぇか。
 授業中に本読んだり落書きしたり、魔法実技で危ない実験してたり、森中の動物を狩り散らかしたり。
 毎日叱られてばっかだろ。」

 し、叱られるのはほぼ毎日だし、ゲンコツだって常にされてるけど、魔法の実験は私だけじゃないじゃん!

 「周りの奴らはお前に比べりゃ可愛いもんだよ。
 それに、マイナス以上の結果をしっかり出してるからな。」

  私だって、結果はしっかり残してるのに!

 「だから、結果以上に日頃の態度が悪いからこの評価なんだろ。
 ちったぁ反省しろよな。」

 ちくしょう、ちくしょう!!

 国王陛下に言いつけてやる!

 「やめろ!
 そういう事しようとするから、評価が下がるんじゃねぇか!」

 私を高い高いして動きを封じるジョニー先生。

 だから、子供扱いをやめろー!!


 結果として、私は四位にとどまった。

 プラスとしては群を抜いていた私だが、学校一評価の低いエリックと肩を並べるくらいマイナス点が多かったそうだ。

 不良のエリックと同類とか、何たる屈辱!



 この順位は、二年生の第一期テストまで活用されることになる。

 つまり、この評価の内容が、来年の新入生にもバレてしまうんだね……

 恐ろしくて身震いしてきた。

 もう、この際一位になったリリーちゃんが生徒会長すればいいじゃん。

 「「「それとこれとは話が別」」」

 三人で声を揃えてまで言わないでよ。

 あと、このテストで生徒会は完全に引き継ぎ終了、私達が運営することになった。

 更に言うと、顧問が変わりジョニー先生になった。

 「お前ら、いくら生徒会が暇だからって、遊んでばかりいるなよ。
 特に生徒会長、勉強もせず遊んでばっかだと、どんどん成績が下がっていくからな。」

 悪ガキのような扱い方するんじゃない!



 俺、もっと授業態度よくて成績優良者として学校から表彰受けてたくらいだったのに、フランだと何故こうなる?

 でもそれは仕方がない話、ここは魔法のある世界。

 地球の常識なんて微塵もない。

 こんなの、実験や研究をしない方が頭がイカれてしまう。

 それに、俺と私が目指す、世の中が便利なもので溢れかえる世界にするためには、学校の成績なんて気にするだけ無駄だと気づいた。

 よし、来年度からも先生になんと言われようが色んな実験や研究をやっていくぞ!

 「それを止めるのが、俺の役割だ。
 これから覚悟しておけよ、小娘が。」

 ギロりと睨まないでジョニー先生、怖い怖い!
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