the She

その1～5

その4

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「今度はちゃんと、どうかしていない物を作ってきたわ！」
「気にしてたのかよ…」
「前に作った鋏型眼鏡には可愛さが足りなかったと思うの」
「個人的には常識だと思うんだが」
「だから、小さい物は可愛いという先人の知恵を借りて生まれた物がこれよ！」
　十円玉くらいのサイズの鋏を取り出す。
　それには数センチほどの紐が取り付けられている。
「うぉっ、ちっちゃ…。ストラップか、これ？」
「ええ、プラスチックを溶かして作ってみたの。携帯電話のストラップを自作する、みたいなキットを使ってみたわ」
「確かにこれなら…使っても良いかもな」
　アタシは紐を摘まみ、小さな鋏型のストラップをくるくる回す。
　プラスチック特有の半透明な材質が、窓から差す太陽の光を控え目に反射する。
「そう言うだろうと思って沢山作ってきたわ！」
　どざっと、両手に収まりきらないほど大量の鋏型ストラップを机の上に山積みにされる。
　開いた鋏、閉じた鋏、持ち手や刃の形状、色の違いなど、どれも同じ物は１つとして無かった。
「…きめぇ」
「えぇっ！？　か、可愛くないの！？」
「アンタの愛の重さだけは感じられたわ…」

　黒色と青色、２つの鋏型ストラップをアタシは受け取った。
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