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128 公爵令嬢は男爵領を案内する
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前日夜飲みすぎた二人のせいで、活動は午後からになった。
本当は食べ歩きをしたいと思ってたけとこのザマなので、今日は昨日廻らなかった工場の見学をする事に。
サトウキビ工場等、食材生産地付近を散策。
塩、砂糖と言った必要不可欠な調味料と、安定した卵と豊富な魚介類の供給によって、この領地は豊かな食文化になっていると言っても過言ではない。
更に、貴重な紙を量産出来ている事と、識字率の高い領民のおかげで、実は本の生産も特産品となっている。
「……この領地は、軍事力はほぼ無いに等しいですが、それ以外の文化はかなり最先端のものですね……」
「ああ、全く驚く限りだ。
この土地をこれ程までに発展させたのが、たった七歳の幼女だったとは思えないな。」
この二人で会話している時は他人行儀なのに、私に対してだと人前でも完全に素になってしまってる。
その事について、お互い何も思わないのかしら。
夕食は、昨日の件もあってあっさりさっぱり系。
うどんに醤油出汁のおでん、豆腐料理と飲み物は緑茶。
「この汁麺は以前食べたものと味が全然違いますね。
味が薄いのかと思わせておいて、あっさりとしたスープなのにしっかりとした味で、太くコシの強い麺がそれを引き立たせています。」
「はんぺんと言う食べ物は、もちもちと面白い食感をしているな。
それにこの大根、とろっとろで口の中に入れた途端にほぐれてしまう。
スープもさっぱりとしていて飲みやすい。」
「豆がこのような奇妙な食べ物になるのですか……
醤油というタレをかけたこれは、ひんやりと柔らかく豆の風味が微かに香る、意外と美味しい食材ですね。」
「はぁ、食後に飲むこのお茶は、なんとも癒される。
香ばしい香りといい、渋みの中にある甘味といい、口の中をさっぱりと締めくくってくれる。」
食レポが上手くなりましたね、お二人とも。
「貴女はどれ程食べ物に対して貪欲なのですか。
先程から私たちよりも沢山食べているし、食い意地がすごいですよ。」
「とても素晴らしい発想力と味覚だ。
私では到底作れないものばかり、しかもこれ程バリエーションが豊富とは。
天才とは君の事をいうのだな!」
褒められてるのか貶されてるのか、どっちなんだい!
五日目はリゾート地帯。
初めての水着で海水浴とウォータースライダーを体験。
最初は水着を恥ずかしがっていた二人だけど、そんなのは一瞬ですぐに海水浴を楽しんだ。
そして、私の泳ぎを披露することもできた。
「あの運動神経皆無の貴女からは想像も出来ませんでした。
泳げると言うのは嘘ではなかったのですね。」
「見事な遊泳だ。
無駄な力が一切なく、フォームも美しい。
私にも泳ぎ方を教えてほしいくらいだ。」
段々と両極端になってきた二人の性格。
相性的にどうなんだろう。
ウォータースライダーは二人とも大ハマり
「「大人気なくはしゃいでしまった」」
大丈夫、国王陛下もドチャクソはしゃいでおられましたから。
おやつ休憩に駄菓子屋へ。
「これ程小さな店など訪れたことがないはずなのに、不思議と安心感がありますね……」
「ふふっ、小さなお菓子がひとつひとつで売ってあって、子どもたちのお小遣いで買えるあたりが優しくもあり可愛らしいな。」
ミラ副会長は、自分にはすごく厳しいのに、人には優しくて褒めるのが得意なんだね。
それに比べてカーネル生徒会長ときたら、絶対一回は皮肉を言わなきゃならないのかね。
ミラ副会長はそんなカーネル生徒会長の何に惹かれているのか訳が分からないよ。
彼らにはそのままリゾートホテルでおくつろぎ頂く。
さぁ、国内最高峰のおもてなしを受けるが良い!
翌朝。
「あのマッサージはなんですか!
女性が私の裸をマッサージしてくるなんて聞いていませんよ!
全身の凝りや疲れはすっかりなくなり、その腕前は大変上質なものでしたが、恥ずかしくてたまらなかったじゃないですか!」
「素晴らしいもてなしだったよ。
寝具や家具の品質はもちろん、従業員の礼儀作法まで徹底されていて、何より景色が美しい!
ここが『小さな楽園』と呼ばれる所以だよ。」
二人とも楽しめたみたいで良かった。
最終日は中心街で散策。
屋台やカフェやお菓子屋、ブロッサム商会フィアンマ男爵領支店、路上ライブ等、街中でも楽しめるものは多いはず。
「本当に、この領地をたった一人で作り上げたのですか?
全く信じられません。」
信じなくて良いよ、色んな人の協力があってこそのこのフィアンマ男爵領なんだから。
「本当に素敵な街並みだ。
たった一人で作り上げたとは思えないほど美しい。」
だから、私一人だけじゃないって!
「私の領地、楽しんでいただけましたか?」
「ええ、完璧ではありませんが、楽しめるものはありましたね。」
「とても楽しかったよ。
こんなに素晴らしい場所へ招待してくれて、本当にありがとう。」
良かった良かった、満足してくれて。
「「学校に戻りたくない……」」
最後に、生徒会の人間がとんでもないことを言いやがった。
本当は食べ歩きをしたいと思ってたけとこのザマなので、今日は昨日廻らなかった工場の見学をする事に。
サトウキビ工場等、食材生産地付近を散策。
塩、砂糖と言った必要不可欠な調味料と、安定した卵と豊富な魚介類の供給によって、この領地は豊かな食文化になっていると言っても過言ではない。
更に、貴重な紙を量産出来ている事と、識字率の高い領民のおかげで、実は本の生産も特産品となっている。
「……この領地は、軍事力はほぼ無いに等しいですが、それ以外の文化はかなり最先端のものですね……」
「ああ、全く驚く限りだ。
この土地をこれ程までに発展させたのが、たった七歳の幼女だったとは思えないな。」
この二人で会話している時は他人行儀なのに、私に対してだと人前でも完全に素になってしまってる。
その事について、お互い何も思わないのかしら。
夕食は、昨日の件もあってあっさりさっぱり系。
うどんに醤油出汁のおでん、豆腐料理と飲み物は緑茶。
「この汁麺は以前食べたものと味が全然違いますね。
味が薄いのかと思わせておいて、あっさりとしたスープなのにしっかりとした味で、太くコシの強い麺がそれを引き立たせています。」
「はんぺんと言う食べ物は、もちもちと面白い食感をしているな。
それにこの大根、とろっとろで口の中に入れた途端にほぐれてしまう。
スープもさっぱりとしていて飲みやすい。」
「豆がこのような奇妙な食べ物になるのですか……
醤油というタレをかけたこれは、ひんやりと柔らかく豆の風味が微かに香る、意外と美味しい食材ですね。」
「はぁ、食後に飲むこのお茶は、なんとも癒される。
香ばしい香りといい、渋みの中にある甘味といい、口の中をさっぱりと締めくくってくれる。」
食レポが上手くなりましたね、お二人とも。
「貴女はどれ程食べ物に対して貪欲なのですか。
先程から私たちよりも沢山食べているし、食い意地がすごいですよ。」
「とても素晴らしい発想力と味覚だ。
私では到底作れないものばかり、しかもこれ程バリエーションが豊富とは。
天才とは君の事をいうのだな!」
褒められてるのか貶されてるのか、どっちなんだい!
五日目はリゾート地帯。
初めての水着で海水浴とウォータースライダーを体験。
最初は水着を恥ずかしがっていた二人だけど、そんなのは一瞬ですぐに海水浴を楽しんだ。
そして、私の泳ぎを披露することもできた。
「あの運動神経皆無の貴女からは想像も出来ませんでした。
泳げると言うのは嘘ではなかったのですね。」
「見事な遊泳だ。
無駄な力が一切なく、フォームも美しい。
私にも泳ぎ方を教えてほしいくらいだ。」
段々と両極端になってきた二人の性格。
相性的にどうなんだろう。
ウォータースライダーは二人とも大ハマり
「「大人気なくはしゃいでしまった」」
大丈夫、国王陛下もドチャクソはしゃいでおられましたから。
おやつ休憩に駄菓子屋へ。
「これ程小さな店など訪れたことがないはずなのに、不思議と安心感がありますね……」
「ふふっ、小さなお菓子がひとつひとつで売ってあって、子どもたちのお小遣いで買えるあたりが優しくもあり可愛らしいな。」
ミラ副会長は、自分にはすごく厳しいのに、人には優しくて褒めるのが得意なんだね。
それに比べてカーネル生徒会長ときたら、絶対一回は皮肉を言わなきゃならないのかね。
ミラ副会長はそんなカーネル生徒会長の何に惹かれているのか訳が分からないよ。
彼らにはそのままリゾートホテルでおくつろぎ頂く。
さぁ、国内最高峰のおもてなしを受けるが良い!
翌朝。
「あのマッサージはなんですか!
女性が私の裸をマッサージしてくるなんて聞いていませんよ!
全身の凝りや疲れはすっかりなくなり、その腕前は大変上質なものでしたが、恥ずかしくてたまらなかったじゃないですか!」
「素晴らしいもてなしだったよ。
寝具や家具の品質はもちろん、従業員の礼儀作法まで徹底されていて、何より景色が美しい!
ここが『小さな楽園』と呼ばれる所以だよ。」
二人とも楽しめたみたいで良かった。
最終日は中心街で散策。
屋台やカフェやお菓子屋、ブロッサム商会フィアンマ男爵領支店、路上ライブ等、街中でも楽しめるものは多いはず。
「本当に、この領地をたった一人で作り上げたのですか?
全く信じられません。」
信じなくて良いよ、色んな人の協力があってこそのこのフィアンマ男爵領なんだから。
「本当に素敵な街並みだ。
たった一人で作り上げたとは思えないほど美しい。」
だから、私一人だけじゃないって!
「私の領地、楽しんでいただけましたか?」
「ええ、完璧ではありませんが、楽しめるものはありましたね。」
「とても楽しかったよ。
こんなに素晴らしい場所へ招待してくれて、本当にありがとう。」
良かった良かった、満足してくれて。
「「学校に戻りたくない……」」
最後に、生徒会の人間がとんでもないことを言いやがった。
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