19 / 191
18 公爵令嬢は成認式に出る 4
しおりを挟む
さて、昼食の時間になったのだけど、この時間が今日の中で一番重要だと言っても過言じゃない。
なんてったってこの昼食、「昼食」と言う名の社交場になる。
ここで、自分の子と他所の子を比べて、いかに自分の子が優れているかをアピール出来るか、いかに相手より優位な位置に立てるか、いかに相手方が自分達に利益を生むかを見極めて、貴族平民関係なくアピール、アタック出来る場なのだ。
地球時間で3時間ちょい。
昼食時間としてはずいぶん長いけど、5万人規模の交流会と考えると短いと感じる。
この時間に、ドレスチェンジをする貴族の子もいれば、食べたことのない王宮料理に舌鼓を打つ家族もいる。
そしてここにも、何故かあるポテチ。超人気。
私達は、食事も早々に限られた時間で交流会。
先程ドレスを差し上げた子達を探していると、そのドレスを着ている女の子が大きな声で私を呼んでいた。
私が気付くと、あふれんばかりの笑顔でこちらに近づいてきた。
「本日は本当にありがとうございます。
何とお礼を言っていいか。
フランドール様のお陰で、娘に素敵なドレスを着せてあげる事が出来ました。
私達なりに、自分で用意できる様頑張っていたのですが、高い税を払うとドレスを作る為の生地を買うお金すら無くて…」
「まあ、其方の領はそんなに税金が高いんですの?」
「人頭税で、うちには介護のいる大祖父母と、働けない祖父母がいるので…
子供達に手伝ってもらってたんですが、今年は天候に恵まれず不作で…」
「では、お子様は学校には行かれてないの?」
「本当は行かせてあげたいんですけど、学費も掛かりますし、働き手が減ってしまうのは何より困るんです…」
平民の方々は、貴族より領内の情勢や不満を多く語ってくれるから、相手の腹を探るには持ってこい。
「ところで、あなた方はもうご飯を召し上がりました?」
「ええ!とっても美味しいですね!
普段質素なご飯しか食べさせてあげられず、ひもじい思いをさせていたので、今日は沢山食べさせてあげています。」
「料理の中にポテチというじゃがいものお菓子がありますの。
そちら、このフランドールが考えたものですの、ぜひ召し上がってみて下さいな。」
「えっ⁉︎
あの不思議な食感の美味しいお菓子、フランドール様がお作りになられたのですか⁉︎」
「ふふっ、そうなの。
私が目を離した隙に、実験と言って作っていたわ。
国王陛下の言う通り、子供の可能性は無限大よ、是非色々な事をさせてあげて頂戴。」
「はい、ありがとうございます。
フランドール様、美味しいお菓子をご馳走様でした。」
「気に入って頂けて嬉しいですわ。
この成認式を一緒に楽しみましょうね。」
こんな感じで、他にもドレスをあげた子を見つけては声をかけ、合間合間で貴族の方にも声を掛けられていると、ものすごいオーラがこちらに近づいているのがわかった。
なんと、国王様がこちらに近づいているではないか。
カーテシーで国王様を迎える。
「久しぶりだな、ミリアン夫人。
ここは憩いの場だ、地位も爵位も無く皆同じだ、頭を上げなさい。」
私たちは頭を上げて姿勢を正す。
「フランドール嬢、其方がこのポテチを開発したそうだな。
実に美味い。
今日の成認式に使わせてもらったぞ。」
「お褒めに預かり光栄であります。
私の好奇心で出来た偶然の産物でしたが、お気に召して頂けて何よりでございます。」
「うむ、やはり子供というのは素晴らしい。
今日のドレスもよく似合っている。
皆の物と違い、とても目を引く物だ。」
「このドレスもフランドールの考えた物でございます。
「成認式は大人への第一歩、少し背伸びをしてみたい」と申しておりました。」
「大人への第一歩か。
はっはっはっ、実に素晴らしい考えだ。
ところで、今朝貧しい者達にドレスを着せてやったそうだな、その者から話を聞いたぞ。」
「はい、恥ずかしながら全て私が使用していた物ですが、折角の晴れ舞台なので良い思い出になって頂きたいと思いまして、ドレスのいくつかをその者達に差し上げました。」
「その者は、フランドール嬢の着ていたドレスで成認式に参加出来たと喜んでおったぞ。
フランドール嬢、其方は賢いだけでなく慈悲深い。
今後もそのように成長を遂げよ。」
「お褒めのお言葉、身に余る思いでございます。
今後も精進して参ります。」
そう言うと、フラッとまた何処かへ行かれた。
国王も、貴族平民関係なく色んな方にお話ししていらっしゃるんだろう。
しかしまぁ、国王に良い印象を与える事が出来たようで良かった。
昼食時間も残り半分、もう一踏ん張りだ。
なんてったってこの昼食、「昼食」と言う名の社交場になる。
ここで、自分の子と他所の子を比べて、いかに自分の子が優れているかをアピール出来るか、いかに相手より優位な位置に立てるか、いかに相手方が自分達に利益を生むかを見極めて、貴族平民関係なくアピール、アタック出来る場なのだ。
地球時間で3時間ちょい。
昼食時間としてはずいぶん長いけど、5万人規模の交流会と考えると短いと感じる。
この時間に、ドレスチェンジをする貴族の子もいれば、食べたことのない王宮料理に舌鼓を打つ家族もいる。
そしてここにも、何故かあるポテチ。超人気。
私達は、食事も早々に限られた時間で交流会。
先程ドレスを差し上げた子達を探していると、そのドレスを着ている女の子が大きな声で私を呼んでいた。
私が気付くと、あふれんばかりの笑顔でこちらに近づいてきた。
「本日は本当にありがとうございます。
何とお礼を言っていいか。
フランドール様のお陰で、娘に素敵なドレスを着せてあげる事が出来ました。
私達なりに、自分で用意できる様頑張っていたのですが、高い税を払うとドレスを作る為の生地を買うお金すら無くて…」
「まあ、其方の領はそんなに税金が高いんですの?」
「人頭税で、うちには介護のいる大祖父母と、働けない祖父母がいるので…
子供達に手伝ってもらってたんですが、今年は天候に恵まれず不作で…」
「では、お子様は学校には行かれてないの?」
「本当は行かせてあげたいんですけど、学費も掛かりますし、働き手が減ってしまうのは何より困るんです…」
平民の方々は、貴族より領内の情勢や不満を多く語ってくれるから、相手の腹を探るには持ってこい。
「ところで、あなた方はもうご飯を召し上がりました?」
「ええ!とっても美味しいですね!
普段質素なご飯しか食べさせてあげられず、ひもじい思いをさせていたので、今日は沢山食べさせてあげています。」
「料理の中にポテチというじゃがいものお菓子がありますの。
そちら、このフランドールが考えたものですの、ぜひ召し上がってみて下さいな。」
「えっ⁉︎
あの不思議な食感の美味しいお菓子、フランドール様がお作りになられたのですか⁉︎」
「ふふっ、そうなの。
私が目を離した隙に、実験と言って作っていたわ。
国王陛下の言う通り、子供の可能性は無限大よ、是非色々な事をさせてあげて頂戴。」
「はい、ありがとうございます。
フランドール様、美味しいお菓子をご馳走様でした。」
「気に入って頂けて嬉しいですわ。
この成認式を一緒に楽しみましょうね。」
こんな感じで、他にもドレスをあげた子を見つけては声をかけ、合間合間で貴族の方にも声を掛けられていると、ものすごいオーラがこちらに近づいているのがわかった。
なんと、国王様がこちらに近づいているではないか。
カーテシーで国王様を迎える。
「久しぶりだな、ミリアン夫人。
ここは憩いの場だ、地位も爵位も無く皆同じだ、頭を上げなさい。」
私たちは頭を上げて姿勢を正す。
「フランドール嬢、其方がこのポテチを開発したそうだな。
実に美味い。
今日の成認式に使わせてもらったぞ。」
「お褒めに預かり光栄であります。
私の好奇心で出来た偶然の産物でしたが、お気に召して頂けて何よりでございます。」
「うむ、やはり子供というのは素晴らしい。
今日のドレスもよく似合っている。
皆の物と違い、とても目を引く物だ。」
「このドレスもフランドールの考えた物でございます。
「成認式は大人への第一歩、少し背伸びをしてみたい」と申しておりました。」
「大人への第一歩か。
はっはっはっ、実に素晴らしい考えだ。
ところで、今朝貧しい者達にドレスを着せてやったそうだな、その者から話を聞いたぞ。」
「はい、恥ずかしながら全て私が使用していた物ですが、折角の晴れ舞台なので良い思い出になって頂きたいと思いまして、ドレスのいくつかをその者達に差し上げました。」
「その者は、フランドール嬢の着ていたドレスで成認式に参加出来たと喜んでおったぞ。
フランドール嬢、其方は賢いだけでなく慈悲深い。
今後もそのように成長を遂げよ。」
「お褒めのお言葉、身に余る思いでございます。
今後も精進して参ります。」
そう言うと、フラッとまた何処かへ行かれた。
国王も、貴族平民関係なく色んな方にお話ししていらっしゃるんだろう。
しかしまぁ、国王に良い印象を与える事が出来たようで良かった。
昼食時間も残り半分、もう一踏ん張りだ。
1
お気に入りに追加
521
あなたにおすすめの小説
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
婚約破棄は結構ですけど
久保 倫
ファンタジー
「ロザリンド・メイア、お前との婚約を破棄する!」
私、ロザリンド・メイアは、クルス王太子に婚約破棄を宣告されました。
「商人の娘など、元々余の妃に相応しくないのだ!」
あーそうですね。
私だって王太子と婚約なんてしたくありませんわ。
本当は、お父様のように商売がしたいのです。
ですから婚約破棄は望むところですが、何故に婚約破棄できるのでしょう。
王太子から婚約破棄すれば、銀貨3万枚の支払いが発生します。
そんなお金、無いはずなのに。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる