話し相手

糸子(イトコ)

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パフォーマンス

月の下

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「…今日は妙に静かだな。疲れてたまたま店休んではいるが、こんなにも静かなもんかね。」
電気を消した部屋で一人店長は喋っていた。なんか、怪しいけど、関係ない。

スイートポテト
「ふぁ~…寝る必要ない身体でもあくびくらいするよな。んしょ…こういうときにはスイートポテトが一番だ。月の光の入る窓から、外を眺めながら食うスイートポテト!飯も食わんでいいけど、味蕾が残ってるのは快楽のためだから!」
店長は後ろに行き、すぐにスイートポテトをもって月の光の当たる席に座った。
「お客さんとの会話は楽しいけど、たまにはこうしたいときもあるよねー…」
…静かだ
店長の食べる音だけが部屋に響いている
心臓の音さえ聞こえそうな空間
月の光にてらされた店長は、何を考えているかさっぱりわからない。どこを見ているのか、どう見てるのか、なぜそんなことをしているのかさっぱりわからない。
わからない
わからない
「わからない」
「!誰だ!」

誰も返事はしない
ここには店長しかいないはずだ
…僕なんていない
僕なんていない
僕なんていない
「僕なんていない!」
「…」
なんだか不服そうな顔になってしまった
でも…そんな店長も…美しい…
美しい
美しい
「美しい!」
「…」
どうしてだろうか
店長は手と口を止めた
どおして?どおして?
「どおして?」
「…はぁ…それ、食っていいから、どっか行ってくれ。楽しみを潰された気分だ。」
「私は…あなたと…」
「…今日は月が綺麗だ。こんな月をみながら、食べるスイートポテトは絶品だぞ。この甘さと後味がな。」
「…」
「悪さをしないなら、いついてもいいぞ。その代わり、姿を一度くらいは見せてほしい。」
「…」
私は…私は姿を現した。
長めになってしまった髪、卑しい顔、ボロボロの肌…
「ほう…」
こんな…
こんな…
「こんな…私…」
「いや、きれいだよ。」
「…」

「君こそ美しい。私が普通の人間なら惚れていたよ。」
「…」
うれ…
「姿を現してくれてありがと。隣に座りなよ。」
「しい…」
「なんて?」
「うれしい…」
「はは、きれいなだけじゃない。可愛いところもあるじゃないか。」
「…」
「甘いものは心を落ち着かせてくれる。食べてみな。」
「…ありがとう…」
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