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花札って面白いよね Bパート

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「して貴様はどこの工場長だ?」
「あ、えっとツィマッド社です」
「そうか、首尾はどうか?」
「あ、え~っと、ドムの量産化が順調です」
「ドム?新型のMSか?」
「はい、重MSで耐久にすぐれホバーがあり陸上で高い機動力を持っています」
「なるほど・・・戦果は期待できそうだな」
(どうやらまだドムもできてないのか・・・)
「閣下、お言葉ですがジオンはこのままでは敗北します」
「ふんっバカなことを、貴様死刑になりたいのか?」
「敗因はモビルアーマー試作の過当競争です」
「そんなことが起きているのか?」
「これから起きることです」
「なんだと・・・?」
「それだけではありません・・・人払いをお願いできますか?」
「・・・よかろう」

よし、なんとか騙せた
宇宙世紀余話でいってたの覚えててよかった

「して、貴様はこの戦争をどう見ている?」
「ギレン閣下は殺されます、キシリアに」
「なぜそう言える?」
「知っているのです」
「貴様ニュータイプか?しかし未来予知などできるはずがないだろう」
「ニュータイプは未来が視えます、本当に」
「にわかには信じられん、証拠はあるのか?」
「ありません・・・が、閣下はコロニーレーザーを構想中ではないでしょうか?」
「なぜそれを・・・」
「そして機会さえあればデギン公王を囮に連邦艦隊をレーザーで壊滅させるでしょう」
(まさか此奴、本当にニュータイプか・・・だとしたら・・・)
「それを理由にキリシアに銃殺されます、なのでその前にキシリアを拘束するのです」
(この男は危険だ、いますぐ殺したほうがいい)
「ではそろそろ帰ってよろしいでしょうか?」
「ダメだ、貴様はここで死んでもらう」
「なんでっ!?」
「貴様は優秀だ、それだけに野放しにしては危険だ敵に寝返ることもある」
「ないですって!すぐ帰りますって!」
「有益な情報は感謝する、が死ね!」

まじでか・・・今回は工場長キレてないのに?
うまく誤魔化せたと思ったのに
終わる!工場長の平穏な人生が終わってしまう!

「ウイングバリアー!」
「なにっ!?」

バリアー?助かった?

「工場長助けにきたのです!」
「ラミエールさん、助かりました」
「何者だ!?」
「ラミエールパンチ!」
「ぐあっ!」
――


「――というわけでこの人はあなたの手伝いをしに来たのです」
「そうか、わかった・・・」

ラミエールのおかげでこの場を制圧できた
武装したジオン兵もかけつけたが
ウイングカッターで撃退
ギレンザビも少女の不思議パワーを目の当たりにして精神崩壊寸前だったが
「ニュータイプだから」ということでギリ納得させることができた

「しかしラミエールさんどうやってここに?まさかWテイストになったのですか?」
「Wテイストにならずとも特級天使なので次元跳躍くらいは簡単なのです」
「そうでしたか」

「しかし閣下、そんなことで私を殺害しようとするとかないですよね」
「それについては謝罪しよう」
「謝罪すればなんでも許されるんなら南極条約とかいらねえだろ!」
「貴様にも問題がある!」
「なんだと!この眉なし若白髪が!」
「そもそもなぜ貴様は全裸なのか!ここをどこだと思っている!」
「くっ!さすがIQ200の天才・・・工場長がキレてるのにここで言い返すとは・・・」
「それIQ関係ないのです、ただの正論なのです」
――

「ギレン閣下から特別顧問として任命された工場長です、よろしくお願いします」
「総帥から・・・はっ、これはこれはようこそお越しくださいました!」
「早速ですが設計図を見せてもらってよろしいでしょうか?」
「はい、こちらです」
(やはりこの時代はモノコック構造ですね)
「いかがでしょうか?」
「これではダメです、内部骨格のムーバブルフレームを採用しましょう」
「ムーバブル?それは一体・・・!?」
「駆動系を全て外部装甲の内側にするのです・・・このように・・・サラサラ・・・」
「おお!これはすごい!」
「こうすることで装甲版を薄くし耐久力より機動性重視のMSにしていきます」
「そうなると資源も節約になるということですね」
「はい、そして被弾した際にいつでもパージできる構造にして規格を統一、各企業との連携をとることで生産コストも下げられパイロットの育成もしやすくなるでしょう、名づけて統合整備計画です」
「それは確かにメリットは計り知れないほどのものですが果たして企業は協力してくれるでしょうか?」
「ギレン総帥ならばきっとやってくれますよ、信じましょう」
「そうですね!」
――

「特別顧問工場長、ギレン総帥からお弁当です」
「では遠慮なくいただきます、それと長いので工場長でいいです」
「工場長はこの戦争突入についてどうお考えですか?」
「私は政治家でも歴史家でもありませんのでなんとも言えません、起こるべくして起こったものとしか言えませんよ」
「では技術者としてお聞きします、この戦争は勝てますよね?」
「これは私の国の話なのですが・・・」
「は、はい!」
「藤という漢字があるのです、こう書くんですけどね・・・サラサラ」
「工場長の出身はアジアなのですね」
「ええ、そして藤という漢字、けっこう使われる頻度が高いのです、名前で」
「ふむふむ」
「加藤、斉藤、伊藤、藤田、数え上げたらキリがありません」
「はぁ・・・」
「そして画数が多いのです・・・これまでに書かれた藤という文字の数ってものすごいものになりますよね?」
「ああ、なるほど!ムダが多いということですね!」
「そうなんです、これだけ頻繁に使う漢字ならばもっと簡略化してもいいんじゃないかと思うんです」
「そこから統合整備計画を思いついたわけですね!」
「いえ、違います、リアルな愚痴を言ったまでです」
「そ、そうですか・・・」
「まあそういうことです」
(うーむ、よくわからな人だ)
――

「ギレン閣下こちらが工場長からの統合整備計画案です」
「いらん!不要だ!」
「で、ですがこのアイディアは戦局を大きく覆せる可能性を秘めた内容で・・・」
「二度も言わせるな、燃やせ!」
「はっ、はい!」
(工場長、あの能力は確かに一目置くが得体が知れぬものの手は借りるわけにはいかん・・・)

宇宙世紀0079年9月、ギレンザビの前に突如現れた一人の中年の存在は記録から抹消された
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