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19.9 公爵夫人は相談する
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「本日も一日お疲れ様です、旦那様。」
「ああ、ミリアン、君こそお疲れ。
フランはもう休んだのかい?」
「ええ、今日は一日頑張ってましたから、早めに休ませましたわ。」
「それがいい。
今日のフランは君から見てどうだった?」
「とても素晴らしいと思いましたわ。
周りの者と同じ目線に立ち、弱い者達を愛しみ、働く者達を労り、公爵令嬢としての威厳を保つ。
いつもの癖が少し出てしまいましたが、とても5歳とは思えない立ち振る舞いでした。」
「君が言うのだから間違いないのだろうね。
来賓側から見ても、君達はとてもよく目立っていたよ。
ドレスの見た目もそうだけど、平民達と一緒に並んだり、貧しい者達に奉仕したり、陛下と対談したり。
それに、魔力の属性も。」
「ええ、私はその事をとても懸念しております。」
「私もだ。
式典後はフランと光属性の平民の子、二人の話で持ちきりだったよ。」
「私たちの血統で火土属性が生まれるわけがないなどと言った声を、幾人かの御夫人方に言われましたわ。」
「私もだよ、そういう輩はどこにでもいるもんだな。
生まれた頃のフランを知っている人は、私たちの子供だと分かっているはずなのにな。」
「今は旦那様そっくりですけど、生まれた頃はよく私の生き写しだと言われてましたものね。
フランの他に、更に稀有な魔力持ちがいた事で注目は多少分散された様ですが…
件の子も、これからどうなってしまうのでしょう。」
「式典後直ぐに、名だたる貴族や商家、果てには教会関係の者まで養子に欲しいと切望の声が上がっていた。
どこの養子になるかで、その子とその家族の将来が大きく変わる。
そして私達も、今後どのように対応していくか深く考えていかなくてはな。」
「そうですわね、フランがこれから先幸せに過ごせる為に、何が出来るか、何をすべきか。」
「それにレイジもだ。
フランの功績を聞いて、あの負けず嫌いが少々焦っている。
あの子へのフォローも考えておかないと。」
「レイジったら、自身だって素晴らしい才能の持ち主だというのに。
魔力量もそうですけど、エレメント魔法学校入学前に騎士団入隊だなんて12年ぶりの快挙よ。
あの子、自分の才能に驕れるどころか、更に上ばかり見ていて必死ですわ。」
「フランのように、上だけではなく壁全体を見る余裕と視野が、レイジには必要だな。」
「そうですわね、それにフランも、いつか超えられないほどの大きな壁があるという事を知ってもらわないといけませんわ。」
「ああ、ミリアン、君こそお疲れ。
フランはもう休んだのかい?」
「ええ、今日は一日頑張ってましたから、早めに休ませましたわ。」
「それがいい。
今日のフランは君から見てどうだった?」
「とても素晴らしいと思いましたわ。
周りの者と同じ目線に立ち、弱い者達を愛しみ、働く者達を労り、公爵令嬢としての威厳を保つ。
いつもの癖が少し出てしまいましたが、とても5歳とは思えない立ち振る舞いでした。」
「君が言うのだから間違いないのだろうね。
来賓側から見ても、君達はとてもよく目立っていたよ。
ドレスの見た目もそうだけど、平民達と一緒に並んだり、貧しい者達に奉仕したり、陛下と対談したり。
それに、魔力の属性も。」
「ええ、私はその事をとても懸念しております。」
「私もだ。
式典後はフランと光属性の平民の子、二人の話で持ちきりだったよ。」
「私たちの血統で火土属性が生まれるわけがないなどと言った声を、幾人かの御夫人方に言われましたわ。」
「私もだよ、そういう輩はどこにでもいるもんだな。
生まれた頃のフランを知っている人は、私たちの子供だと分かっているはずなのにな。」
「今は旦那様そっくりですけど、生まれた頃はよく私の生き写しだと言われてましたものね。
フランの他に、更に稀有な魔力持ちがいた事で注目は多少分散された様ですが…
件の子も、これからどうなってしまうのでしょう。」
「式典後直ぐに、名だたる貴族や商家、果てには教会関係の者まで養子に欲しいと切望の声が上がっていた。
どこの養子になるかで、その子とその家族の将来が大きく変わる。
そして私達も、今後どのように対応していくか深く考えていかなくてはな。」
「そうですわね、フランがこれから先幸せに過ごせる為に、何が出来るか、何をすべきか。」
「それにレイジもだ。
フランの功績を聞いて、あの負けず嫌いが少々焦っている。
あの子へのフォローも考えておかないと。」
「レイジったら、自身だって素晴らしい才能の持ち主だというのに。
魔力量もそうですけど、エレメント魔法学校入学前に騎士団入隊だなんて12年ぶりの快挙よ。
あの子、自分の才能に驕れるどころか、更に上ばかり見ていて必死ですわ。」
「フランのように、上だけではなく壁全体を見る余裕と視野が、レイジには必要だな。」
「そうですわね、それにフランも、いつか超えられないほどの大きな壁があるという事を知ってもらわないといけませんわ。」
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