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第3章 偽りの平和
41話 勝利と敗北と
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俺は茜に吹っ飛ばされた九尾を追い、飛び立つ。
「≪ドラゴンフレイムカノン≫」
渾身の炎の光線を放つ。その光線は一直線に九尾目掛けて進み、九尾を呑み込む。
だが……
「な!?」
九尾は数秒に渡って炎の光線を受け続けたにも関わらず傷1つ無かった。
それどころか……
「ギャァァァ!」
九つの尾、その先に灯った炎はどれも大きく、力強く燃えていた。恐らく当たればただでは済まないだろう。
なんだろう。嫌な予感がする。奴には飛行能力が無い。空中では身動きが取れない筈。
「ギ、ギャァァァ!」
今までで一番大きな雄叫びを上げる九尾。何か仕掛けてくると踏み、構える。
だがその行動は間違いだった。警戒などせずに攻撃に徹していれば或いは良かったのかも知れない。何しろ、九尾の放った九つの火の玉は俺では無く四方八方、地上に向けて放たれたのだから。
『ドーン』、『ドーン』、と大きな爆発音が地上の9ヵ所から聞こえる。その爆風はここまで届きはしたがその威力は衰え、そよ風の様に弱かった。
「ギャァァァ!」
「っ!?」
今度は先程とは比べ物にならない大きさ、大よそ九尾と同じくらいの炎の玉を両前足を掲げて支えていた。
あんなのが地上に降り注げばここら一帯が焼け野原になってしまう。
「≪一つ。騎士とは王を護るものである≫」
そんな中、突如として聞こえてきた声は地上からのものだった。
「≪二つ。騎士とは民を護るものである≫ 」
その声は徐々に近付いてくる。
「≪三つ。騎士とは最強である≫」
ついには俺の横を通り過ぎて空中を蹴り九尾に向かって一直線に飛んでいく。
「≪四つ。騎士は美しくあれ!≫」
その声の主は重そうな鎧と大剣を持つ金髪の少女だった。
「≪騎士道流【奥義】美しき最強の剣≫」
少女とほぼ同じ大きさの大剣を、重さを利用し一直線に振り下ろす。
「ギ、ギャ」
九尾の最後の断末魔は今までで一番小さかった。否。叫べなかったのだろう。何しろこれから繰り出す筈だった巨大な炎共々真っ二つにされたのだから。
取り敢えずこれで一件落着だろうか。
「≪騎士道流【剣技】瞬間の剣撃≫」
「っとぉ」
安堵も束の間、少女は俺の首を狙い勢い良く大剣を突き刺す。
だが、なんとか間一髪仰け反り大剣を躱す。
「ちっ」
「舌打ち!?」
「当たり前でしょ。図体ばっかり大きくてろくに戦う気の無い奴なんて」
「な!」
戦う気が無い!?俺は一生懸命に戦った。だけど敵が強かったんだ。それをやる気の問題にするか!?
「はぁ。今は貴方みたいのと話してる場合じゃないの」
「は!何言って…」
「やる気があるって言うなら貴方も一般人の救助に向かいなさい」
それだけ言うと少女は去っていった。
「≪ドラゴンフレイムカノン≫」
渾身の炎の光線を放つ。その光線は一直線に九尾目掛けて進み、九尾を呑み込む。
だが……
「な!?」
九尾は数秒に渡って炎の光線を受け続けたにも関わらず傷1つ無かった。
それどころか……
「ギャァァァ!」
九つの尾、その先に灯った炎はどれも大きく、力強く燃えていた。恐らく当たればただでは済まないだろう。
なんだろう。嫌な予感がする。奴には飛行能力が無い。空中では身動きが取れない筈。
「ギ、ギャァァァ!」
今までで一番大きな雄叫びを上げる九尾。何か仕掛けてくると踏み、構える。
だがその行動は間違いだった。警戒などせずに攻撃に徹していれば或いは良かったのかも知れない。何しろ、九尾の放った九つの火の玉は俺では無く四方八方、地上に向けて放たれたのだから。
『ドーン』、『ドーン』、と大きな爆発音が地上の9ヵ所から聞こえる。その爆風はここまで届きはしたがその威力は衰え、そよ風の様に弱かった。
「ギャァァァ!」
「っ!?」
今度は先程とは比べ物にならない大きさ、大よそ九尾と同じくらいの炎の玉を両前足を掲げて支えていた。
あんなのが地上に降り注げばここら一帯が焼け野原になってしまう。
「≪一つ。騎士とは王を護るものである≫」
そんな中、突如として聞こえてきた声は地上からのものだった。
「≪二つ。騎士とは民を護るものである≫ 」
その声は徐々に近付いてくる。
「≪三つ。騎士とは最強である≫」
ついには俺の横を通り過ぎて空中を蹴り九尾に向かって一直線に飛んでいく。
「≪四つ。騎士は美しくあれ!≫」
その声の主は重そうな鎧と大剣を持つ金髪の少女だった。
「≪騎士道流【奥義】美しき最強の剣≫」
少女とほぼ同じ大きさの大剣を、重さを利用し一直線に振り下ろす。
「ギ、ギャ」
九尾の最後の断末魔は今までで一番小さかった。否。叫べなかったのだろう。何しろこれから繰り出す筈だった巨大な炎共々真っ二つにされたのだから。
取り敢えずこれで一件落着だろうか。
「≪騎士道流【剣技】瞬間の剣撃≫」
「っとぉ」
安堵も束の間、少女は俺の首を狙い勢い良く大剣を突き刺す。
だが、なんとか間一髪仰け反り大剣を躱す。
「ちっ」
「舌打ち!?」
「当たり前でしょ。図体ばっかり大きくてろくに戦う気の無い奴なんて」
「な!」
戦う気が無い!?俺は一生懸命に戦った。だけど敵が強かったんだ。それをやる気の問題にするか!?
「はぁ。今は貴方みたいのと話してる場合じゃないの」
「は!何言って…」
「やる気があるって言うなら貴方も一般人の救助に向かいなさい」
それだけ言うと少女は去っていった。
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