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その11~15
その14
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●
「ふぁーあ…よく寝た…」
日の光に瞼を刺激され、アタシは目を覚ます。
隣でアイツはまだ眠っていた。
「うぉーい、起きろー」
起きない。
寝起き悪いタイプなのか。
「…あん? これ、アタシがプレゼントした鋏か」
ベッドのすぐ横にある棚、目覚まし時計と並べて置いてあるペンケースに入っていた。
机の上のケースには幾つもの鋏が入っているのだが、このケースにだけは他に鋏が入っていない。
「………」
分かりやすい奴なのだな、とアタシは思う。
「…あっ、そうだ」
前々から試してみたいと思っていたことを実践する時が来た。
アタシはペンケースから普通のシャーペンを借りる。
「…えいっ」
静かに、アイツの口にペンの先を入れる。
「…やっぱ反応無しか」
眠っているからでもあるのだろう。
とは言え、起きている時に試しても絶対に咥えたり、あるいは代わりになったりはしないのだろうが。
「………えいっ」
何となく、アタシの指の先を入れてみる。
あむっ、と咥え始めた。
「っ!? おっ、起きてんのか…!?」
しかし、それ以外の反応は示さない。
「…えいっ」
第2関節辺りまで指を押し進めてみる。
あむあむ、と甘噛みしている。
どうせなので、しばらくそのままにしておく。
「………」
少し、気持ちいいかもしれない。
「…って何やってんだアタシは!?」
唐突に我に返り、小声で叫ぶ。
慌てて口から指を引き抜き、近くにあったティッシュで拭く。
「…んっ。…あら、おはよう。貴女って眠るのも早ければ、起きるのも早いのね…」
眠そうな、ゆったりとした口調と動作で起き上がる。
「ふぁ…私はまだ眠いわ…」
「そ、そっか。それならまだ寝てても良いんじゃね?」
「んー…いえ、何故だが気分が良いから、このまま起きようかしら…」
「………ホントに寝てたんだよな?」
「?」
キョトン、と首を傾げる。
いつもの鋏の音は、今回は鳴らなかった。
○
「ふぁーあ…よく寝た…」
日の光に瞼を刺激され、アタシは目を覚ます。
隣でアイツはまだ眠っていた。
「うぉーい、起きろー」
起きない。
寝起き悪いタイプなのか。
「…あん? これ、アタシがプレゼントした鋏か」
ベッドのすぐ横にある棚、目覚まし時計と並べて置いてあるペンケースに入っていた。
机の上のケースには幾つもの鋏が入っているのだが、このケースにだけは他に鋏が入っていない。
「………」
分かりやすい奴なのだな、とアタシは思う。
「…あっ、そうだ」
前々から試してみたいと思っていたことを実践する時が来た。
アタシはペンケースから普通のシャーペンを借りる。
「…えいっ」
静かに、アイツの口にペンの先を入れる。
「…やっぱ反応無しか」
眠っているからでもあるのだろう。
とは言え、起きている時に試しても絶対に咥えたり、あるいは代わりになったりはしないのだろうが。
「………えいっ」
何となく、アタシの指の先を入れてみる。
あむっ、と咥え始めた。
「っ!? おっ、起きてんのか…!?」
しかし、それ以外の反応は示さない。
「…えいっ」
第2関節辺りまで指を押し進めてみる。
あむあむ、と甘噛みしている。
どうせなので、しばらくそのままにしておく。
「………」
少し、気持ちいいかもしれない。
「…って何やってんだアタシは!?」
唐突に我に返り、小声で叫ぶ。
慌てて口から指を引き抜き、近くにあったティッシュで拭く。
「…んっ。…あら、おはよう。貴女って眠るのも早ければ、起きるのも早いのね…」
眠そうな、ゆったりとした口調と動作で起き上がる。
「ふぁ…私はまだ眠いわ…」
「そ、そっか。それならまだ寝てても良いんじゃね?」
「んー…いえ、何故だが気分が良いから、このまま起きようかしら…」
「………ホントに寝てたんだよな?」
「?」
キョトン、と首を傾げる。
いつもの鋏の音は、今回は鳴らなかった。
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