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119 公爵令嬢は恋について考える
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最近、ロナウド王子が私によく質問をしてくる。
「カーネル会長って、何であんなにフランに突っ掛かってくんだ?」
私にもさっぱりわかんない。
どこかで恨みを買うような事してたのかしら?
全く記憶にはないけど、私に対する周りの評価は良し悪しが両極端だから、生徒会長らしく私の行動に目を光らせてるのかも。
「ジョニー先生がフランにばっかりちょっかい出してるのは何でだ?」
くっ……自分では言いたくないけど、先生は私を子供扱いしてくるのよ。
人よりほんの少ぉーしだけ背が低めで、人よりちょびーっとだけお胸が控えめってだけで、私の事完全に子供として見てくるんだから。
こんなに美味しい物や便利な物を世の中に広めた、近代稀に見る名君領主なのに。
「……何も間違っちゃいないんだけど、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
はい、言いすぎました、恥ずかしいです。
でも何でこんな事聞いてきたんだろう。
もしかして、私の事助けてくれようとしてるのかな?
ロナウド王子は初めて出来た友達で、もう十年来の付き合いだ。
リリーちゃんやレベッカちゃん、セシル様やポスカ君、それにケンとも、一緒にいて楽しいんだけど、ロナウド王子のそれとはちょっと違う。
まるでお互いを知り尽くしたような感覚で、一緒にいると心が穏やかで楽しくなる。
まさか、これが恋ってやつ!?
……んーわからん。
ロナウド王子に対してドキドキとかキュンキュンとはしてないし、なんかもう家族みたいな感覚でいる。
まぁ、将来家族になる予定なんだけど。
リッカに聞いてみようか。
「もうそれは、恋ではなく愛ですね。」
愛とな?
「恋は『自分に与えてもらいたいもの』。
『自分を見て欲しい』『自分と仲良くして欲しい』と、見返りを求めるのが恋と言うものです。
それに対して、愛は『自分が与えてあげたいもの』。
『守ってあげたい』『支えてあげたい』と、見返りを求めず与えたいと思うのが愛です。
友情愛、家族愛、そして恋愛。
どれも無償でありましょう?」
な、なるほど。
つまり私は、ロナウド王子を愛している……?
カァーッ、言葉にするとなんか恥ずかしい。
あぁ、でもなんだかわかる気がする。
私が実験に対する愛や、ジャンクフードに対する愛も、心が穏やかで楽しくなれるし。
「……それらと一緒にされるだなんて、ロナウド殿下も災難ですね。
テルユキさんは恋をした事はないのですか?」
俺は、中学生になった頃からボッチで、実験とジャンクフードが恋人だったからな。
「そう言うリッカだって、テルユキに恋してたの?」
「な、なぜそのような話になるのですか!?」
「だって、夢の中のテルユキと一緒にいたいと思ってたんでしょ?」
まぁあれは俺ではない。
地デジ化するまで母親のお古の昭和のテレビを修理しながら使ってたり、部屋の間取りやデパートとか俺が住んでた所と完全一致だったりとか、謎は多いんだけど。
「ち、違います!
ただ、フラン様のいない世界でフラン様の面影がありそうなテルユキさんに助けを求めてただけで!」
「ほら、『求めて』たんでしょ?」
「~~~!!!」
真っ赤になって黙り込んじゃった。
「フラン様……
今日と言う今日は、本当に許しませんよ……」
リッカ!怖い怖い!
恋が分からないから聞いただけなのに、何でそんなに怒るの?
もう、明日リリーちゃんに聞いてみよ。
「私は、フラン様を愛しておりますよ?」
いやいや、友情愛の事じゃなくて、恋の話をしてるの!
セシル様とはどうなの?
「特に何もありませんよ?
政略結婚的なものですから、気心知れたお相手で良かったって程度で。
おそらくセシル様も同様ではないでしょうか。」
うーん、なるほど。
私とロナウド王子の場合、ダンスパートナーを探すのに丁度良い相手だったからって言う、政略結婚どうこうとか言うレベルの話じゃないし。
「これから恋をしていく感じとかはないの?」
「それは分かりません。
お互い信頼はしていますが、今のところは……
何かきっかけがあれば恋へと発展するかも知れませんけど。」
そっか、きっかけかぁ。
そう言えば、レベッカちゃんはどうなんだろ?
前にお兄様の事カッコいいって言ってたけど。
「そうよ、フランちゃんのお兄様に恋をしたわ。」
そ、そうなんだ!
「他にも、ビール工場にいたジンクや、劇団の団長さん、あと、公爵家の庭師のお弟子さんにも恋したわよ。」
え?恋ってそんなにたくさんするものなの?
「私の場合、恋をするのが早いんだけど、恋が冷めるのもはやいの。
基本的に第一印象で惚れちゃうんだけど、婚約者や奥さんがいたり、性格が私好みじゃなかったり、他の人に恋しちゃったりするから、あんまり長続きしないのよね。」
そ、そうなんだ……
因みに、今は誰かいるのかな?
「食堂にいるマットって言う料理人がすごくカッコいいの!
一度おしゃべりしてみたいわ。」
……恋多き乙女も、それはそれで大変そうだ。
ちょっと男性目線の意見を聞いてみようかしら。
セシル様はリリーちゃんの事どう思ってるんだろう。
「リリーさんはとても素敵な女性ですよ。
優しさや奥ゆかしさがとても可愛らしいですよね。
明るくて聡明なフランさんに負けず劣らず愛しく思っています。」
なぜそこで私の名前が出る?
ウッディ君は好きな人いる?
「今は母親と妹が大切だから、二人より大切に思える人が出来たら、その人に恋をするかな。」
うーん、初恋はまだっぽそうだね。
……念のためビクター君にも聞いてみるか。
「えっ!…………こぃ…………」
真っ赤になって黙り込んじゃった。
そうなる事は分かってたんだよ。
……怒ってるんじゃないよね?
仕方ない、ロナウド王子に直接聞いてみるかな。
「ロナウド王子、今お話よろしいですか?」
「ん、どうした?」
「ロナウド王子は恋してますか?」
「…………」
ポカーンとしちゃった。
どうしたんだろう。
「恋かぁ、うーん。
それは、俺がフランに対してって事?
それとも、他の誰かにって意味?」
あ、そっか。
さっきの質問じゃ両方で捉えられちゃう。
「えっと……じゃあ両方で。」
「両方かよ。
まずじゃあ、他の誰かには恋してないぞ。」
「そうなんだ、良かった。」
婚約者がいるのに他の人を好きになっちゃったら辛いもんね。
「…………」
なぜちょっと照れながら黙り込む?
「……あと、フランに対しては……恋かどうかはわからないけど、誰よりも一番好きだとは思ってるよ?」
!
今までに聞いたことのない答え。
『誰よりも一番好き』
はっきり言われると、何だか照れ臭い。
でも、好きだと言ってもらえるとやっぱり嬉しい。
「何でいきなりそんな事聞くんだよ?」
「私がロナウド王子に恋してるのかどうか知りたかったからです。」
「……なるほど、そう言う事か。
それで、俺に恋してるのか分かったのか?」
「……まだ分かりません。
でも、ロナウド王子の事が誰よりも一番好きだって事が分かりました。」
ちょっとスッキリした。
お互い、恋かどうかは分からないけど一番好きな人。
何だかちょっと恥ずかしいけど、心がほっこり温かい。
「なぁ、フランはいつまで俺のこと『王子』って呼ぶんだ?」
そう言えばそうだった。
「ですよね、いい加減『殿下』とお呼びしないと。」
「じゃなくて、呼び捨てでいいよ。
お互い、名前で呼び合おうぜ。」
呼び捨て……
今まで王子だからと作ってた壁が、一気になくなった気がした。
ロナウド王子は私と同じ想いで見てくれてるのだろうか。
「わかりました、ロナウド。
これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくな。」
お互いに少しずつ歩み寄って、一緒に並んで歩いていく。
その先に、恋があるのかな……
昔みたいにガシッと手を組むのではなく、そっと手を握り合って、お互いの気持ちを確かめ合った。
「カーネル会長って、何であんなにフランに突っ掛かってくんだ?」
私にもさっぱりわかんない。
どこかで恨みを買うような事してたのかしら?
全く記憶にはないけど、私に対する周りの評価は良し悪しが両極端だから、生徒会長らしく私の行動に目を光らせてるのかも。
「ジョニー先生がフランにばっかりちょっかい出してるのは何でだ?」
くっ……自分では言いたくないけど、先生は私を子供扱いしてくるのよ。
人よりほんの少ぉーしだけ背が低めで、人よりちょびーっとだけお胸が控えめってだけで、私の事完全に子供として見てくるんだから。
こんなに美味しい物や便利な物を世の中に広めた、近代稀に見る名君領主なのに。
「……何も間違っちゃいないんだけど、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
はい、言いすぎました、恥ずかしいです。
でも何でこんな事聞いてきたんだろう。
もしかして、私の事助けてくれようとしてるのかな?
ロナウド王子は初めて出来た友達で、もう十年来の付き合いだ。
リリーちゃんやレベッカちゃん、セシル様やポスカ君、それにケンとも、一緒にいて楽しいんだけど、ロナウド王子のそれとはちょっと違う。
まるでお互いを知り尽くしたような感覚で、一緒にいると心が穏やかで楽しくなる。
まさか、これが恋ってやつ!?
……んーわからん。
ロナウド王子に対してドキドキとかキュンキュンとはしてないし、なんかもう家族みたいな感覚でいる。
まぁ、将来家族になる予定なんだけど。
リッカに聞いてみようか。
「もうそれは、恋ではなく愛ですね。」
愛とな?
「恋は『自分に与えてもらいたいもの』。
『自分を見て欲しい』『自分と仲良くして欲しい』と、見返りを求めるのが恋と言うものです。
それに対して、愛は『自分が与えてあげたいもの』。
『守ってあげたい』『支えてあげたい』と、見返りを求めず与えたいと思うのが愛です。
友情愛、家族愛、そして恋愛。
どれも無償でありましょう?」
な、なるほど。
つまり私は、ロナウド王子を愛している……?
カァーッ、言葉にするとなんか恥ずかしい。
あぁ、でもなんだかわかる気がする。
私が実験に対する愛や、ジャンクフードに対する愛も、心が穏やかで楽しくなれるし。
「……それらと一緒にされるだなんて、ロナウド殿下も災難ですね。
テルユキさんは恋をした事はないのですか?」
俺は、中学生になった頃からボッチで、実験とジャンクフードが恋人だったからな。
「そう言うリッカだって、テルユキに恋してたの?」
「な、なぜそのような話になるのですか!?」
「だって、夢の中のテルユキと一緒にいたいと思ってたんでしょ?」
まぁあれは俺ではない。
地デジ化するまで母親のお古の昭和のテレビを修理しながら使ってたり、部屋の間取りやデパートとか俺が住んでた所と完全一致だったりとか、謎は多いんだけど。
「ち、違います!
ただ、フラン様のいない世界でフラン様の面影がありそうなテルユキさんに助けを求めてただけで!」
「ほら、『求めて』たんでしょ?」
「~~~!!!」
真っ赤になって黙り込んじゃった。
「フラン様……
今日と言う今日は、本当に許しませんよ……」
リッカ!怖い怖い!
恋が分からないから聞いただけなのに、何でそんなに怒るの?
もう、明日リリーちゃんに聞いてみよ。
「私は、フラン様を愛しておりますよ?」
いやいや、友情愛の事じゃなくて、恋の話をしてるの!
セシル様とはどうなの?
「特に何もありませんよ?
政略結婚的なものですから、気心知れたお相手で良かったって程度で。
おそらくセシル様も同様ではないでしょうか。」
うーん、なるほど。
私とロナウド王子の場合、ダンスパートナーを探すのに丁度良い相手だったからって言う、政略結婚どうこうとか言うレベルの話じゃないし。
「これから恋をしていく感じとかはないの?」
「それは分かりません。
お互い信頼はしていますが、今のところは……
何かきっかけがあれば恋へと発展するかも知れませんけど。」
そっか、きっかけかぁ。
そう言えば、レベッカちゃんはどうなんだろ?
前にお兄様の事カッコいいって言ってたけど。
「そうよ、フランちゃんのお兄様に恋をしたわ。」
そ、そうなんだ!
「他にも、ビール工場にいたジンクや、劇団の団長さん、あと、公爵家の庭師のお弟子さんにも恋したわよ。」
え?恋ってそんなにたくさんするものなの?
「私の場合、恋をするのが早いんだけど、恋が冷めるのもはやいの。
基本的に第一印象で惚れちゃうんだけど、婚約者や奥さんがいたり、性格が私好みじゃなかったり、他の人に恋しちゃったりするから、あんまり長続きしないのよね。」
そ、そうなんだ……
因みに、今は誰かいるのかな?
「食堂にいるマットって言う料理人がすごくカッコいいの!
一度おしゃべりしてみたいわ。」
……恋多き乙女も、それはそれで大変そうだ。
ちょっと男性目線の意見を聞いてみようかしら。
セシル様はリリーちゃんの事どう思ってるんだろう。
「リリーさんはとても素敵な女性ですよ。
優しさや奥ゆかしさがとても可愛らしいですよね。
明るくて聡明なフランさんに負けず劣らず愛しく思っています。」
なぜそこで私の名前が出る?
ウッディ君は好きな人いる?
「今は母親と妹が大切だから、二人より大切に思える人が出来たら、その人に恋をするかな。」
うーん、初恋はまだっぽそうだね。
……念のためビクター君にも聞いてみるか。
「えっ!…………こぃ…………」
真っ赤になって黙り込んじゃった。
そうなる事は分かってたんだよ。
……怒ってるんじゃないよね?
仕方ない、ロナウド王子に直接聞いてみるかな。
「ロナウド王子、今お話よろしいですか?」
「ん、どうした?」
「ロナウド王子は恋してますか?」
「…………」
ポカーンとしちゃった。
どうしたんだろう。
「恋かぁ、うーん。
それは、俺がフランに対してって事?
それとも、他の誰かにって意味?」
あ、そっか。
さっきの質問じゃ両方で捉えられちゃう。
「えっと……じゃあ両方で。」
「両方かよ。
まずじゃあ、他の誰かには恋してないぞ。」
「そうなんだ、良かった。」
婚約者がいるのに他の人を好きになっちゃったら辛いもんね。
「…………」
なぜちょっと照れながら黙り込む?
「……あと、フランに対しては……恋かどうかはわからないけど、誰よりも一番好きだとは思ってるよ?」
!
今までに聞いたことのない答え。
『誰よりも一番好き』
はっきり言われると、何だか照れ臭い。
でも、好きだと言ってもらえるとやっぱり嬉しい。
「何でいきなりそんな事聞くんだよ?」
「私がロナウド王子に恋してるのかどうか知りたかったからです。」
「……なるほど、そう言う事か。
それで、俺に恋してるのか分かったのか?」
「……まだ分かりません。
でも、ロナウド王子の事が誰よりも一番好きだって事が分かりました。」
ちょっとスッキリした。
お互い、恋かどうかは分からないけど一番好きな人。
何だかちょっと恥ずかしいけど、心がほっこり温かい。
「なぁ、フランはいつまで俺のこと『王子』って呼ぶんだ?」
そう言えばそうだった。
「ですよね、いい加減『殿下』とお呼びしないと。」
「じゃなくて、呼び捨てでいいよ。
お互い、名前で呼び合おうぜ。」
呼び捨て……
今まで王子だからと作ってた壁が、一気になくなった気がした。
ロナウド王子は私と同じ想いで見てくれてるのだろうか。
「わかりました、ロナウド。
これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくな。」
お互いに少しずつ歩み寄って、一緒に並んで歩いていく。
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