35 / 40
実家
しおりを挟む
ある晴れた日の昼頃。
俺たちは少しの緊張しながら、とある家のインターホンを押した。
ガチャ、と音を立てドアが開いた。
「おかえり旬」
「ただいま母さん」
中から出てきたのは俺の母さんだ。
すると母さんはリーシャを見るなり目を輝かせて近づいた。
「あら!あなたが旬のお隣さんのリーシャちゃん?」
「は、はい!」
緊張のせいか、ガチガチに固まるリーシャ。
「フフフッ。そんなに緊張しなくていいわよ。ほら上がって上がって」
「お、お邪魔します」
軽く会釈をし、リーシャは俺に続いて家の中に入った。
咄嗟に思いついたから言ったけど、お隣さんとここまで仲良くなりました、なんてほとんど付き合ってるみたいなもんだよな。
絶対母さん期待してる。
でも嘘つかなかったら家にも呼べなかったし、仕方ない。
すると母さんが俺の肩を叩いてこう言った。
「やるじゃない旬」
ニヤついた顔を浮かべ、嬉しそうに笑う母さん。
「そういうのじゃないって言っただろ」
こうなったのも全部グリードのせいだ。
死んだ後も俺を困らせるとは腹立たしい。
どうしてこうなったのか、それを知るには数日遡る必要がある。
※
「旬くん。君には本当に感謝してる。またお礼をしたいと思ってるから何が良いか考えておいてくれ」
柊の病室の外で店長がそう言った。
「そんな事気にしないでください。俺はリーシャを助けるためにやったんですから」
「それでもお礼をさせてくれ。それにこれは柊のケジメでもあるんだ」
そう言われてしまっては断れないな。
「分かりました。考えておきます」
そんな会話を交わして俺たちは病院を出た。
元あった家は跡形もなく消え去り、俺たちは今、仮住居に住んでいる。
店長の計らいで、俺たちは一緒の部屋に住むことを許可されている。
全く似て無いが、兄妹という事で通したらしい。
仮住居に帰り、少し休んでいると、俺のスマホがブルブルと鳴った。
母さんか。
俺は電話の相手が母さんである事を確認し、電話に出た。
「もしもし」
『もしもし旬。大丈夫?家なくなっちゃったんでしょ』
「そうだね」
なんかすごいぶっ飛んだ会話してる気がする。
『学校もしばらく休校みたいだし、新しいお家決めなきゃだし実家に帰ってきなさい』
「えっ……………」
『何その反応』
「嫌って言ったら?」
『学費払うのやめようかしら』
「ぐっ、わかった。帰るからそれだけはやめて」
冗談だと思うけど、母さんならやりかねないんだよなぁ。
それにしても困ったな。実家に帰って次の家を決めるなんて一週間ちょっとで出来るようなことじゃないぞ。
リーシャを仮住居に置いたままにしておく訳にはいかないし、異世界にも用がある。
でも何も言わずに実家に連れて行くなんて出来ないしな。
いや───待てよ。
「母さん。一つ頼みがあるんだけど」
『どうしたの?』
「元々住んでた家の隣にさ、リーシャって言う留学生が住んでたんだけど」
『もしかしてご挨拶?良いわよ連れて来なさい』
「違うわ!最後まで話聞け」
母さんは俺を凄く愛してくれている。だから一人暮らしも快く承諾してくれた。
そんな俺に彼女が出来たというなら、喜ぶのも自然だろう。
「日本に来たばかりで、良く俺に相談して来てたんだけど、家が無くなって、今俺と同じ仮住居で暮らしてるんだけど、困ってるみたいで」
『別に連れてくる分には良いわよ。お相手の親御さんはどう言ってるの?』
「えっと…………好きなようにしてくださいだって」
「なっ!?アマネさん!」
何する気、と言わんばかりの疑いを目を向けてくるリーシャ。
『そう、わかったわ』
「じゃあそういうことだから。よろしく」
『はい。はーい』
母さんテンション上がってる気するな。
※
そんな事があり、今俺たちは俺の実家にいる。
「リーシャちゃんは旬の事どう思ってるの?」
「えっ!?」
「ちょ、母さん」
母さんはこんな感じで、俺たちをからかって反応を楽しんでいる。
「とりあえず荷物片付けるから───」
「手伝うわよ」
「絶対来んな!」
そう言って俺はリーシャを連れて2階に上がった。
2階には俺の部屋と元々荷物置きとして使っていた空き部屋がある。
俺の部屋は出た時もさほど変わってないので良いが、リーシャの部屋は元々荷物置きで使っていたので、中はすっからかんだ。
俺たちはリーシャの部屋に二人で入った。
「悪いなリーシャ。俺が家に女子を連れてきたのこれが初めてだから、母さん浮かれてるんだと思う」
「いえいえ。凄く暖かい良いお母様ですね」
「そうか?ウザイだけだろ」
「私からしたら羨ましいですよ。アマネさんを愛してるんだって少し話しただけで分かりましたから」
「そうか……………」
親から愛されていなかったリーシャからすれば、理想の家族なのかもな。
「リーシャは自分の親やマルクス王子とよりを戻したいと思うか?」
「戻したくないと言い切ることはできないですね。親はまだしも、なぜかマルクス王子とまた婚約してもらわないとって思う自分がいるのは事実です。本心ではアマネさんとずっと一緒に居たいんですけどね」
「やっぱりそうか」
柊が<信用強制《ジェノサイド》>を解除した際、『かけられていた本人は変わった現在をなぜか元に戻そうとする』と言っていた。
おそらくそれはシェリアの言っていた秩序にならってのことだろう。それはリーシャにも言えることだ。でもリーシャはこちらの世界に居ることの方が多くなってきている。それにリーシャは秩序の支配から少しだが逃れられているのだ。
これはあくまで推測でしかないが、リーシャという存在は今、こちらの世界と向こうの世界のちょうど中心───つまりはどちらの世界にも属している、そんな特殊な存在なのだろう。だから自身の気持ちと秩序の支配が彼女の中で混ざっているのだ。
どの道、<召喚・帰還>で繋がってる以上、帰りたいと言っても帰らせる事は出来ない。
───だが問題は多分そこじゃない。
「私はアマネさんの事が好きです。この世の誰よりも」
「そ、そうか」
面と向かって言われるとやっぱり少し恥ずかしいな。
「でももしかしたらこの気持ちを女神に変えられてしまうんじゃないかと思うと、怖いです」
リーシャは肩を震わせていた。
リーシャが秩序に従うということは、俺に対する気持ちを忘れ、マルクス王子に仕える事になるのだ。
それが多分一番の問題だろう。
俺はリーシャの頭を撫でる。
「心配するな。ここまで二人で乗り切ってきたんだ。きっと大丈夫」
「っ………………。やっぱり不思議ですね。アマネさんが言うとなぜか自信が湧いてきます」
「俺にはプレッシャーが掛かるんだけどな…………」
俺がそう言うとリーシャはフフッと笑った。
「大丈夫です。私のアマネさんへの気持ちが秩序なんかに負けるわけありません」
そう言ってリーシャは俺の胸にピタリと引っ付いてきた。
俺は激しく鼓動を打つ心臓の音がリーシャに聞こえてないか、と心配になっていた。
「リーシャ。大胆なのは嬉しいが、ここ実ッ」
ガチャ、と音がして部屋のドアが開いた。
「あら、ごめんなさい」
そう言ってニヤリと笑みを浮かべた母さんが再びドアを閉めた。
「か、母さん…………」
「っ───!!」
リーシャの頬がものすごい勢いで赤くなる。
「旬!リーシャちゃん!お母さんは何も見てないからね。お昼の相談しに来たけど、適当に作ることにするね。後は若いお二人で」
そう言って母さんはドタドタと階段を降りていった。
「もう何言っても無駄だな」
「そ、そうですね…………」
俺たちは何だか照れくさくなり、少しの間目を合わせられなかった。
俺たちは少しの緊張しながら、とある家のインターホンを押した。
ガチャ、と音を立てドアが開いた。
「おかえり旬」
「ただいま母さん」
中から出てきたのは俺の母さんだ。
すると母さんはリーシャを見るなり目を輝かせて近づいた。
「あら!あなたが旬のお隣さんのリーシャちゃん?」
「は、はい!」
緊張のせいか、ガチガチに固まるリーシャ。
「フフフッ。そんなに緊張しなくていいわよ。ほら上がって上がって」
「お、お邪魔します」
軽く会釈をし、リーシャは俺に続いて家の中に入った。
咄嗟に思いついたから言ったけど、お隣さんとここまで仲良くなりました、なんてほとんど付き合ってるみたいなもんだよな。
絶対母さん期待してる。
でも嘘つかなかったら家にも呼べなかったし、仕方ない。
すると母さんが俺の肩を叩いてこう言った。
「やるじゃない旬」
ニヤついた顔を浮かべ、嬉しそうに笑う母さん。
「そういうのじゃないって言っただろ」
こうなったのも全部グリードのせいだ。
死んだ後も俺を困らせるとは腹立たしい。
どうしてこうなったのか、それを知るには数日遡る必要がある。
※
「旬くん。君には本当に感謝してる。またお礼をしたいと思ってるから何が良いか考えておいてくれ」
柊の病室の外で店長がそう言った。
「そんな事気にしないでください。俺はリーシャを助けるためにやったんですから」
「それでもお礼をさせてくれ。それにこれは柊のケジメでもあるんだ」
そう言われてしまっては断れないな。
「分かりました。考えておきます」
そんな会話を交わして俺たちは病院を出た。
元あった家は跡形もなく消え去り、俺たちは今、仮住居に住んでいる。
店長の計らいで、俺たちは一緒の部屋に住むことを許可されている。
全く似て無いが、兄妹という事で通したらしい。
仮住居に帰り、少し休んでいると、俺のスマホがブルブルと鳴った。
母さんか。
俺は電話の相手が母さんである事を確認し、電話に出た。
「もしもし」
『もしもし旬。大丈夫?家なくなっちゃったんでしょ』
「そうだね」
なんかすごいぶっ飛んだ会話してる気がする。
『学校もしばらく休校みたいだし、新しいお家決めなきゃだし実家に帰ってきなさい』
「えっ……………」
『何その反応』
「嫌って言ったら?」
『学費払うのやめようかしら』
「ぐっ、わかった。帰るからそれだけはやめて」
冗談だと思うけど、母さんならやりかねないんだよなぁ。
それにしても困ったな。実家に帰って次の家を決めるなんて一週間ちょっとで出来るようなことじゃないぞ。
リーシャを仮住居に置いたままにしておく訳にはいかないし、異世界にも用がある。
でも何も言わずに実家に連れて行くなんて出来ないしな。
いや───待てよ。
「母さん。一つ頼みがあるんだけど」
『どうしたの?』
「元々住んでた家の隣にさ、リーシャって言う留学生が住んでたんだけど」
『もしかしてご挨拶?良いわよ連れて来なさい』
「違うわ!最後まで話聞け」
母さんは俺を凄く愛してくれている。だから一人暮らしも快く承諾してくれた。
そんな俺に彼女が出来たというなら、喜ぶのも自然だろう。
「日本に来たばかりで、良く俺に相談して来てたんだけど、家が無くなって、今俺と同じ仮住居で暮らしてるんだけど、困ってるみたいで」
『別に連れてくる分には良いわよ。お相手の親御さんはどう言ってるの?』
「えっと…………好きなようにしてくださいだって」
「なっ!?アマネさん!」
何する気、と言わんばかりの疑いを目を向けてくるリーシャ。
『そう、わかったわ』
「じゃあそういうことだから。よろしく」
『はい。はーい』
母さんテンション上がってる気するな。
※
そんな事があり、今俺たちは俺の実家にいる。
「リーシャちゃんは旬の事どう思ってるの?」
「えっ!?」
「ちょ、母さん」
母さんはこんな感じで、俺たちをからかって反応を楽しんでいる。
「とりあえず荷物片付けるから───」
「手伝うわよ」
「絶対来んな!」
そう言って俺はリーシャを連れて2階に上がった。
2階には俺の部屋と元々荷物置きとして使っていた空き部屋がある。
俺の部屋は出た時もさほど変わってないので良いが、リーシャの部屋は元々荷物置きで使っていたので、中はすっからかんだ。
俺たちはリーシャの部屋に二人で入った。
「悪いなリーシャ。俺が家に女子を連れてきたのこれが初めてだから、母さん浮かれてるんだと思う」
「いえいえ。凄く暖かい良いお母様ですね」
「そうか?ウザイだけだろ」
「私からしたら羨ましいですよ。アマネさんを愛してるんだって少し話しただけで分かりましたから」
「そうか……………」
親から愛されていなかったリーシャからすれば、理想の家族なのかもな。
「リーシャは自分の親やマルクス王子とよりを戻したいと思うか?」
「戻したくないと言い切ることはできないですね。親はまだしも、なぜかマルクス王子とまた婚約してもらわないとって思う自分がいるのは事実です。本心ではアマネさんとずっと一緒に居たいんですけどね」
「やっぱりそうか」
柊が<信用強制《ジェノサイド》>を解除した際、『かけられていた本人は変わった現在をなぜか元に戻そうとする』と言っていた。
おそらくそれはシェリアの言っていた秩序にならってのことだろう。それはリーシャにも言えることだ。でもリーシャはこちらの世界に居ることの方が多くなってきている。それにリーシャは秩序の支配から少しだが逃れられているのだ。
これはあくまで推測でしかないが、リーシャという存在は今、こちらの世界と向こうの世界のちょうど中心───つまりはどちらの世界にも属している、そんな特殊な存在なのだろう。だから自身の気持ちと秩序の支配が彼女の中で混ざっているのだ。
どの道、<召喚・帰還>で繋がってる以上、帰りたいと言っても帰らせる事は出来ない。
───だが問題は多分そこじゃない。
「私はアマネさんの事が好きです。この世の誰よりも」
「そ、そうか」
面と向かって言われるとやっぱり少し恥ずかしいな。
「でももしかしたらこの気持ちを女神に変えられてしまうんじゃないかと思うと、怖いです」
リーシャは肩を震わせていた。
リーシャが秩序に従うということは、俺に対する気持ちを忘れ、マルクス王子に仕える事になるのだ。
それが多分一番の問題だろう。
俺はリーシャの頭を撫でる。
「心配するな。ここまで二人で乗り切ってきたんだ。きっと大丈夫」
「っ………………。やっぱり不思議ですね。アマネさんが言うとなぜか自信が湧いてきます」
「俺にはプレッシャーが掛かるんだけどな…………」
俺がそう言うとリーシャはフフッと笑った。
「大丈夫です。私のアマネさんへの気持ちが秩序なんかに負けるわけありません」
そう言ってリーシャは俺の胸にピタリと引っ付いてきた。
俺は激しく鼓動を打つ心臓の音がリーシャに聞こえてないか、と心配になっていた。
「リーシャ。大胆なのは嬉しいが、ここ実ッ」
ガチャ、と音がして部屋のドアが開いた。
「あら、ごめんなさい」
そう言ってニヤリと笑みを浮かべた母さんが再びドアを閉めた。
「か、母さん…………」
「っ───!!」
リーシャの頬がものすごい勢いで赤くなる。
「旬!リーシャちゃん!お母さんは何も見てないからね。お昼の相談しに来たけど、適当に作ることにするね。後は若いお二人で」
そう言って母さんはドタドタと階段を降りていった。
「もう何言っても無駄だな」
「そ、そうですね…………」
俺たちは何だか照れくさくなり、少しの間目を合わせられなかった。
234
お気に入りに追加
1,171
あなたにおすすめの小説
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
伯爵令嬢に婚約破棄されたので、人間やめました
えながゆうき
ファンタジー
うー、ダイエット、ダイエットー!
子爵家の庭を必死に走っている俺は、丸々太った、豚のような子爵令息のテオドール十五歳。つい先日、婚約者の伯爵令嬢にフラれたばっかりの、胸に大きな傷を負った漆黒の堕天使さ。髪はブロンド、瞳はブルーだけど。
貴族としてあるまじき醜態はすぐに社交界に広がり、お茶会に参加しても、いつも俺についてのヒソヒソ話をされて後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも!
そんなわけで、俺は少しでも痩せるために庭を毎日走っている。でも、全然痩せないんだよね、何でだろう?
そんなことを考えながら走っていると、庭の片隅に見慣れない黒い猫が。
うは、可愛らしい黒猫。
俺がそう思って見つめていると、黒い猫は俺の方へと近づいてきた!
「人間をやめないかい?」
「いいですとも! 俺は人間をやめるぞー!!」
と、その場の空気に飲まれて返事をしたのは良いけれど、もしかして、本気なの!? あ、まずい。あの目は本気でヤる目をしている。
俺は一体どうなってしまうんだー!! それ以前に、この黒い猫は一体何者なんだー!!
え? 守護精霊? あのおとぎ話の? ハハハ、こやつめ。
……え、マジなの!? もしかして俺、本当に人間やめちゃいました!?
え? 魔境の森にドラゴンが現れた? やってみるさ!
え? 娘を嫁にもらってくれ? ずいぶんと地味な子だけど、大丈夫?
え? 元婚約者が別のイケメン男爵令息と婚約した? そう、関係ないね。
え? マンドラゴラが仲間になりたそうな目でこちらを見てる? ノーサンキュー!
え? 魔石が堅くて壊せない? 指先一つで壊してやるよ!
え? イケメン男爵令息が魔族だった? 殺せ!
何でわざわざ俺に相談しに来るんですかねー。俺は嫁とイチャイチャしたいだけなのに。あ、ミケ、もちろんミケともイチャイチャしたいよー?
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる