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夜、化け物が
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「今日はありがとうございました。お休みなさい。」
夕ご飯を食べ終わりそろそろ眠たくなった頃、おかのかみ達と共に、男に挨拶をしにいった。
「慣れないので、眠れない夜になるかもしれない。でも、ゆっくり休んでくれ。」
そう言うと、奥へと戻って行った。
「化け物が怖くて眠れないよ。」
まやは、怯えていた。何がやって来るのか分からない。
「大丈夫。一晩中、他の者が見守るから。安心して寝なさい。」
おかのかみはそう言ってくれたが、やはり初めての世界なので、不安に襲われるのは当たり前だろう。
部屋からおかのかみ達が出ていき、三人になった。壁側にはまや、真ん中に私、廊下側に竹田が寝ることになった。
「何かあったら、起きてよね。トイレも一緒に…。」
「分かってるって。早く寝よう。」
部屋の灯りとなる火は、ゆらゆらとしており、明暗を繰り返していた。その様子が、とても気味悪かった。しかし、外からの人の声が不安を和らげてくれていた。
竹田は、火を息で消してくれた。一本二本と、消していきまやのところだけとなった。
「そこは点けといて。」
「わかったよ。じゃあ。」
竹田はあえてそこは点けておいた。
私も怖かったが、目を閉じてじっとしているうちに、慣れてきて意識がとんでいってしまった。布団や枕の硬さや不気味な音にも、気を使わず。
何時間経っただろうか。目を軽く開けると、そこは暗闇だった。いや、月明かりがぼんやりと障子から三人の顔を照らしていた。まやの近くの火はとっくに消えていた。
「もしもし。そこのお嬢さん。」
空耳だろうか。そう思うほど、薄れゆく声だった。でも、三人以外誰もいないはず。外からだった。
すると、障子にぼんやりと人のシルエットが浮かんだ。私は、横の二人を起こそうとする動きが出来なかった。恐怖で動けなかった。そして、目もそこから動かせなかった。
「わたしぃ。主人の妻ですぅ。息子娘は元気にぃ、過ごしていますでしょうか。心配で来てみたのですが、部屋が分からなくて、徘徊してるのです。」
私は、どうか目の前に現れないでくれ、襲わないでくれ、とばかり願っていた。
「その、石は娘が作ったものですねぇ。私が昔教えた通り。どうか、くれませんかぁ?」
そう声が部屋に響いていた。しかし、他の二人は起きる気配はない。
私は、軽くうなずいた。そして、枕近くにあるブレスレットを横目で見てみた。
すると、冷たそうな骨が皮に直接くっついてるようなガリガリな右手が、ブレスレットを掴んでいた。そして、そのまま障子の外へと引きずられていった。それを見ていた私は、気づかず息が荒くなっていた。
「深夜起こしてぇ、申しわけありませぇん。お詫びにぃ、これをどうぞぉ。」
そう言うと、私はゾッとした。私の布団の中にある右手に、冷たいものが触れたのだった。思わず身震い手震いを起こしてしまった。
しかし、気がつくと丸いものを握っていた。そして、障子がひとりでに閉まる音がした。
その後は、意識はなかった。
夕ご飯を食べ終わりそろそろ眠たくなった頃、おかのかみ達と共に、男に挨拶をしにいった。
「慣れないので、眠れない夜になるかもしれない。でも、ゆっくり休んでくれ。」
そう言うと、奥へと戻って行った。
「化け物が怖くて眠れないよ。」
まやは、怯えていた。何がやって来るのか分からない。
「大丈夫。一晩中、他の者が見守るから。安心して寝なさい。」
おかのかみはそう言ってくれたが、やはり初めての世界なので、不安に襲われるのは当たり前だろう。
部屋からおかのかみ達が出ていき、三人になった。壁側にはまや、真ん中に私、廊下側に竹田が寝ることになった。
「何かあったら、起きてよね。トイレも一緒に…。」
「分かってるって。早く寝よう。」
部屋の灯りとなる火は、ゆらゆらとしており、明暗を繰り返していた。その様子が、とても気味悪かった。しかし、外からの人の声が不安を和らげてくれていた。
竹田は、火を息で消してくれた。一本二本と、消していきまやのところだけとなった。
「そこは点けといて。」
「わかったよ。じゃあ。」
竹田はあえてそこは点けておいた。
私も怖かったが、目を閉じてじっとしているうちに、慣れてきて意識がとんでいってしまった。布団や枕の硬さや不気味な音にも、気を使わず。
何時間経っただろうか。目を軽く開けると、そこは暗闇だった。いや、月明かりがぼんやりと障子から三人の顔を照らしていた。まやの近くの火はとっくに消えていた。
「もしもし。そこのお嬢さん。」
空耳だろうか。そう思うほど、薄れゆく声だった。でも、三人以外誰もいないはず。外からだった。
すると、障子にぼんやりと人のシルエットが浮かんだ。私は、横の二人を起こそうとする動きが出来なかった。恐怖で動けなかった。そして、目もそこから動かせなかった。
「わたしぃ。主人の妻ですぅ。息子娘は元気にぃ、過ごしていますでしょうか。心配で来てみたのですが、部屋が分からなくて、徘徊してるのです。」
私は、どうか目の前に現れないでくれ、襲わないでくれ、とばかり願っていた。
「その、石は娘が作ったものですねぇ。私が昔教えた通り。どうか、くれませんかぁ?」
そう声が部屋に響いていた。しかし、他の二人は起きる気配はない。
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すると、冷たそうな骨が皮に直接くっついてるようなガリガリな右手が、ブレスレットを掴んでいた。そして、そのまま障子の外へと引きずられていった。それを見ていた私は、気づかず息が荒くなっていた。
「深夜起こしてぇ、申しわけありませぇん。お詫びにぃ、これをどうぞぉ。」
そう言うと、私はゾッとした。私の布団の中にある右手に、冷たいものが触れたのだった。思わず身震い手震いを起こしてしまった。
しかし、気がつくと丸いものを握っていた。そして、障子がひとりでに閉まる音がした。
その後は、意識はなかった。
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