話し相手

糸子(イトコ)

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処方

回った従業員

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木材のカット業者。ただ木材を切るだけだが難しく、かつ危険も伴う職業である。例えば、身体を切ってしまったり…

分断回傷
「あぁん…ごめん、いまいち話が読めない。」
医師はとても困惑した声だった。
「そう言われましても…実際に起こってしまってますし…」
「えっと…木を切る機械にミスって突っ込み、大きめの輪切り、しかも4枚切り。かつ1回目は顔を半分に…でも生きててここに自力で来たと…」
「前が見えないながら来ました。」
「うん。顔の鼻から上が後ろ向いちゃってるもんね。」
「俺、大丈夫ですかね?」
「ん~…なんか知らんけど足はくっついてるっぽいし、とりあえず診察室に来て。どっかに座らないでね。パーツ、落ちたりしたら怖いから。」
「はい。」

やはり歩きにくい。
「さて、どうしたものか。触って痛い?」
「いえ」
「じゃあ…」
医師は僕の顔をつかみ、ぐるっと回した
「あだだだだだだだだだだ!」
「痛い程度で済んでよかったよ。」
「ついでにその逆の尻も直そう。」
「え?!」
こう…グリっと…
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「よし。あと医療用瞬間接着材を使ったら治るだろ。」
「え?」
医師はどこかに行き、接着剤を持ってきて、また頭をつかみ、もち…持ち上げた…
「あ…」
「せい!は!」
「いっっっっっっっっ…」
「慣れたか。じゃあこの調子で腰と腹。腰と足もやる!あと三回だ!頑張れ!」
「いっ…いっ…」
「は!せい!どん!」
「だっ…」
「よっ…せい!せい!どん!あっ、ちょっとずれた。ほい。」
「…」
「ありゃ?立ったまま気絶してらぁ。…くっつくまでこのままだな。」
…いた…い…
「は!」
「あ…起きた?血は拭いといた。傷跡も少し残るけど、これで死なないレベルだからすぐ治るでしょ。治らなかったらまた来て。ある程度の検査で、適当にくっつけたにしてはちゃんと血管がちゃんとくっついてるし、神経とかに問題は見れなかった。傷のことも考えれば、仕事復帰は1週間後。それまではあんまり体はうごかさないこと。ないと思うけど、取れる可能性もあるから。わかった?」
「は…はい…」
治った…のか?ん~…なんか…実感ねぇ~…
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