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74.5 公爵令嬢専属侍女は公爵令嬢専属料理人に物申す
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「レベッカさん、お話がございます。
少しお時間よろしいですか?」
「構いませんよ、どうされたんですか?」
「フラン様を困らせる行動を、謹んで下さい。」
「どういうことですか?」
「フラン様に馴れ馴れし過ぎだと申し上げたのです。」
「なに言ってるんですか?
私はフランちゃんの友達なんですよ?
仲良くして、当然じゃないですか。」
「親しき中にも礼儀あり、という意味はお分かりでしょうか?
フラン様以外にも、ご友人の殆どは貴女より身分の高い方ばかりでいらっしゃいますでしょう?
皆さま、お優しい方ばかりですので何事もありませんが、レベッカさんは本来なら不敬に当たる事を多くなさっています。
場合によっては、処罰されても何らおかしくありません。」
「うっ……」
「レベッカさん、貴女は、フラン様にお仕えする者として目に余る態度をし過ぎです。
もっと、自分の行動に責任を持たなくてはなりません。」
「……まだ子供だったから、そう言った事を知らなかっただけです。
それに、田舎の辺境地で育ったから、常識もあまりなくて……」
「私がフィアンマ家にお仕えになったのは、レベッカさんより幼い頃でした。
それに、私は元孤児、育ってきた境遇だけでいえば私の方が劣悪です。
年齢や環境のせいにせず、しっかりと反省してください。」
「……何よ、リッカさんだってフランちゃんを困らせる事してるじゃない!」
「私がフラン様にしているのは、躾です。
フラン様は中々に常識外の行動をなさることがあるので、それをたしなめているに過ぎません。
それに私は、フラン様に愛を持って発言をさせて頂いております。
私ほどフラン様を好いている者は、世の中に存在致しません。」
「そんな事ないわ!
私の方が、フランちゃんの事を好きなんだから!」
「いいえ、それはありえません。
私の方が、容姿端麗で、頭脳明晰で、慈悲深くて、料理上手で、魔法の技術に長けたフラン様の魅力を多く知っております。」
「私だって知ってるわよ!
誰にでも優しくて、センスがあって、教えるのが上手で、遊びをたくさん知ってて、何でも発明しちゃう所とか!」
「それだけではございません。
先見力があり、お若いながら統治能力に優れていて、努力家で、人を楽しませるのが上手で、カリスマ性が非常に高くいらっしゃいます。」
「髪の毛がすごくサラサラで、お肌が真っ白でスベスベで、それでいて頬っぺたがちょっとピンクで、少し薄い唇はプルプルで、なにを着てもすごく似合うわ!」
「手先が器用で、速読という凄いスピードで本を読む事が出来て、家族想いで、新しい技術を取り入れる事が上手でいらっしゃいます。」
「色んな人に好かれてて、国王陛下や騎士団長様達から息子の婚約相手の申し出をされてて、その息子達本人から好意を寄せられてるわ。
ケンですら、フランちゃんをちょっと狙ってるんだから。
そこに気付かないところも、フランちゃんらしいんだけど。」
「集中力が凄まじくあり、たまに周りが見えなくなってしまう事もございます。
故に、考え込んでしまったり、思い込みが予想外の方向に向かう事もありますが。」
「こないだは遠心分離機ってのを作って、血液を何種類かに分ける実験してたけど、上手くいきそうって言ってたわ。
ただ、機械が大き過ぎて邪魔だって皆んなに言われてたけど。」
「実験して成功する事が多いのですが、たまに失敗してしまうんですよね。
以前も、魔導具を作ろうとして実験棟の窓を破壊してましたし、最近でしたら魔法陣の研究で魔石を使い過ぎたと言って、全身正体不明のベトベト塗れになってましたし。」
「あれね、あれはちょっと臭いもキツかったから、片付けがたいへんだったわ。
フランちゃんて、実験とかして魔法で道具をたくさん作るばっかで、物が多くて片付けられてないよね。」
「ああ、昔からそうでしたね。
あまり片付けは得意ではないようでした。
ですので、奥様に見つかってよく叱られていらっしゃいましたね。」
「そうなのね、どんな事で叱られてたの?」
「例えば、奥様にお屋敷中のゴミを燃やさせたり、庭師のお弟子さんを落とし穴にはめたり、コックに揚げ物を食べさせ過ぎて胃もたれをおこさせたり、魔法の練習と言って公爵家自慢の庭園を破壊したり、王宮でロナウド王子を泣かせたり。
数えれば切りがありません。」
「ロナウド王子泣かせたの!?
わぁー、よくそれであれだけ仲良くなれるわね。」
「そこがフラン様の魅力でございます。」
「……ねぇ、何の話してたか、分からなくなってきたわ。」
「失礼致しました。
話が逸れてしまいましたが、フラン様と共にいらっしゃりたいのであれば、節度と礼儀を重じて下さい。
それが、レベッカさんの為でもあり、フラン様の為でもあります。」
「……分かりました、気を付けます。」
「フラン様はレベッカさんをとても大切にしてくださってます。
そのご恩を、生涯かけてお返ししなくてはなりません。」
「そうですね、フランちゃんと友達にならなければ、ううん、成認式でドレスをもらわなければ、今の私はなかったんですもの。」
「それが分かれば十分です。
使用人として、そしてご友人として、これからもフラン様をよろしくお願い致します。」
「もちろんです!
だって、フランちゃんの事を一番好きなのは、私なんですから!」
「いいえ、それは違います。
私がフラン様を一番お慕いしております。」
「「ムムム……」」
「二人とも、何してるの?」
「いえ、特に何も。
如何なさいましたか?」
「お祭りの準備、手伝ってくれない?
ちょっとステージ作るのに、飾りとかお願いしたいの。」
「かしこまりました。」「わかった、すぐ行くわ。」
「ふふっ、二人とも仲良しなのね。」
少しお時間よろしいですか?」
「構いませんよ、どうされたんですか?」
「フラン様を困らせる行動を、謹んで下さい。」
「どういうことですか?」
「フラン様に馴れ馴れし過ぎだと申し上げたのです。」
「なに言ってるんですか?
私はフランちゃんの友達なんですよ?
仲良くして、当然じゃないですか。」
「親しき中にも礼儀あり、という意味はお分かりでしょうか?
フラン様以外にも、ご友人の殆どは貴女より身分の高い方ばかりでいらっしゃいますでしょう?
皆さま、お優しい方ばかりですので何事もありませんが、レベッカさんは本来なら不敬に当たる事を多くなさっています。
場合によっては、処罰されても何らおかしくありません。」
「うっ……」
「レベッカさん、貴女は、フラン様にお仕えする者として目に余る態度をし過ぎです。
もっと、自分の行動に責任を持たなくてはなりません。」
「……まだ子供だったから、そう言った事を知らなかっただけです。
それに、田舎の辺境地で育ったから、常識もあまりなくて……」
「私がフィアンマ家にお仕えになったのは、レベッカさんより幼い頃でした。
それに、私は元孤児、育ってきた境遇だけでいえば私の方が劣悪です。
年齢や環境のせいにせず、しっかりと反省してください。」
「……何よ、リッカさんだってフランちゃんを困らせる事してるじゃない!」
「私がフラン様にしているのは、躾です。
フラン様は中々に常識外の行動をなさることがあるので、それをたしなめているに過ぎません。
それに私は、フラン様に愛を持って発言をさせて頂いております。
私ほどフラン様を好いている者は、世の中に存在致しません。」
「そんな事ないわ!
私の方が、フランちゃんの事を好きなんだから!」
「いいえ、それはありえません。
私の方が、容姿端麗で、頭脳明晰で、慈悲深くて、料理上手で、魔法の技術に長けたフラン様の魅力を多く知っております。」
「私だって知ってるわよ!
誰にでも優しくて、センスがあって、教えるのが上手で、遊びをたくさん知ってて、何でも発明しちゃう所とか!」
「それだけではございません。
先見力があり、お若いながら統治能力に優れていて、努力家で、人を楽しませるのが上手で、カリスマ性が非常に高くいらっしゃいます。」
「髪の毛がすごくサラサラで、お肌が真っ白でスベスベで、それでいて頬っぺたがちょっとピンクで、少し薄い唇はプルプルで、なにを着てもすごく似合うわ!」
「手先が器用で、速読という凄いスピードで本を読む事が出来て、家族想いで、新しい技術を取り入れる事が上手でいらっしゃいます。」
「色んな人に好かれてて、国王陛下や騎士団長様達から息子の婚約相手の申し出をされてて、その息子達本人から好意を寄せられてるわ。
ケンですら、フランちゃんをちょっと狙ってるんだから。
そこに気付かないところも、フランちゃんらしいんだけど。」
「集中力が凄まじくあり、たまに周りが見えなくなってしまう事もございます。
故に、考え込んでしまったり、思い込みが予想外の方向に向かう事もありますが。」
「こないだは遠心分離機ってのを作って、血液を何種類かに分ける実験してたけど、上手くいきそうって言ってたわ。
ただ、機械が大き過ぎて邪魔だって皆んなに言われてたけど。」
「実験して成功する事が多いのですが、たまに失敗してしまうんですよね。
以前も、魔導具を作ろうとして実験棟の窓を破壊してましたし、最近でしたら魔法陣の研究で魔石を使い過ぎたと言って、全身正体不明のベトベト塗れになってましたし。」
「あれね、あれはちょっと臭いもキツかったから、片付けがたいへんだったわ。
フランちゃんて、実験とかして魔法で道具をたくさん作るばっかで、物が多くて片付けられてないよね。」
「ああ、昔からそうでしたね。
あまり片付けは得意ではないようでした。
ですので、奥様に見つかってよく叱られていらっしゃいましたね。」
「そうなのね、どんな事で叱られてたの?」
「例えば、奥様にお屋敷中のゴミを燃やさせたり、庭師のお弟子さんを落とし穴にはめたり、コックに揚げ物を食べさせ過ぎて胃もたれをおこさせたり、魔法の練習と言って公爵家自慢の庭園を破壊したり、王宮でロナウド王子を泣かせたり。
数えれば切りがありません。」
「ロナウド王子泣かせたの!?
わぁー、よくそれであれだけ仲良くなれるわね。」
「そこがフラン様の魅力でございます。」
「……ねぇ、何の話してたか、分からなくなってきたわ。」
「失礼致しました。
話が逸れてしまいましたが、フラン様と共にいらっしゃりたいのであれば、節度と礼儀を重じて下さい。
それが、レベッカさんの為でもあり、フラン様の為でもあります。」
「……分かりました、気を付けます。」
「フラン様はレベッカさんをとても大切にしてくださってます。
そのご恩を、生涯かけてお返ししなくてはなりません。」
「そうですね、フランちゃんと友達にならなければ、ううん、成認式でドレスをもらわなければ、今の私はなかったんですもの。」
「それが分かれば十分です。
使用人として、そしてご友人として、これからもフラン様をよろしくお願い致します。」
「もちろんです!
だって、フランちゃんの事を一番好きなのは、私なんですから!」
「いいえ、それは違います。
私がフラン様を一番お慕いしております。」
「「ムムム……」」
「二人とも、何してるの?」
「いえ、特に何も。
如何なさいましたか?」
「お祭りの準備、手伝ってくれない?
ちょっとステージ作るのに、飾りとかお願いしたいの。」
「かしこまりました。」「わかった、すぐ行くわ。」
「ふふっ、二人とも仲良しなのね。」
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