話し相手

糸子(イトコ)

文字の大きさ
上 下
48 / 101
相談

勧誘

しおりを挟む
「みんな救われたくないのかな~…こんないい宗教がどこにある!頑楽教なんかよりフラナンタ教のほうがいいのに!」
なんだ?このバー。なんだか…仲間のいる感じがする…

おっとりクリーム
「あらいらっしゃ~い。」
「いらっしゃいませ。」
このマスター…まさか…
「あ、あの…フラナンタ様を…信じてますか?」
「あら~宗教勧誘よ~。や~ね~。」
「…」
「…」
「あら?マスターどうしたの?動きが止まってるわ~。」
「あっ…いえ、とりあえず、座ってはいかがですか?」
「あっはい…」
「悩みでもあるの~?宗教以外なら、あたし聞いてあげる。」
「この方は放っておいてください。」
「わかりました…」
「ちょっとマスター!」
「…」
「…」
「もう…なによ!この空気!マスターのいつものゆるかな感じはどうしたのよ!」
「あぁ…すいません。少し考え事が…」
「そういう雰囲気じゃないけど。」
「すいません…」
「あ…あの、悩みが…」
「あらそうね。」
「誰も、フラナンタ様を信じてくださらないのです。我らが教祖、ボシュネンメ様をお救いになられたフラナンタ様。彼を信じることは、人類の救いになるとも考えられている。なのに!」
「宗教…席、外させてもらうわ。」
「落ち着いてください。」
「ではあなたは信じるのですか!?」
「…これ、お飲みになってみてはいかがですか?おっとりクリームでございます。」
「おっとりクリーム?」
「ええ。とても心が落ち着いてきますよ。少し甘味が強いですが。」
「ん…」
ん………そういえば、少しムキになっちゃったな。誰も信じないし、マスターも変な態度だった。
「とても気分が良くなるでしょう。」
「確かに…」
フラナンタ様のお言葉…「自分を信じ、生きる道を見つけよ。」自分を?
「フラナンタ教、確か、フラナンタの言葉として、「自分を信じ、生きる道を見つけよ。」でしたね。」
「知ってるんですか?」
マスター、知ってたんだ。っていうことは、あの女性がいたから話さなかったのか?
「いや~実はあれ、私が言った言葉なんですよ。」
「へぇ…マスターが。」
マスターがあれを。あれを?
「へ?」
「ボシュネンメさん、言葉の意味を履き違えたようで、」
「え?ちょ、え?」
「あれ、自分自身で見つけろって意味だったんですけど、私のことになっていたんですね。」
「あっ…えっ…」
「そういうことです。自分で自分を救う道を見つけましょう。私はただ、見つけるのを助けたに過ぎません。」
「…」
「もう一口、飲まれては?」
「あ…あぁ…はい…」
…フラナンタはこのバーのマスター…ボシュネンメは意味を履き違えた…ボシュネンメは…確かに自分で自分を救う道、宗教の開祖として自分を救った…意味を履き違えたにも関わらず、開祖として成功したのは、ボシュネンメが自分とフラナンタを信じ切ったから…
「また…来てもいいですか?」
「もちろん。いつでも。」
「ありがとう。目が覚めたよ。あなたの言葉で、確かに自分を救う道が見えそうなきがする。ありがとう。」
「はい。」
「あら、帰るの?これ、あげる。」
「?」
ガーベラ?
「マスターから教わった上にもらった、ガーベラの花のストラップ。花言葉は希望よ~。」
「ありがとうございます。フラナンタ様、お会いできて光栄です。」
「気にならないのですか?」
「なにがですか?」
「…なんでもないです。」
「そういえばマスター何歳?」
「…」
「…」
「…」
帰って、教祖について考えよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

お漏らし・おしがま短編小説集 ~私立朝原女学園の日常~

赤髪命
大衆娯楽
小学校から高校までの一貫校、私立朝原女学園。この学校に集う女の子たちの中にはいろいろな個性を持った女の子がいます。そして、そんな中にはトイレの悩みを持った子たちも多いのです。そんな女の子たちの学校生活を覗いてみましょう。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

好きになっちゃったね。

青宮あんず
大衆娯楽
ドラッグストアで働く女の子と、よくおむつを買いに来るオシャレなお姉さんの百合小説。 一ノ瀬水葉 おねしょ癖がある。 おむつを買うのが恥ずかしかったが、京華の対応が優しくて買いやすかったので京華がレジにいる時にしか買わなくなった。 ピアスがたくさんついていたり、目付きが悪く近寄りがたそうだが実際は優しく小心者。かなりネガティブ。 羽月京華 おむつが好き。特に履いてる可愛い人を見るのが。 おむつを買う人が眺めたくてドラッグストアで働き始めた。 見た目は優しげで純粋そうだが中身は変態。 私が百合を書くのはこれで最初で最後になります。 自分のpixivから少しですが加筆して再掲。

処理中です...