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討伐ミッション
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俺は状況を判断するため現実世界に帰ってきた。
俺が<召喚・帰還>を使えばリーシャも強制的に付いてくることになる。これは大問題だ。
指名手配にされている彼女を向こうの世界に持っていくのはかなりのリスクがある。
こちらの世界に戻ろうにも<帰還>が即発動のスキルでない以上囲まれたらおしまいだ──いや、最悪殺されなければどこからでも彼女をこっちに戻せるか。
でもこれはあくまで有効範囲が無かったらの話だ、あまり過信しすぎない方がいいか。
もし有効範囲がなければ彼女が向こうの世界に帰りたくなっても帰れないという問題が生じるな。
どっちに転んでもデメリットが付いてくるわけか………………。
「リーシャ大丈夫か?」
「は、はい……………少しびっくりしてしまっただけなので……………」
突然向こうの世界に飛ばされたリーシャは酷く怯えていた。
もしかしたら俺に捨てられるんじゃないか、と思っていたのかもしれない。
シェリアさん、これはどうにかできないんですか?
『解決策は今のところありません。術者本人に働くスキルに別の人が巻き込まれるなんて聞いた事ありませんから』
そうですか………………。
なら、強制的に向こうの世界に召喚するのだけやめてもらうことは出来ないですか?
『すみませんが決まりのですので私個人の判断で変えることは出来ません』
………………そうですか。
女神も好き放題できる訳じゃないのか。
これじゃあ異世界に行くのが相当危険になったな、でもずっと行かない訳にもいかないんだよなぁ。
「リーシャ、少しいいか?」
「はい」
「今、俺とリーシャはお互い同じ世界でしか居られない状態になってる。これを解決する策は残念ながら無いんだ。それにさっきも言ったけどこっちの世界にずっと居ることも出来ないんだ」
「───なら、連れてってもらって構いませんよ」
「そうか、悪いな」
「いえ、アマネさんが謝る必要はありません。それにあの時助けて貰っていなかったらとっくに捕まっていましたから。バレた時はその時です」
覚悟を決めたような強い眼差しを向けてくるリーシャ。
こうなった以上、俺はできる限り彼女を守るつもりだ。
一つ救いがあるとすれば、彼女の外見を隠すのが容易だというところだろう。サングラスやらパーカーやら使えば髪も顔も分からなくなる。
ただの学生である俺に最適解を出せる程の頭は無い。
だから彼女を守るためには自分を強くする事しか思い浮かばないのだ。
俺はこれから討伐ミッションだけを受け、速攻レベルを上げようと思う。
危なくなればすぐに<帰還>で戻れば多分大丈夫だろう。
「じゃあリーシャ、君にこれをさずけよう」
俺は去年の夏におふざけで買ったサングラスをリーシャに渡した。
リーシャはそのサングラスをかける。
「これすごく見えにくいですね」
「でもこれを使えばそうそうバレることは無いと思う」
現にあの可愛らしい顔がサングラスによって分からなくなっているのだから。
外見を隠す魔法とかあったら便利なんだけどなぁ。
シェリアさんなんか無いですか?
『<認識阻害>というスキルは存在しますよ。ただスキル単体で使っても魔力を大量消費するのみで使い物になりませんね』
マジか……………。
とりあえずはフードとサングラスで隠す事にするか。
「よし、じゃあリーシャ。一度向こうの世界に行くぞ。バレないかだけでも確かめたい」
「わかりました」
俺は「召喚」と口にする。
いつものように10のカウントが始まった。
するとリーシャが俺の手を強く握ってきた。
その手は少し震えていた。
「大丈夫か?無理はしなくていいんだぞ」
「いえ、少し緊張してますが大丈夫です。それに逃げ腰のままだと覚悟が薄れてしまいそうなので」
「そっか……………。なぁ、リーシャはこのまま隠れて過ごしたいのか?それとも無実を証明したのか?」
「そうですね。出来ることなら無実を証明したいですね………………」
「そうか。分かった」
10のカウントが終わり、異世界に召喚された。
その瞬間、道行く人達が俺たちに視線を向けてきた。
「アマネさん、すごく見られてますけどこれバレてませんか?」
俺の背中で顔を覆うリーシャ。
「いや、多分俺達が着てる服が変わってるから見られてるだけだと思う」
「そうですか……………」
小さくため息を着くリーシャ。
「じゃあ行くぞ」
俺達は冒険者ギルドに入った。
周りの冒険者の反応を見るに、誰もリーシャには気づいてないようだ。
ゴブリン×5の討伐。
スライム×5の討伐。
薬草×5の採取。
報酬はゴブリンの1000ラーツが高いな。
D級ミッションだし、経験値もそこそこありそうだ。
俺はゴブリン討伐ミッションの紙を取り、受付嬢に渡した。
「これを受けたいんですが」
「ゴブリン討伐ですね。了解しました」
ミッションを受ける事ができ、俺達は森へと向かった。
「そういえばリーシャって戦えるの?」
「はい、少しは魔法が使えますので」
「そうか」
自衛が出来るなら、安心だな。
草むらを抜けた先に五体のゴブリンが群れをなしていた。
緑色の肌と小さい子供程の大きさのゴブリン。
力はそこまで強くないらしいが武装しているので気は抜けない。
俺の前にいる五体は剣持ちが二体、棍棒持ちが二体、盾持ちが一体だ。
「じゃあ行くぞ」
「はい!」
俺は草むらを飛び出し、背後から剣持ちのゴブリンに剣を振るった。
もう一体倒したかったが他のゴブリンが直ぐに反応し、戦闘態勢に入っていた。
棍棒持ちの一体が俺に襲いかかってくる。
「火炎」
火魔法の一つであり、直線上に火の柱を飛ばす。
それを食らったゴブリンは焼け焦げた。
「ギェェェェッ!!」
剣持ちの一匹がいつの間にか俺の背後を取っていた。
まずい───。
「氷の塊」
「ぐぇぇぇぇ……………」
ゴブリンの胸から先の尖った氷の塊が貫通してきた。
「リーシャ、ナイス!」
俺はそう言って親指を立てた。
ドヤ顔を見せるリーシャ。
三体殺られたことで後退りをし始めるゴブリン。
「悪いが逃がす訳にはいかないんだ」
俺は一気に二体のゴブリンへと近づく。
ゴブリンが棍棒を振るう。
俺はそれを避けた後、剣を振るう。
棍棒持ちを倒した後、盾持ちのゴブリンへと近づき蹴りを入れ、盾を落とさせた。
その後、剣を振るい倒した。
「これで終わりだな」
Lv2→Lv3
名前 : 天音 旬
Lv3
職業 : 無し
HP : 120
MP : 115/120
筋力 : 58(+3)
耐久 : 60(+2)
速度 : 57(+3)
固有スキル : <召喚・帰還>
<言語理解>
<複合>
スキル : <闇魔法Lv1>
<火魔法Lv1>
スキルポイント : 200
換金可能ポイント : 1190
レベルも上がったか。
「アマネさん、右───!」
突然、そう叫ぶリーシャ。
「グァァァァ!!」
さっきよりもデカいゴブリンが巨大な棍棒を振り下ろしてきていた。
くっ、避けられないか───。
俺は剣でその棍棒を受け止める。
俺は無理やり剣を起こし、棍棒を払い除け、後ろに下がる。
なんだコイツ……………ミッションには含まれてないぞ。
「大丈夫ですか?」
草むらからリーシャが走ってくる。
「ああ、大丈夫だ」
「アマネさん、ホブゴブリンです。一体でD級の上位くらいの強さがあります」
「D級か…………」
大きさは太った成人男性ぐらい。
棍棒を受け止めた時にわかったがそこそこ攻撃が重たいし、速い。
「私も手伝います」
「危なくなったら頼むよ」
ずっと試してなかった固有スキル<複合>を使ってみるか。
俺が<召喚・帰還>を使えばリーシャも強制的に付いてくることになる。これは大問題だ。
指名手配にされている彼女を向こうの世界に持っていくのはかなりのリスクがある。
こちらの世界に戻ろうにも<帰還>が即発動のスキルでない以上囲まれたらおしまいだ──いや、最悪殺されなければどこからでも彼女をこっちに戻せるか。
でもこれはあくまで有効範囲が無かったらの話だ、あまり過信しすぎない方がいいか。
もし有効範囲がなければ彼女が向こうの世界に帰りたくなっても帰れないという問題が生じるな。
どっちに転んでもデメリットが付いてくるわけか………………。
「リーシャ大丈夫か?」
「は、はい……………少しびっくりしてしまっただけなので……………」
突然向こうの世界に飛ばされたリーシャは酷く怯えていた。
もしかしたら俺に捨てられるんじゃないか、と思っていたのかもしれない。
シェリアさん、これはどうにかできないんですか?
『解決策は今のところありません。術者本人に働くスキルに別の人が巻き込まれるなんて聞いた事ありませんから』
そうですか………………。
なら、強制的に向こうの世界に召喚するのだけやめてもらうことは出来ないですか?
『すみませんが決まりのですので私個人の判断で変えることは出来ません』
………………そうですか。
女神も好き放題できる訳じゃないのか。
これじゃあ異世界に行くのが相当危険になったな、でもずっと行かない訳にもいかないんだよなぁ。
「リーシャ、少しいいか?」
「はい」
「今、俺とリーシャはお互い同じ世界でしか居られない状態になってる。これを解決する策は残念ながら無いんだ。それにさっきも言ったけどこっちの世界にずっと居ることも出来ないんだ」
「───なら、連れてってもらって構いませんよ」
「そうか、悪いな」
「いえ、アマネさんが謝る必要はありません。それにあの時助けて貰っていなかったらとっくに捕まっていましたから。バレた時はその時です」
覚悟を決めたような強い眼差しを向けてくるリーシャ。
こうなった以上、俺はできる限り彼女を守るつもりだ。
一つ救いがあるとすれば、彼女の外見を隠すのが容易だというところだろう。サングラスやらパーカーやら使えば髪も顔も分からなくなる。
ただの学生である俺に最適解を出せる程の頭は無い。
だから彼女を守るためには自分を強くする事しか思い浮かばないのだ。
俺はこれから討伐ミッションだけを受け、速攻レベルを上げようと思う。
危なくなればすぐに<帰還>で戻れば多分大丈夫だろう。
「じゃあリーシャ、君にこれをさずけよう」
俺は去年の夏におふざけで買ったサングラスをリーシャに渡した。
リーシャはそのサングラスをかける。
「これすごく見えにくいですね」
「でもこれを使えばそうそうバレることは無いと思う」
現にあの可愛らしい顔がサングラスによって分からなくなっているのだから。
外見を隠す魔法とかあったら便利なんだけどなぁ。
シェリアさんなんか無いですか?
『<認識阻害>というスキルは存在しますよ。ただスキル単体で使っても魔力を大量消費するのみで使い物になりませんね』
マジか……………。
とりあえずはフードとサングラスで隠す事にするか。
「よし、じゃあリーシャ。一度向こうの世界に行くぞ。バレないかだけでも確かめたい」
「わかりました」
俺は「召喚」と口にする。
いつものように10のカウントが始まった。
するとリーシャが俺の手を強く握ってきた。
その手は少し震えていた。
「大丈夫か?無理はしなくていいんだぞ」
「いえ、少し緊張してますが大丈夫です。それに逃げ腰のままだと覚悟が薄れてしまいそうなので」
「そっか……………。なぁ、リーシャはこのまま隠れて過ごしたいのか?それとも無実を証明したのか?」
「そうですね。出来ることなら無実を証明したいですね………………」
「そうか。分かった」
10のカウントが終わり、異世界に召喚された。
その瞬間、道行く人達が俺たちに視線を向けてきた。
「アマネさん、すごく見られてますけどこれバレてませんか?」
俺の背中で顔を覆うリーシャ。
「いや、多分俺達が着てる服が変わってるから見られてるだけだと思う」
「そうですか……………」
小さくため息を着くリーシャ。
「じゃあ行くぞ」
俺達は冒険者ギルドに入った。
周りの冒険者の反応を見るに、誰もリーシャには気づいてないようだ。
ゴブリン×5の討伐。
スライム×5の討伐。
薬草×5の採取。
報酬はゴブリンの1000ラーツが高いな。
D級ミッションだし、経験値もそこそこありそうだ。
俺はゴブリン討伐ミッションの紙を取り、受付嬢に渡した。
「これを受けたいんですが」
「ゴブリン討伐ですね。了解しました」
ミッションを受ける事ができ、俺達は森へと向かった。
「そういえばリーシャって戦えるの?」
「はい、少しは魔法が使えますので」
「そうか」
自衛が出来るなら、安心だな。
草むらを抜けた先に五体のゴブリンが群れをなしていた。
緑色の肌と小さい子供程の大きさのゴブリン。
力はそこまで強くないらしいが武装しているので気は抜けない。
俺の前にいる五体は剣持ちが二体、棍棒持ちが二体、盾持ちが一体だ。
「じゃあ行くぞ」
「はい!」
俺は草むらを飛び出し、背後から剣持ちのゴブリンに剣を振るった。
もう一体倒したかったが他のゴブリンが直ぐに反応し、戦闘態勢に入っていた。
棍棒持ちの一体が俺に襲いかかってくる。
「火炎」
火魔法の一つであり、直線上に火の柱を飛ばす。
それを食らったゴブリンは焼け焦げた。
「ギェェェェッ!!」
剣持ちの一匹がいつの間にか俺の背後を取っていた。
まずい───。
「氷の塊」
「ぐぇぇぇぇ……………」
ゴブリンの胸から先の尖った氷の塊が貫通してきた。
「リーシャ、ナイス!」
俺はそう言って親指を立てた。
ドヤ顔を見せるリーシャ。
三体殺られたことで後退りをし始めるゴブリン。
「悪いが逃がす訳にはいかないんだ」
俺は一気に二体のゴブリンへと近づく。
ゴブリンが棍棒を振るう。
俺はそれを避けた後、剣を振るう。
棍棒持ちを倒した後、盾持ちのゴブリンへと近づき蹴りを入れ、盾を落とさせた。
その後、剣を振るい倒した。
「これで終わりだな」
Lv2→Lv3
名前 : 天音 旬
Lv3
職業 : 無し
HP : 120
MP : 115/120
筋力 : 58(+3)
耐久 : 60(+2)
速度 : 57(+3)
固有スキル : <召喚・帰還>
<言語理解>
<複合>
スキル : <闇魔法Lv1>
<火魔法Lv1>
スキルポイント : 200
換金可能ポイント : 1190
レベルも上がったか。
「アマネさん、右───!」
突然、そう叫ぶリーシャ。
「グァァァァ!!」
さっきよりもデカいゴブリンが巨大な棍棒を振り下ろしてきていた。
くっ、避けられないか───。
俺は剣でその棍棒を受け止める。
俺は無理やり剣を起こし、棍棒を払い除け、後ろに下がる。
なんだコイツ……………ミッションには含まれてないぞ。
「大丈夫ですか?」
草むらからリーシャが走ってくる。
「ああ、大丈夫だ」
「アマネさん、ホブゴブリンです。一体でD級の上位くらいの強さがあります」
「D級か…………」
大きさは太った成人男性ぐらい。
棍棒を受け止めた時にわかったがそこそこ攻撃が重たいし、速い。
「私も手伝います」
「危なくなったら頼むよ」
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