49 / 56
第四章 マックスの学園生活
マックスの大活躍
しおりを挟む
午前中とはまた違う緊張感の中で、マックスは戸惑っていた。
出場者以外の生徒は、もうすでにリラックスして、完全に観客だ。
いきなり15名対その他全員の構図になった。体育祭というより、馬術大会のようだ。
出場者は皆落ち着いていて、大人びて恰好が良い。いつもの制服姿よりずっと男前で紳士に見える。
輝く黒革のブーツのせいだろうか。それとも帽子か?
同学年の出場者はキースとジョンの二人だけだ。
二人の様子をちらっと見ると、彼らも落ち着いている。しかも輝いている。
なんだか自分一人が緊張しているようで、嫌になってくる。
リラックスしなければと思えば思うほど、肩と腕に力が入ってしまい、動きがぎこちなくなる。この状態で出走したら、無残な事になりそうだった。そんなことを考えると、また緊張する。
出走順にスタート付近に向かった。三年生からで、一番がジョンで、二番がキース、三番が僕だ。
馬を引いてゆっくりと歩いていると、キースが話し掛けてきた。
「マックスは緊張しないんだね。すごいなあ」
「ええ?がちがちになっているよ。キースこそ緊張していないんじゃないの?」
「まさか。僕は手が震えているよ。
あ、ジョンは別だよ。あいつは緊張という言葉を知らないんだ」
二人でジョンの方を見ると、彼は馬の首を撫でながら、何かを話し掛けていた。
全くの平常心。さすが王者の風格だ。
「ジョンがうまく走れますように」
さすが、良い子のキースだ。友人の成功を祈るのか。
そう言ったらちょっと違う言葉が返って来た。
「違うよお。自分の前の奴が失敗すると、ビビるじゃあないか。だからスムーズに行って欲しいんだ」
なんだ。大した事を考えているわけじゃないんだな。いい子だと思いすぎて、持ち上げすぎていたのかもしれない。
そんな話をしているうちに、ジョンがスタートを切った。
それまでの応援の声が一旦静まり、障害物をきれいにクリアしていくうちに大きな声援に変わって行った。
大きなミスもなく、優雅に軽やかに走り切り、なかなかの成績を収めた。やりにくいなあ。一番が高得点だと、後から走る選手にはプレッシャーだ。
「あ~。やっぱりジョンは凄い」
そう言って、キースが馬にまたがった。途端にきりっとした顔になって紳士然とした様子でスタート位置に付いた。
「キースがうまく走れますように」
緊張のあまり、キースの真似をして、そんな事をつぶやいてしまった。
今日の僕は本当に変だ。
キースが走り出した。麗しい見た目と違い、力強さを感じさせるダイナミックな走り方で、コース取りも大胆だ。人によって、こんなに違うんだなと感心した。
いままで、こんな風に注目して見たことが無かった。
甲高い女性の声援がすごい。そして結局ジョンよりも高得点を取った。
こうなると、女性の声援がすごいのもうなずいてしまう。
次は僕の番だ。がちがちだった体は普通に戻っていた。
やれるだけやるか、そんな気分でスタートした。
あんまり気負わず、淡々と馬を走らせて、コースはあっさり終わった。ものすごくあっけなかった。
そして告げられた点数はキースよりも高かった。びっくりだ。
「すごいなあ、マックス。力の抜けたきれいな走りだったよ。緊張なんて全然していないじゃあないか」
キースが駆け寄り、褒めてくれた。
ああ、今日は、きつい。なぜか僕は声を出して笑っていた。
色々とわからなくなってしまった。こいつの事が嫌いなのかどうかもわからない。
今日は、もういいのだ。今日はいつもとは違う一日なんだ。
早く帰りたいな、そして寝たいと思った。
競技は、四年生から七年生まで、大歓声の中で進み、全員が走り終わった。
驚くことに、トップの成績を上げたのは僕だった。
結果が改めて読み上げられ、マックスの優勝、キースの準優勝が発表されると、割れんばかりの歓声と、拍手が沸き起こった。
サイラス王がマックスの首に金時計を掛けて、笑いながら、おめでとう、と言った。そしてもう一言、小さく付け加えた。
「さすがアトレーの息子だ」
マックスには目が眩むような体験だった。領地での暮らしに、こんなことが起きるはずもなく、想像したことさえなかった。
父がサイラス王と学友だったとは聞いているが、ここで名前を聞くとは思わなかった。
王は次にキースの前に立ち、同じようにおめでとうと言って銀の時計を首に掛けた。
キースは、慣れた様子でありがとうございますと返し、握手をした。
王が、また小さくもう一言。
「君の走りはグレッグに似ている。やっぱりグレッグ似なんだな」
「あ~、これもですか。ウ~ン」
二人の様子は、伯父と甥というような親しげな感じだった。
一瞬激しい嫉妬のような気持ちが湧き上がり、自分でも戸惑う。
父のこともグレッグ伯父のことも、あまり気にしたことが無く、まして王などまるで関係の無い人物だ。
僕は何に誰に嫉妬したんだろう。
座席に戻ると皆にもみくちゃにされた。皆嬉しそうに笑っている。イーストの生徒達が興奮して言う。
「この競技の得点って、優勝と準優勝には特別高い点数が与えられるんだ。君のおかげで、総合二位に上がったよ」
ワーッと叫んでいる内に、胴上げされていた。これも初体験。
閉会式が終わり、ランス伯爵達の元に戻った時にはホッとした。
ああ、やっと落ち着ける。
ところがここでも、二人から抱きしめられ、熱烈な称賛を浴びせられ、近くに座っている親たちからも褒めちぎられた。
もう、勘弁してくれ。頭と感情が暴走しそうだった。
何が何だか分からないくらい声をかけられ、ようやく馬車に乗り込むと、すぐに眠ってしまった。
屋敷に戻るとお湯が用意され、体を拭かれ、髪も洗ってもらった。その間もうつらうつらしていたと思う。着替えてから夜まで寝させてもらった。
その夜はお祝いディナーで、特別に豪華だった。ランス伯爵夫妻は、嬉しさで舞い上がりそうな様子のままだ。
「ねえ、初めての体育祭、どうだった?」
「疲れました」
「楽しかったでしょ。あんなに活躍したんだもの。私たちも鼻が高くて、頬が緩みっぱなしだったわ」
そうだな、すごく楽しかった。でもすごく疲れて、今は頭が回らない。
「楽しかったです。こんなに気持ちが上がったり下がったり、興奮したり緊張したり、沈んだりしたのは初めてです」
お祖父様がいたわるような目で見ている。
「早めに寝なさい。
明日はゆっくりと起きればいいよ。朝食は、起きたら運ばせる」
ありがたく、そうさせてもらった。
もう何もしたくないし、考えたくない。
次の日は、昼近くまで寝てしまった。
体があちこち痛い。
いつもは使わない筋肉を使ったり、緊張して固くなったりしたせいだろう。
軽く柔軟をして、体をほぐし, I窓からベランダに出て空気を吸い込んだ。空気が体の中に満ちていく感じがする。
物音を聞き付け、侍従がドアをノックした。着替えを準備してもらい、着替え終わったくらいに、侍女が朝食を運んできた。いつもより多めでボリューム感のある朝食だった。
使用人の態度がこれまでと少し違う気がした。前より丁寧で、子供扱いをしなくなっている。昨日の活躍のせいなのだろうか。
出場者以外の生徒は、もうすでにリラックスして、完全に観客だ。
いきなり15名対その他全員の構図になった。体育祭というより、馬術大会のようだ。
出場者は皆落ち着いていて、大人びて恰好が良い。いつもの制服姿よりずっと男前で紳士に見える。
輝く黒革のブーツのせいだろうか。それとも帽子か?
同学年の出場者はキースとジョンの二人だけだ。
二人の様子をちらっと見ると、彼らも落ち着いている。しかも輝いている。
なんだか自分一人が緊張しているようで、嫌になってくる。
リラックスしなければと思えば思うほど、肩と腕に力が入ってしまい、動きがぎこちなくなる。この状態で出走したら、無残な事になりそうだった。そんなことを考えると、また緊張する。
出走順にスタート付近に向かった。三年生からで、一番がジョンで、二番がキース、三番が僕だ。
馬を引いてゆっくりと歩いていると、キースが話し掛けてきた。
「マックスは緊張しないんだね。すごいなあ」
「ええ?がちがちになっているよ。キースこそ緊張していないんじゃないの?」
「まさか。僕は手が震えているよ。
あ、ジョンは別だよ。あいつは緊張という言葉を知らないんだ」
二人でジョンの方を見ると、彼は馬の首を撫でながら、何かを話し掛けていた。
全くの平常心。さすが王者の風格だ。
「ジョンがうまく走れますように」
さすが、良い子のキースだ。友人の成功を祈るのか。
そう言ったらちょっと違う言葉が返って来た。
「違うよお。自分の前の奴が失敗すると、ビビるじゃあないか。だからスムーズに行って欲しいんだ」
なんだ。大した事を考えているわけじゃないんだな。いい子だと思いすぎて、持ち上げすぎていたのかもしれない。
そんな話をしているうちに、ジョンがスタートを切った。
それまでの応援の声が一旦静まり、障害物をきれいにクリアしていくうちに大きな声援に変わって行った。
大きなミスもなく、優雅に軽やかに走り切り、なかなかの成績を収めた。やりにくいなあ。一番が高得点だと、後から走る選手にはプレッシャーだ。
「あ~。やっぱりジョンは凄い」
そう言って、キースが馬にまたがった。途端にきりっとした顔になって紳士然とした様子でスタート位置に付いた。
「キースがうまく走れますように」
緊張のあまり、キースの真似をして、そんな事をつぶやいてしまった。
今日の僕は本当に変だ。
キースが走り出した。麗しい見た目と違い、力強さを感じさせるダイナミックな走り方で、コース取りも大胆だ。人によって、こんなに違うんだなと感心した。
いままで、こんな風に注目して見たことが無かった。
甲高い女性の声援がすごい。そして結局ジョンよりも高得点を取った。
こうなると、女性の声援がすごいのもうなずいてしまう。
次は僕の番だ。がちがちだった体は普通に戻っていた。
やれるだけやるか、そんな気分でスタートした。
あんまり気負わず、淡々と馬を走らせて、コースはあっさり終わった。ものすごくあっけなかった。
そして告げられた点数はキースよりも高かった。びっくりだ。
「すごいなあ、マックス。力の抜けたきれいな走りだったよ。緊張なんて全然していないじゃあないか」
キースが駆け寄り、褒めてくれた。
ああ、今日は、きつい。なぜか僕は声を出して笑っていた。
色々とわからなくなってしまった。こいつの事が嫌いなのかどうかもわからない。
今日は、もういいのだ。今日はいつもとは違う一日なんだ。
早く帰りたいな、そして寝たいと思った。
競技は、四年生から七年生まで、大歓声の中で進み、全員が走り終わった。
驚くことに、トップの成績を上げたのは僕だった。
結果が改めて読み上げられ、マックスの優勝、キースの準優勝が発表されると、割れんばかりの歓声と、拍手が沸き起こった。
サイラス王がマックスの首に金時計を掛けて、笑いながら、おめでとう、と言った。そしてもう一言、小さく付け加えた。
「さすがアトレーの息子だ」
マックスには目が眩むような体験だった。領地での暮らしに、こんなことが起きるはずもなく、想像したことさえなかった。
父がサイラス王と学友だったとは聞いているが、ここで名前を聞くとは思わなかった。
王は次にキースの前に立ち、同じようにおめでとうと言って銀の時計を首に掛けた。
キースは、慣れた様子でありがとうございますと返し、握手をした。
王が、また小さくもう一言。
「君の走りはグレッグに似ている。やっぱりグレッグ似なんだな」
「あ~、これもですか。ウ~ン」
二人の様子は、伯父と甥というような親しげな感じだった。
一瞬激しい嫉妬のような気持ちが湧き上がり、自分でも戸惑う。
父のこともグレッグ伯父のことも、あまり気にしたことが無く、まして王などまるで関係の無い人物だ。
僕は何に誰に嫉妬したんだろう。
座席に戻ると皆にもみくちゃにされた。皆嬉しそうに笑っている。イーストの生徒達が興奮して言う。
「この競技の得点って、優勝と準優勝には特別高い点数が与えられるんだ。君のおかげで、総合二位に上がったよ」
ワーッと叫んでいる内に、胴上げされていた。これも初体験。
閉会式が終わり、ランス伯爵達の元に戻った時にはホッとした。
ああ、やっと落ち着ける。
ところがここでも、二人から抱きしめられ、熱烈な称賛を浴びせられ、近くに座っている親たちからも褒めちぎられた。
もう、勘弁してくれ。頭と感情が暴走しそうだった。
何が何だか分からないくらい声をかけられ、ようやく馬車に乗り込むと、すぐに眠ってしまった。
屋敷に戻るとお湯が用意され、体を拭かれ、髪も洗ってもらった。その間もうつらうつらしていたと思う。着替えてから夜まで寝させてもらった。
その夜はお祝いディナーで、特別に豪華だった。ランス伯爵夫妻は、嬉しさで舞い上がりそうな様子のままだ。
「ねえ、初めての体育祭、どうだった?」
「疲れました」
「楽しかったでしょ。あんなに活躍したんだもの。私たちも鼻が高くて、頬が緩みっぱなしだったわ」
そうだな、すごく楽しかった。でもすごく疲れて、今は頭が回らない。
「楽しかったです。こんなに気持ちが上がったり下がったり、興奮したり緊張したり、沈んだりしたのは初めてです」
お祖父様がいたわるような目で見ている。
「早めに寝なさい。
明日はゆっくりと起きればいいよ。朝食は、起きたら運ばせる」
ありがたく、そうさせてもらった。
もう何もしたくないし、考えたくない。
次の日は、昼近くまで寝てしまった。
体があちこち痛い。
いつもは使わない筋肉を使ったり、緊張して固くなったりしたせいだろう。
軽く柔軟をして、体をほぐし, I窓からベランダに出て空気を吸い込んだ。空気が体の中に満ちていく感じがする。
物音を聞き付け、侍従がドアをノックした。着替えを準備してもらい、着替え終わったくらいに、侍女が朝食を運んできた。いつもより多めでボリューム感のある朝食だった。
使用人の態度がこれまでと少し違う気がした。前より丁寧で、子供扱いをしなくなっている。昨日の活躍のせいなのだろうか。
1,728
お気に入りに追加
4,985
あなたにおすすめの小説
婚約者の恋人
クマ三郎@書籍発売中
恋愛
王家の血を引くアルヴィア公爵家の娘シルフィーラ。
何不自由ない生活。家族からの溢れる愛に包まれながら、彼女は社交界の華として美しく成長した。
そんな彼女の元に縁談が持ち上がった。相手は北の辺境伯フェリクス・ベルクール。今までシルフィーラを手放したがらなかった家族もこの縁談に賛成をした。
いつかは誰かの元へ嫁がなければならない身。それならば家族の祝福してくれる方の元へ嫁ごう。シルフィーラはやがて訪れるであろう幸せに満ちた日々を想像しながらベルクール辺境伯領へと向かったのだった。
しかしそこで彼女を待っていたのは自分に無関心なフェリクスと、病弱な身体故に静養と称し彼の元に身を寄せる従兄妹のローゼリアだった……
【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~
Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。
婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。
そんな日々でも唯一の希望があった。
「必ず迎えに行く!」
大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。
私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。
そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて…
※設定はゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
痛みは教えてくれない
河原巽
恋愛
王立警護団に勤めるエレノアは四ヶ月前に異動してきたマグラに冷たく当たられている。顔を合わせれば舌打ちされたり、「邪魔」だと罵られたり。嫌われていることを自覚しているが、好きな職場での仲間とは仲良くしたかった。そんなある日の出来事。
マグラ視点の「触れても伝わらない」というお話も公開中です。
別サイトにも掲載しております。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
【完結】ちょっと待ってくれー!!彼女は俺の婚約者だ
山葵
恋愛
「まったくお前はいつも小言ばかり…男の俺を立てる事を知らないのか?俺がミスしそうなら黙ってフォローするのが婚約者のお前の務めだろう!?伯爵令嬢ごときが次期公爵の俺に嫁げるんだぞ!?ああーもう良い、お前との婚約は解消だ!」
「婚約破棄という事で宜しいですか?承りました」
学園の食堂で俺は婚約者シャロン・リバンナに婚約を解消すると言った。
シャロンは、困り俺に許しを請うだろうと思っての発言だった。
まさか了承するなんて…!!
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる