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52 公爵令嬢は男爵になる

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さて、褒賞式が終わった3日後、私はお母様とリッカと一緒に私のもらった領地、フィアンマ男爵領に向かっていた。


学童院はしばらくお休みを頂いてて、1ヶ月ほど領地のことを集中して対応したいとお父様にお話しした所、「卒業式にはちゃんと出るんだぞ」と言ってもらえた。

なので、クラスの皆んなにこの事を伝えてしばらく会えなくなると言うと、お別れパーティーをしてくれた。全校生徒で。

ポスカ君が今にも泣き出しそうな顔をしながら私に抱きついてきて、別れを惜しんでくれた。

いつか帰ってくるまで、ずっと待っていると。

彼はきっと犬属性持ちだ。

そして私は、いつの間にか学童院の名誉教授に任命されていた。



領都へは馬車で朝 公爵領を出発して、休憩を挟みながらでも夕方には到着できるほどの距離だった。

とは言っても、貧しく小さな領地なので、領都も村と言ってもいいくらい小さなものだった。

なので、領主邸もどこにあるかがすぐわかるほど。

その領主邸も、我が家のお屋敷に比べるまでもない程小さなものだった。

領主邸に着くと、この領地を今まで管理していた領主代行の方が出迎えてくれた。

「お待ちしておりました、フィアンマ公爵夫人、フィアンマ女男爵様。
もう日も暮れてしましました、本日はお休みをとって、明日の朝着任のご挨拶をお願いいたします。」

その日の出された夕食はこの地の風土料理のような魚がメインの料理で、貧しい土地ではあるものの男爵邸の食事とあって割と豪華だった。

ただ、その料理を食べてて私は気になる事があった。

コックを呼び出し、質問をする。

「今日の料理には魚醤が使われてなかったようだけど、普段からあまりお使いにならないの?」

「失礼致します、あの…ぎょしょうとは何でしょうか?」

…え?

「魚で作った調味料なんだけど、こちらでは魚醤とは仰らないのかしら?」

「あ、もしかして魚の出汁の事ですか?
でしたら、先程の料理でお使い致しました。」

……は?

「あ、あの、魚醤とは魚を半年ほど塩漬けすると出来る調味料の事ですよ。」

「「「えぇえーーー⁉︎」」」

「お嬢様、半年も放置なんてしてしまったら、腐って食べられませんよ!」

「いくら漁業の盛んな土地だからと言って、そのような食べ物は存在致しません。」

「フラン…貴女、そんな物を私達に食べさせようとしていたの?」

…なん…だと?

魚醤って、地球じゃ豆醤より歴史が古くてメジャーなんだぞ⁉︎

塩漬けした魚をうっかり放置してたら出来てた、とかみたいな事、過去になかったのかよ⁉︎

てか、魚醤がないんだったら、ジャンクフードの代表ともいえるアレが作れねぇじゃんか‼︎

せっかくこの貧しい土地の特産品として広めようと思ってたのに…

食べたかったのに…

てか、前世おれを思い出した日にもこんな事あった気がするなぁ。



この日の夜、すっかり意気消沈した私は、馬車移動の疲れもあっていつもより早く寝た。いや、寝込んだ。
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