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77 公爵令嬢は反省会をする

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「第三回フィアンマ男爵領秋祭り反省会をします。」

集められたメイン会場スタッフと各地区代表、プラスお兄様。


まず良かった点を挙げていく。

年々観光客が増えて、落としてくれるお金の額が多くなっている事。

もう、フィアンマ男爵領の秋祭りは、近隣領どころか王都でも有名になりつつあった。

なので、フィアンマ男爵領近辺にある宿場は、この時期は予約でいっぱいになるそうだ。


次に、お祭り準備や当日の催しで、領民が一致団結する。

御神輿を作ったり、法被を用意したり、屋台に出す新作料理を考えたり。

皆んなが知恵を出し合い、工夫しながら、良いお祭りを全力で作り上げようとしてくれた。

素晴らしい事だと思う。


他に何かあるかな?

「食べ物が美味しい。」

うーん、それはお祭りに限った事じゃないと思うんだけど。

「「メイン会場のステージが面白かった!」」

それは嬉しい意見だね。

ただ、貴方達スタッフだよね、いつの間に観客になってたの?

他に意見はない?



じゃあ問題点。

「「「「ステージ企画、見たかった。」」」」

この声が一番多いてどういう事よ。

まぁ、御神輿担いで回ってる人達や、屋台をやってる人達は見れないよね。

でも、お祭りってそう言うものだよ、仕方がない。

「メイン会場に客持ってかれすぎて、御神輿の見物人が減った。」

いやー、それは言い過ぎじゃない?

メイン会場がいくら広いとはいえ、屋台もあるし、1,000人も集まればいっぱいになっちゃうから!

というか、これが問題なんだよ。

メイン会場に人が溢れかえって、防犯や防災対策が全然出来なかった。

これはかなりの反省点。

来年からは、各地区ごとにもステージを用意して、何かしらの企画をやってもらって、見物人を散らばせるかな?

あと、柵のようなものを作って、観客席と通路を完全に分離させて、避難経路をしっかり確保させるとかも必要だ。


あとはやっぱり、警備が圧倒的に足りない。

領内の自衛団以外にも、国王様に依頼して騎士団を幾人か派遣してもらったんだけど、全然不十分だった。

ただ、今後の為にこれを解決する手段の一つが、今回の企画ステージではあったんだけど。

やたら体力自慢大会になった企画ステージ。

成績上位の人や、お兄様や騎士団長様のお眼鏡にかかった領民を自衛団へ直接スカウトして、男爵領の自衛団を大幅強化しようと思ってた。

その為にお兄様と騎士団長様を来賓で呼んだのに、二人とも全競技皆勤賞ってどういう事だよ。

「領主の兄として、力を見せつける事が出来たでしょ?」

見せつけなくても、お兄様がスゴいってのは皆さんご存知ですから!

お兄様だけじゃないよ、なんでチャンバラは私以外全員参加しちゃってるの?

「俺強かっただろ?」

ええ、強かったけども!

私の周りの凄い人をアピールする場にさせるつもりじゃなかったんですけど?

あと、なにあのチャンバラの時の茶番劇は!

「「「いやぁ、ロナウド王子の漢っぷりが見られて、良かったよ!」」」

私の求めてる答えと違う!

「大丈夫だ、俺が守ってやるから。」

どうもありがとう!

「領主様ったらいい男捕まえて、モテモテじゃねぇか!」

「ばっ、そう言うんじゃねぇよ!」

もう、どのタイミングで恥ずかしがってんのか、さじ加減が分からない!

「来年は僕が勝ちますから、フランさん見ていてくださいね。」

来年開催するのも、もう決定事項なんだね?

「悔しい! 来年は僕が勝てる競技をしようね!」

反省会をちゃんとしようよ、皆んな!!


企画ステージの反省点。

スタッフも参加してもいいけど、黙って勝手に参加しない。



反省会が終わって、反省会参加者全員で改めて打ち上げ。

男爵邸で簡単な立食パーティをした。

食べ物は勿論、屋台料理。

私、ロナウド王子、セシル様、ポスカ君、リリーちゃんはパーティに参加、レベッカちゃんとケンは給仕に回ってもらった。

「フラン様、私、あのような楽しいお祭り、生まれて初めてでした。
フラン様に良いところを見せられず、残念でしたが……」

「何言ってるの、企画中に怪我した人たち治してたじゃない。」

「でも、チャンバラは最初で負けてしまいましたし……」

……そう言えば、参加してたね。

正直、リリーちゃんがバッサバッサと人を斬る姿、全く想像できないんだけど。

てか、私リリーちゃんにそれ求めてない。

あぁ、でもこの天然ボケな感じが、男心をくすぐるんだろうな。

「フランちゃん先生、僕、何だったら勝てそう?
来年は絶対勝ちたいんだ!」

うーん、ポスカ君もバトルで勝つイメージないんだよなー……

器用そうだし、リフティングとか?

だとしたら、ボールを作らないと。

ゴムの木探すかぁ。

っていやいや、身内を勝たすための企画にするつもりないからね?



パーティーも時間が進み、どこからか余興が始まった。

歌を歌ったり、踊ったり、パントマイムしてたり。


私達も余興に参加。

まず最初に私、ジャグリング。

錬金魔法で棒の数をだんだん増やしていって、どこまで行けるか挑戦してみた。

やっぱり五本まででした。


続いて、ポスカ君とリリーちゃんのダンス。

バックミュージックにセシル様のバイオリン。

見ていた皆んなはため息をついて見惚れていた。

ダンスも音楽もとっても素敵。

……早く踊れるように頑張ろう。


ロナウド王子は剣舞を披露すると言う。

音楽は引き続きセシル様。

……なんだけど、チャンバラの時の帽子をかぶって、両手の剣もチャンバラ。

その姿で真剣に踊るもんだから、可笑しくて可笑しくて。

会場大笑い。

ロナウド王子、ああいう愉快な事も出来る人だったんだね。

新たな一面を知った。



打ち上げも終わって、いよいよ解散。

お祭りで、知らなかった皆んなの一面が見られた気がした。

課題もたくさんあるし、大変だったけど、良いお祭りになって良かった。

「来年に向けて、更に精進いたします。」

リッカも、来年からは何かする時は一言教えてね?
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